だぶるばいせっぷす 新館

ホワイトカラーではないブルーカラーからの視点

銀行って必要なんだろうか

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ここ最近、こんな事を思う事が多くなってきた。
『銀行って、本当に必要なんだろうか?』と

私は、得意先への振込や給料の引き出しなどで、月に2回ほど銀行に行く機会があるのですが、銀行に赴くたびに、そう思ってしまうんです。
例えば銀行での振込ですが、何故か、30分ほど待たされる。
支払先が大量だからとかそういった理由ではなく、2件で合計40万程度の支払いなのにも関わらず、待ち時間を含めずに30分ほど待たされるんです。

今の様にITが進んだ時代で、先客も無く順番待ちも無い状態で、何で、たった2件の振込に30分もかかるのか。
ミスがないように何度も見直したとしても、そこまでかかる意味がわからない上に、年に2回ほどは銀行側の手違いでミスが起こったりするので、本当に意味が分からない。

こういう事を書くと、『ネット経由で自分で手続きすればいいだろう!』とお叱りを受けるかもしれないんですが…
私の取引している銀行は、ネット経由で操作できるようにする為には月々600円。 年間で7200円程の手数料を別途、徴収してきたりするんです。
この仕組も意味が分からない。

銀行側からしてみれば、当座を持っている人間、全員にネット口座をもたせて、支払い・振込などの手続きを自分たちでやってもらえば、銀行の窓口業務も減らせるんだから、人件費的にも助かるはず。
こちらとしても、いつでも当座の動向を確認できるので、便利ということになります。
しかし、銀行側の戦略としては、窓口業務を絶対に死守したいのか、そういう業務が残るように動いているとしか思えない行動をとっています。

また、社会全体としてみても、銀行の存在価値がドンドンと失われていっているように思えます。
そもそも、銀行業務というものは、預金者からお金を預かって、資金を必要としている企業に又貸しすることで、利ざやを得るというのが本文のはずです。
その為に必要なのは、当然、企業の把握のはずなんですよね。

その為に、昔は、取引先への支払いや、従業員給与支払いの為の引き出しといった用事があると、銀行の営業マンが訪れて、その業務を引き受けるついでに世間話などをして、様々な業種の情報を仕入れていたりしていました。
しかしその習慣も、私の取引している地銀は『業務の効率化』を名目にして廃止。『用事があるなら、そっちが銀行まで足を運べ』と通達してきて、月に2回ほど銀行に通わなければならない様になりました。
こちらとしては、劇的に手間が増えたわけでもないので、それはそれで良いのですが、結果として銀行は、自分が取引している企業の実態を、決算書などの数字でしか判断できなくなったように思えます。

先程も、銀行の本来の仕事というのは金貸しだと書きましたが、適切に金を貸すために必要なのは、企業の実態の把握ですよね。
例えば、銀行の顧客のAという会社が、ある製品や加工をしてもらいたいと業者を探していた場合、銀行は、自分の顧客でその要望に答えられるB社を紹介する事で、企業同士を結びつけることが出来ます。
そして、B社の仕事量が増えて、追加で設備投資が必要になって資金が必要になった場合は、当然、B社は仕事を紹介してもらったメインバンクに資金調達をお願いする。

銀行側は、A社とB社の企業の実態も決算書も把握しているわけですから、その設備投資が成功するかどうかの見極めもやりやすい。
結果として、三社全てが得をするという状況が生まれるわけで、こうした繋がりが連鎖していけば、経済も発展しやすい状態になります。

しかし、実際の銀行が行っている行動は、外回りの営業の廃止。
何故、このような事が行われているのでしょうか。 私の知り合いが、私のメインバンクとは別の地銀で働いているので、機会を見つけて聴いてみると、驚きの理由がありました。

その理由とは、企業の銀行に対する信用力が高すぎるからだそうです。
銀行というのは、わずかでも金を貸している企業には決算書の提出を求めて、財務状況などを把握しています。それだけでなく、社会的な地位も高いようで、それに伴って信用が高い状態に有るようなんです。
そんな銀行が、仮に、企業同士を結びつけてトラブルが発生したとしたら、その苦情が銀行にまで来てしまう可能性が有る。
それは面倒くさ過ぎるので、企業同士の仲介はやらないんだそうです。

つまり、A社がネット等を使って、自分で取引先を探した場合は、何かトラブルが起こっても自己責任。仮に相手が不渡りを起こしたとしても、それは銀行の責任ではなく、A社の責任だから、銀行の誰かが責任を取るなんてことはない。
しかし、A社とB社の仲介を銀行がしてしまうと『あの業者を紹介したのは銀行だろ! あなた方にも責任があるのでは?』といわれかねないし、銀行内でも誰かが責任を取らされる。
それが嫌なので、そういったリスクを回避する為にも、紹介はしないし、紹介しないのであれば、企業の実態把握は無駄になるので、外回りの営業もリストラするという事。

すべての銀行が、この様な後ろ向きの営業をしているわけではないでしょうけれども、こう考えている銀行も結構多いようです。
ここで疑問が起こるのが、では、銀行は何で稼いでいるのかというところです。

先程も書いた通り、銀行は積極的な融資は行わずに、数字だけで判断するわけですが、数字が健全な企業は、そもそも現金を必要としていません。
今の大手企業の動きを見てみてもわかりますが、どこの企業も、積極的な投資は避けて、利益は内部留保という形で溜め込んでいます。
行く宛の無い優良企業の資金は、有利子負債などの利払い負担がかかる債務を圧縮する為に使わますから、貸出需要は激減し、銀行業務のメインである、利ざや抜きが行なえません。

一時期は、預金者の利息を限りなくゼロに近づけて、国の借金である国債を買い漁ることで、何とか利ざや抜きを行っていましたが…
それも、黒田日銀総裁に変わってからは、通用しません。 黒田氏は、市場に流れている国債を、日銀がお金を刷って買い取るという金融政策を積極的に行った為、市場からは買える国債量が激減し、国債を買って利ざやを稼ぐという行為が封じられてしまいました。

更にその上、マイナス金利政策まで導入されてしまうしまつ。
マイナス金利を簡単に説明すると、日銀の仕事は紙幣を刷るだけではなく、銀行の銀行という仕事もあります。
つまり、銀行から当座の預金を預かったり、といった感じの業務も行っているのですが、その預り金に対してマイナス金利が適応されるということ。
これは、日銀に対して銀行がお金を預けると、今までは銀行が利息がもらえていたのに、マイナス金利下では逆に利息を支払わなければならないということ。

預金者からお金を預かって、それに対して利息を払う。でも、そのお金の使いみちが無いので日銀に預けておくと、日銀にも利息を取られる…
銀行からすると手足を縛られているような、地獄のような環境なわけですが、そんな銀行が、なんとか打ち立てた収益の柱というのが『手数料』

保険であったり、投資信託であったり、ATM手数料であったり、振込手数料であったり…
お金に関するありとあらゆる所から、手数料を取ることを主軸にし始めたんです。

で、ここで思うわけですよ。
『銀行の役目って、もう終了したんじゃない?』って

今の中国や北欧を見てみてもわかりますが、今どき決済や現金引き落としに対して、人が手間暇かけた上に高い手数料を取るなんて、ナンセンスですよね。
これからの決済は間違いなく、キャッシュレスの方向に向かうでしょう。
キャッシュレスの方向に向かうということは、ATMもいらないし、支払いもスマホを通じてアプリ上で終わらせるなんてのが当たり前になるわけで…

こんな状態で『手数料を主軸にして!!』とかいわれても、こちらとしては、『あなた達がいるから、キャッシュレス化が始まらないんじゃないの?』と思ってしまう。
むしろ一刻も早く潰れてくれたほうが、手数料地獄から開放されて可処分所得が増える上に便利な世の中になるんじゃないかとすら思ってしまう。

また、キャッシュレス化の恩恵というのも見逃せない。
現金が必要ないという事は、単にお金を刷る手間と輸送の手間が省けるだけではない。小売店はお釣りの心配をして両替に行かなくても良いし、客としても、タクシーに乗る際に小銭を作るなんて事をしなくても良い。
決済に現金を使わないということは、各店に現金が無いということなので、当然、現金目当ての強盗もなくなる。

色んな人達の『しなくて良い仕事』が減る上に、犯罪まで減る可能性があるんだけれども、『銀行の収益の柱が手数料収入だから』キャッシュレス化が実現しない様にも思えてしまう…
ということで、タイトルに戻るわけですが、銀行って、必要なんでしょうかね。