経済について韓国から学ぼう
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先日テレビを観ていたら、韓国経済の特集が組まれていました。
そレを観て思ったことが有りますので、今回はこの事について書いておきます。
誤解のない様に最初に書いておきますが、私は韓国に対して特定の感情は持っていません。
その為、出来るだけニュートラルな視点で見て考えているつもりです。
しかし、日本に入ってくる韓国関連の情報にバイアスがかかっているケースが多く、その情報を元に考えている為、私の意見も知らない間にバイアスがかかっている事もあると思います。
予め、ご了承ください。
韓国という国
私の認識では、日本よりも新自由主義が進んだ国という印象です。
新自由主義とは何なのか。
経済でいうところの新自由主義は、市場原理に身を任せて、政府による個人や市場への介入は出来るだけしないという考え方です。
市場経済というのは、『神の見えざる手』という絶妙なバランスで保たれていて、特に人が出を下さなくてもバランスが保たれるという人は結構います。
例えば、物の量が少なく、生産数も限定されてる商品に人気が集中した場合、当然、商品の値段は上昇しますよね。
商品の値段の上昇は、買いたい人と商品数が釣り合ったところで止まり、価格が決定される。
この商品を、新技術の投入などで大量生産すると、欲しい人に対して商品が容易に行き渡るため、価格は下落する。
これは、【商品数】と【欲しい人】の数によって、価格が勝手にバランスをとるとも考えられますよね。
欲しい人が大量にいるけども、対象商品の供給が追いつかない場合は、業者がその市場に新規参入してくるので、高い商品も、いずれは価格が落ち着く。
市場全体が自然とバランスと取るので、人は余計なことをしない方が良いという考えです。
因みにですが、韓国は新自由主義体制をとっていたわけではないようです。
しかし、アジア通貨危機による財政難で、IMFからお金を借りる際に、新自由主義の導入を強制されたそうです。
この、人が手を加えずに、全てを市場に委ねるという発想。
一見すると、合理的な考えのようにも思えるのですが、実は問題も有ります。
市場原理というのは、基本的には弱肉強食。
そして市場では、競争に勝った企業がより大きくなり、更に力を増すことになります。
この仕組の中で競争が起り続けると、最終的には一握りの企業のみの独占状態になってしまいます。
実際に韓国を見てみると、TOP10の財閥系企業だけで、GDPの殆どを占めている状態。
そして面白いことに、企業は少なくなれば少なくなる程、ライバル会社が少なくなって、市場で競争は行われなくなります。
こうなると、生き残った企業の独壇場です。
商品を供給する会社が他になく、ほぼ独占状態なのだから、値段も割高に設定できます。
グローバル化している現代では、国内でNo1の企業になったとしても、世界での競争が待っています。
世界の競争にさらされると、普通はそこで価格調整がされて適正になるのですが…
韓国の場合は一度危機を体験している為か、愛国心が強く、同じ製品であれば韓国製を選ぶそうなんですね。
(理由は違いますが、この点では日本も同じで、日本人も日本産が好きですよね。)
この流れは、国内メーカーにとってはかなり居心地が良いもので、その環境に甘え、韓国企業は韓国の国民からボッタクるという戦略をとっていたそうなんです。
例えばサムスン等は、韓国のスマフォ市場では一強の状態。
その状態で韓国製しか買わない国民性なのであれば、言い換えればサムスン製しか買わないということになります。
小さな国とはいっても4000万人の人口を抱える国で、海外製品を買うという選択肢を敢えて封じている国民性であれば、サムスンは製品価格を釣り上げて、利益を伸ばすことが可能です。
テレビで観た情報ですが、サムスン製のスマートフォンの価格は、韓国で買うのが一番高いようでした。
ここまでボッタクられてもサムスン製を購入していた理由は、一つは先ほど書いた愛国心。
もう一つは、サムスンが世界的な大企業になれば、何かしらの形で韓国国民に対して還元が行われるだろうと期待していたからです。
しかし実際には、その還元は行われませんでした。
冷静に考えれば、資本主義下の営利目的の株式会社なのだから、当然ですよね。
サムスンの正社員や幹部、経営陣やオーナーだけが、国民平均よりも遥かに高い給料を得ている。
そして、そこに入れない非正規雇用者は、ギリギリの生活を強いられている。
この現状に韓国国民は耐えかねて、ある行動に出るようになりました。
それが、財閥系企業の製品に対する、不買い運動。
先ほど例に挙げたサムスンの例でいえば、スマートフォンのシェアは、徐々にAppleに奪われているようです。
国民からすれば、これは正常な判断でしょう。
自分自身に全く還元されないのであれば、安くて性能が安定している方を使う方が得です。
結果として、最大の味方である国民に見限られた財閥系企業は、業績を落とすことになってしまいました。
これは、簡単にいえば再分配の問題なんですよね。
韓国国内では、財閥系企業で働く貴族労働者と呼ばれる人たちが、奴隷である非正規雇用者をこき使って製品をつくり、非正規雇用者に対して高い値段で商品を売りつけるというシステムが、非正規雇用者に製品を見捨てられる形で破綻してしまったわけです。
この構図は、他人事では有りません。
日本でも、『人手不足』なんていわれていますが、正社員を非正規雇用に置き換えるということが、着々と進んでいます。
非正規雇用やアルバイトの求人は、最低賃金近くで募集されることも多いので、人が集まっていないだけという状態です。
これにより、大企業に正社員として残れた人間は、勝ち組人生を謳歌できるので、状況としては韓国と殆ど変わらないんですよね。
日本はまだ、韓国に比べれば中小零細企業も多く、一握りの企業に独占されている状態では有りません。
しかし今の状態を続けていれば、行き着く先は同じだと思います。
ここは韓国に学んで、適切な再分配の形を考えたほうが良いのではないでしょうか。