だぶるばいせっぷす 新館

ホワイトカラーではないブルーカラーからの視点

自転車の規制強化について考える

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2015年の6月から、自転車の規制強化が行われました。
違反をすると切符を切られ、3年以内に2回の違反で、罰金+講習の義務が課せられるようです。

私が聴いているwebラジオ【ネットラジオ BS@もてもてラジ袋】でも話題に触れられており、また録り溜めていたテレビ番組の未来世紀ジパングでも、関連する話題を取りあげていたので、今回はこの事について考えていきます。

http://moteradi.com/20150606bmoteradi.com

www.tv-tokyo.co.jp


確かに街を歩いたり自転車で走ったりしていると、危険な運転をしている輩は多く見かけます。
大通りの車道を逆走してくる者はまだマシな方で、酷い人だと、雨の日に傘を指しながら2人乗りで逆走してきたりする。
スマホを凝視しながら歩道を爆走している人間を見ると、『居なくなれば良いのに』と思ってしまうことも多々ある。

そういう事例だけをみると、自転車規制強化も仕方がないのではないかと思う人も多いと思う。
私自身も、酷いマナー違反を目の当たりにすると、『危ないな』と思うことは確かにある。

しかし、自転車が主な交通手段の私からみれば、今回の規制強化の前にやる事が有るのではないかと思ってしまう。

例えば、私の済む地域には、自転車道が設置されている大通りがある。
自転車道が整備されていれば、当然の様にそちらを走ろうと思うのだが、実際には走れない状態になっている。
というのも、大通りに面している建物には、企業や商店が入っていることが多い。
それらに納品する為なのか、営業周りで来ているのかは知らないが、自転車道の大半が違法駐車で埋まっている。

また大通りは人通りも多いことが多い為、その人通りを目的にしてタクシーが大量に並んでいたりする。
客待ちならまだしも、ハザードを付けて喫茶店で休んでいる輩までいる。
多くの自転車道は広いわけではないので、軽自動車でも1台止まれば通れなくなってしまう為、それを避ける為には車道に出ざるをえない。


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(写真はgoogleストリートビューの画像。赤い部分が自転車専用道路)

次に歩道だが、歩道も広いものになると、自転車道が色分けして整備してある所がある。
私の済む地域では、歩道の半分の位置にラインが有り、車道側に色をわけて自転車道が整備されている。
その自転車道に、歩行者が我が物顔で歩いている。


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学生などが横一列に並んで歩道を占拠なんてのは普通で、おばさんが自転車道の方だけに3人ぐらい並んで歩いて来るなんてこともある。
自転車側としては、これを避けようと思えば蛇行運転になってしまうわけで…

これらの行為で危険運転といわれても『なんだかな』と思ってしまう。


何度もいいますが、別に私は危険運転をする自転車を庇っているわけではありません。
大通りで交通量も多い車道を、スマホを見ながら運転するような輩は、捕まって罰金を取られても仕方がないと思っています。

しかし、自転車が増えているにも関わらず、環境整備を疎かにして、罰則規定だけを決めるのはどうかと思う。

先日【未来世紀ジパング】という番組で、デンマークの特集をしていた。
デンマークは、CO2の削減を目標に掲げ、自転車の普及に力を入れてきたようで、自転車人口もかなり多くなっていました。
では日本以上に問題が深刻化しているかといえば、そんな事は有りませんでした。

デンマークは自転車の普及と同時に、自転車用のインフラを整備。
具体的には、違法駐車が出来ずに歩行者も入れない様な自転車専用道路の整備。


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歩行者用信号機だけでなく、自転車専用の信号機を設置。

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公共交通機関や私鉄等の鉄道会社も、自転車ごと乗り入れることが可能な車両を導入し、自動車よりも自転車で移動した方が効率的な社会を作っていました。

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自転車と歩行者・車が移動する場所を完全に分けている為、日本でも問題になっている【イヤホン問題】も無いようです。
番組では、イヤホンを装着した自転車乗りが普通に映しだされていました。
これは、自転車道も大雑把なものではなく、右折・左折・直進レーンがそれぞれ設けられており、歩行者と自動車から隔離されている為、耳が聴こえない程度では事故が起こらない環境になっているからでしょう。


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日本も、長期的な都市計画で、このように環境を変化させるのであれば、良いと思います。
しかし実際に行われていることは、全ての事故の原因を自転車に押し付け。
悪いのは国が整備した環境ではなく、自転車=悪というイメージを植え付けた上で罰則を強化しただけに過ぎないように思えます。


まぁ、国からしてみれば、自転車のようなGDPの押し上げ要因にならない低コストの乗り物などに乗らず、排ガスをまき散らす車に乗ってくれた方が、自転車道なんてものも整備せずに済む上、ガソリンや重量税等も入ってくるので、良いのかもしれませんけどね。