だぶるばいせっぷす 新館

ホワイトカラーではないブルーカラーからの視点

今は景気が良いのか悪いのか

ここ最近は不景気なのか、わたしの本業がかなりヤバイ状態です。
詳しい業務内容は書きませんが、京都の土産物産業に関わる仕事をやっているのですが、ここ数年の落ち込みがかなりヤバイ。
京都といえば、外国人観光客で賑わっていて、その消費で物凄い活気づいているというイメージを持たれている他府県の方も多いかも知れませんね。
随分前のことになりますが、前の国政選挙で安倍首相が『日本人が観光旅行しても全然カネを使わないが、外国人が旅行に来ると、京都に来て1回あたり20万も使う!』なんていってましたが…
実際に京都に住んでいる私の印象では、外国人が増えてからの方が景気の減速が加速している感じです。

『それは、お前だけの印象だろ!?』なんて反論もあるかも知れませんが、京都の税収は落ちているという事実が有るので、主観的な印象だけというわけでも無かったりするんですけどね。
まぁ、先程の首相のセリフに反論させていただくと、平均滞在日数が10日で、一回来たら九州から首都圏まで移動しまくり、交通費も含めて20万使って帰る外国人旅行客と、日帰り旅行で15000円使ってくれる日本人観光旅行客を比べるのがオカシイわけで…
京都に来ても、伏見稲荷祇園をぶらつくといったお金を落とさない行動に終止する外国人が増える一方、お土産物を購入する層の日本人観光旅行客が来なくなったと考えると、旅行者数が増えているのに仕事が無い状態の辻褄も合うのかも知れません。

…と、こんな感じで、私は日々、不景気を肌で感じる生活を送っているわけですが、日本の政府は、そんな事はありえないというスタンスのようです。
これは、先日、麻生太郎氏が『今の日本で景気回復の実感が得られないのは、余程の無能か運が悪いかのどちらかだ。』とおっしゃっていた事からも分かりますよね。

では、何故、こんな認識の違いが生まれるのでしょうか。
今回は、この事について考えていこうと思います。

まず最初に、簡単に結論を書いてしまうと、原因は『二極化』です。

現在の日本で好景気の実感が得られないのは人口の8割になるようですが、逆にいうと、2割の人間は好景気が実感できるほど景気が良いことになります。
麻生氏を始めとする政治家の生活範囲内には、この2割の人間しか居ないから、この様な認識の差が生まれてしまったのでしょう。
本来であれば、国民の意見を幅広く集めるのが代議士である政治家の本文だと思うのですが… 政治献金を持って近寄ってくる人間にしか興味を示さないので、そういう認識になってしまっているのかも知れません。

では何故、この2割の人達は、景気の波に乗れているのでしょうか。
2割の人間が物凄く有能で、日々、自分磨きを惜しまなかったから、チャンスを逃さずに景気の波に乗って大成功したのでしょうか。
もちろん、中にはそういった方もいらっしゃるでしょう。

ですが、おそらく大半は、日銀が2%のインフレ目標を掲げて行っている金融緩和で恩恵を受けた人でしょう。
今現在は、日銀は2%の目標を取り下げて、いずれ達成できれば良いなと言う方向に変更したようですが、現段階で量的金融緩和は行われているので、その恩恵は続いています。
では、量的金融緩和によってどの様な恩恵が受けられるのかというと、ほぼゼロに近い低金利です。

ここで、『金利がゼロになったら、恩恵は全ての人が受けられるのでは?』と思われる方もいらっしゃるでしょう。
しかし実際は、そんな事はありません。というのも、日本のゼロ金利というのは【担保がある場合に限る】という前提条件が着いているので、無担保でお金をかりる場合には、消費者金融並みの10%超の金利を取られるなんて当たり前だったりします。
つまりは、担保入れられる程の資産家か、その資産を買う為の資金を借りる場合のみ、低金利で借りられるということです。後者の場合で具体例を挙げると、住宅ローンなどが当てはまります。
買う予定の土地を担保に入れて、それを元にお金を借りるという事ですね。
簡単に言えば現状は、担保を入れるだけの資産がある人間にとっては、ほぼゼロに近い金利でお金を引っ張ってこれる環境という事になります。

では、この状態でどの様な二極化が起こるのかというと、物価の二極化です。
先程も書きましたが、日本の金融機関はリスクを計算して融資するという能力が無い為、担保を差し出せる資産家にしかお金を貸しません。
ですが、大量の資産を持っていて、余裕を持って暮らしている人間が資金を欲しているのかといえば、そんな訳はありません。
結果として何が起こるのかといえば、金余りです。

では、余っている金は何処に行くのか。
そのまま金庫に保管していても意味はないので、何処かに投資しなければならないという事になるのですが、事業を起こすなんてリスクが高くて面倒くさい事は資産家は行いません。
では、何に投資をするのかというと、一番手っ取り早くて分かりやすいのが株式投資です。
『株にもリスクが有るんじゃないの?』と思われる方もいらっしゃるでしょうが、今の日本では、株価が下がったら日銀と、我々が収めている国民年金の資金で買い支えるという金融政策を取っているので、下値リスクは限定的です。

今の日本の上場企業は、下請けや中小企業に対しての締め付けによって、バブル期を超える程の最高益を出す企業が多数。 最高益を得ているにもかかわらず、新分野への投資などもしないので、得た利益は株主に分配され、利回りもかなり高い状況になっています。
下方向に進むリスクが少ない上に、それなりの利回りが得られるのであれば、資産の一定割合を株式投資に回すというのは普通の判断でしょう。

では、株式投資だけで余ったお金を吸収できるのかといえば、そうではありません。
株式は買われれば買われるほどに価格が高騰し、得られる利回りも下がり、旨味はなくなってしまいますので、安全に資金管理をするためには他分野への投資も必要になってきます。
その矛先が向かった一つが、不動産です。

『人口減で空き家が増えている中で、不動産?』と思われる方も多いとは思いますが、ここでいう不動産は投資用不動産です。具体的には、タワマンの上層階。
日本は、地方が疲弊していく中で東京一極集中が進んでいます。 その中でも、都心に有るタワマンの上層部は固定資産税の関係からも節税対策で買われれる事も多く、これに加え、今は団塊の世代の方々というのが次々とこの世を去りつつあり、その方々がまとまった資産を持っている場合は、相続税対策としても利用されます。
この為、現状では需要がなくなることが無く、需要が無くならない上昇しやすい状態です。 一部では『バブル』なんて言われていたりもしますが、逆に言うと『バブル』と言われる程に、この界隈は景気が良いという事になります。
一応書いておくと、これを読んで誤解しないで欲しいのですが、タワマン投資を呼びかけているわけではありませんからね。 ほぼ確実に儲けが出るようなタワマンは、情報を最前線で受け取れる不動産屋が自分が儲けるために購入するので、客に回ってくることはありませんし、そのタワマンは、相続で泡銭を得た人達に割高な値段で売却されますので、庶民の私達には関係がありません。

その他にも、もっと細かいところでいうのであれば、ウィスキーなどの嗜好品も暴騰してます。
一部のネトウヨが『北京オリピックが終わったら中国景気は終わり!』と言っていた中国の経済成長が現状でも毎年6%以上で推移し、富裕層が増えてきた為に嗜好品の売れ行きが増し、一部の商品が高騰していたりもします。
先程挙げたウィスキーなどが、その一つです。
2年ほど前は普通に定価で買えていた山崎12年が、その4倍の2万を超える価格で取引されるまでになっています。

何故、短期間でここまで暴投したのかというと、それがインフレの性質だからです。
インフレ値というのは徐々に上昇していくものではなく、指数関数的に伸びていって、最終的には手がつけられないところまで上昇します。
インフレになる一連の流れを簡単に説明すると、まず最初に、需要増から価格が上昇して安定的に物価が上昇し始めます。ただ、この状態が長く続くと、『今のうちに買い溜めて保存しておけば、将来、転売で大儲けできるんじゃ?』という事で、価格の上昇が新たな需要を生むことになります。
当然、売り手である卸問屋や小売店を同じことを考えるので、価格が上昇し続けると売り渋りを行うようになり、需給関係はさらに崩れ始めます。
こうなると、価格が上がるから価格が上がるという循環に入ってしまい、手がつけられなくなります。

この様に、日本の富裕層を取り囲む環境では需給関係が改善し、価格は上昇し、その流れに乗って大儲けする人達が実際に出てきているというのが、現状だったりします。
では、一部の資産や商品が大幅な値上がりをしているのに、何故、日本の物価は上がらないのか。
これは単純に、好景気を実感していない我々庶民を取り囲んでいる経済状態が悪化している為、先程挙げたインフレ要因を帳消しにする程に、庶民向け商品の物価が下がっているからでしょう。
何故、庶民の経済環境が悪化しているのかというと、先程もチラッと書きましたが、上場企業で最高益を叩き出している企業の多くは、中小零細の下請けに負担を押し付ける、所謂『カイゼン』によって業績を伸ばしているので、締め付けられる側で働いている多数の人達は、苦しい立場に追いやられているということです。

toukeidata.com
リンク先には、平均所得と所得の中央値の推移がグラフ化されていますが、これを見れば分かる通り、割合で見ると中央値の下落幅が大きいです。
平均所得に比べて中央値の下落割合が多いという事は、多くの人達が貰っている給料の額が下がっているのに、それを足し合わせて人口で割った平均値はそれ程下がっていない事になる為、単純に考えて、二極化が加速している事になります。

これに加えて、消費税増税や年金支払額の増加や支給開始年齢の先延ばしなども考慮に入れると、庶民の可処分所得は、かなり減っていることが分かると思います。
可処分所得が減れば、当然のように、消費を行うことが出来なくなるため、物を買わなくなる。 若者の◯◯離れの原因は、現金の若者離れによるものと考えるのが妥当でしょう。
この様な現状でも、庶民向けサービスを展開している企業は『自分達の提供する商品・サービス』を購入してもらわなければなりません。こうなると当然、『需要不足』となり、別の観点から見ると供給過多になる為、モノやサービスの価格は下落するという事。

つまり、需給関係・消費動向・収入など、あらゆる分野で二極化が進んでいているのが現状で、景気の良い分野に偶然いた人は景気を実感できるし、その分野にいない人は好景気を実感できないというだけなんですよね。
冒頭の麻生氏の話に戻ると、あの方の主張は少しだけ当たっていて、景気実感が出来ないのは、景気が良い分野で働けなかった不運という事になります。ただ、余程運が悪い人ではなく、8割の人間が運が悪い側に属しているという部分では間違っていますけれどもね。
合っているのはそれぐらいで、前半部分の『余程の無能か…』の部分は、指摘するのもアホらしい感じですが… というか、政治家て、普通に資本主義をしていれば起こってしまう富の偏在をどのように解消するのかってのが仕事の大部分だと思うんですが、それを完全に放棄している時点で、政治家としてはどうかと思ってしまいますけどね。

まぁ、現政権の主張は、富の偏在は放置しておけば自然に解消するという『トリクルダウン理論』でしたから、期待するだけ無駄なのかも知れませんけども。