だぶるばいせっぷす 新館

ホワイトカラーではないブルーカラーからの視点

アベノミクスと建設需要

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最近、私の家の近所で、かなりの数のマンション建設が着工しだした。
少し前に消費税が上がったが、その際に駆け込みで契約した案件が、一斉に動き出したということだろうか。
それとも、今年から税制が変わったことにより、空き家の固定資産税が6倍に跳ね上がった事が関係しているのだろうか。
ともかく、徒歩3分圏内で建設中が4棟ぐらいあり、準備中なのか予定地なのかは分からないが、空き家を取り壊して更地になった広い土地が控えている状態。

既に建設が終わった2棟を含めると、ウチの近所だけで、近々人口が数百人程度増える事になりそうです。
徒歩数分圏内ですらこんな状態ですから、日本全国でみれば、一体どれほどの住居スペースが増えるのでしょうか。
想像も出来ません。

これに加えて、オリンピック関連施設・東北の復興事業・耐震化事業等が重なっていることを考えると、建築関連で人手不足と言われているのが、よく理解できます。

ただ、この現状を見て思うことは、数年後が怖いということ。
今現在のアベノミクスと呼ばれている好景気?(私は全く実感がありません)状態は、これだけの建設案件が一斉に動き出している結果と思われますが、この需要は一過性のもの。
少なくとも、オリンピック関連の建設は、2020年までには終了する事が確定しています。
消費税増税や、空き家の固定資産税の大幅値上げによる建設需要も、規模にもよりますが、5年以内には落ちつくでしょう。

復興需要や耐震化事業がどれ程の期間になるかわかりませんが、何十年も続くなんてことにはならないのでしょう。
つまり、5年程度で建設需要は落ち着いてしまう。
いや、空き家の固定資産税の増税や、消費税の増税によって需要を先食いしたと考えると、落ち着くどころか冷え込む可能性が高い。
アベノミクスは期間限定といえなくもない。

ここまでドーピングして、無理やり景気を上昇させようとしているのに、業種によっては全く実感が無い状態だと、建設需要が落ち着いた先がどのような状態になるのかが不安でならない。


また、これと関連して、もうひとつの不安要因がある。
それは、アベノミクスの演出に乗っかって、建物を建ててしまった人たちの事。
中国をみればわかりますが、需要もないのに経済成長重視で住居を立てまくるとどうなるのか。
答えは簡単で、ゴーストタウンが量産されるだけなんですよね。

日本の現状はどうなっているのかというと、家賃相場はバブルをピークに低下傾向。
バブル期そのものが、あらゆる相場が上方向に壊れていたとも考えられます。
しかし、クラフを見ると家賃下落は一時的なものではなくトレンドとして続いています。
(グラフは、【家賃相場 推移】等で画像検索してください)

相場というのは需給関係を数値で表すものなので、家賃相場が下がり続けている現状から分かる事は、住宅市場が飽和状態であることです。
考えて見れば、建設技術が上昇したことによって、都心部でかなりの量のタワーマンションが建てられました。
高さが高くなるということは、同じ土地でも収容人数が増えるということになります。
つまりバブル崩壊後も、一貫して住宅は供給され続けていたことになります。
住宅市場的には、その供給と同じように人口も増えていれば問題はないのですが…
今の日本は、少子高齢化
人口が減ることはあっても、増えることは考えづらい状態です。

個人的には、狭い日本に1億人以上も居ることが異常だと思うので、人口減少は喜ばしいことだと思いますけどね。

といっても、人口が減っても住宅市場を活性する方法もあります。
例えば、大家族で住んでいる人達に、核家族の素晴らしさを捏造して伝える事で、各世帯ごとに住むようになれば、住宅の必要数は増える。
地方よりも都会の大学の方が良いと広く伝え、大学生を都市に呼んで一人暮らしをさせれば、その人数分の住居も必要になる。
ですが日本にとって最悪なのが、既にその方法を実行してしまった後だという事。
国民は核家族に幻想をいだいてないですし、一部の賢い人達は、問題点にも気がついている。


つまり現状は、人口は増えない。
住宅需要を増やす方法もないと、住宅の供給者にとっては最悪の状態ともいえます。

そして一番可愛そうなのが、その事も知らずに不動産会社に騙されて、既に住宅建設の契約をしてしまった人達。
建ててすぐというのは新築ということもあり、それなりに稼働率を稼げることだと思います。
しかし、5年後どうなっているのでしょうか。
新築というプレミアは剥がれ、中古として他の住宅と競い合わなければならない。
何年ローンで建てた建物かはわかりませんが、ちゃんと家賃で回収できるのでしょうか。
また不動産というものは、建てれば半永久的にお金を稼いでくれるものでもない。
定期的に補修をしなければなりませんし、突発的な不具合が発生する可能性もある。
その為の積立や、毎年払う固定資産税等の金銭や、トラブルに対応する手間を考えると、利回りがゼロに近い国債の方がマシだったなんて事にもなりかねないんですよね。

…と、アベノミクスの話から、最終的に不動産投資の話に飛んでしまいました。
無理やりまとめると、世間で飛び交っている情報に飛び乗って、大金をかけた博打をするのは辞めたほうが良いって事です。
私は株式投資を10年程趣味程度でやって来ましたが、その経験から分かることは、儲け話は、貴方の耳には入ってこない。ということです。
本当に確実に儲かる話であれば、そんな話は外部に漏れることはありません。
気がついた人が自分で実行します。
テレビのニュース程度で分かる話は、世の中の人全員が知っている話だと思ったほうが良いでしょう。
その上で、実行しない人が殆どなので、営業マンが必死に営業をかけているというのが現状ですからね。