だぶるばいせっぷす 新館

ホワイトカラーではないブルーカラーからの視点

初めての『角打ち』

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少し前のことですが、初めて、角打ちというものに行ってきました。
『角打ち』という単語を聞いたことが無い方(私も最近までそうでした)の為に、簡単にどんなものかを紹介すると、その場で飲めるタイプの酒屋さんです。

まだ分かりにくいと思うので、もう少し説明してみましょう。
昔は色んな所にあった、町の酒屋ってありますよね。
今ではコンビニなどの台頭によって、徐々に専門店としての酒屋って少なくなってきているイメージの、あの酒屋です。

酒やツマミが売られていて、スーパーでは買えない様なちょっとマニアックな酒なんかが売られていたりする酒屋なのですが、その場で呑んで良い店というのを『角打ち』と呼ぶそうです。
という事で今回は、初めて『角打ち』をした体験を書いていきます。

私が行った場所は、京都の錦市場から歩いてすぐの、『松川商店』
少し前から存在は知っていたのですが、何となく、一人で入る勇気がなかったので、見送っていた店なのですが、この店で待ち合わせをする機会というのがありまして、それを機に暖簾をくぐってみました。
誘っていただいたのは、『BS@もてもてラジ袋』というネットラジオをされている、ぶたお さん。
ネットラジオ BS@もてもてラジ袋

私自身も、今年になって音声ブログを始めたので、その制作の際に使用するマイクの相談をした所、使ってない物を譲っていただけるという事で、ついでにアドバイスやらを頂きに現地に向かいました。
goo.gl

入口だけを観ると、こじんまりとした昔ながらの家屋といった雰囲気だったのですが・・・
中に入ってからの熱気が凄い。

それほど大きいと思えないスペースに、観た限り40人程度がぎっしりと入っている。
私も、それなりに木屋町通などに呑みに行くことがあるのですが、これ程までに満席の店は、イベントでもない限り観たことがありません。
週末でもなく、平日でこの混み具合は、本当にすごい感じですね。

店の内側の壁は、全面、酒の店が並んでいて、商品がズラッと並べられていて、中央付近にカウンターっぽく空間を仕切る感じで長テーブルが2つ並べられていて、その両側に人が群がっている感じ。
誰が客なのか店員なのかが全く分からず、また、仲間同士で盛り上がっているのか、見ず知らずの客通しで盛り上がっているのかもわからないが、とにかく、店の全員が誰かと話している。

角打ちという空間に入ったのは初めてですが、ここまで熱気に溢れた店内に足を踏み入れた経験は無いというぐらいに、何故か盛り上がっていました。

第一印象でショックを受けたわけですが、その後、少し落ち着いたところで店内を見渡すと、一つの疑問が沸き起こりました。
それは、店員がいないということ。

客が40人もぎっしり詰まっている店なんですから、それを回す為には結構なスタッフが必要そうなんですが、この店にはスタッフらしき人が全く見当たりません。
しかし、客はそれぞれにお酒を呑んでいますし、ツマミも食べている…

ですが、そんな疑問は直ぐに無くなりました。
というのも、先に入っていた ぶたお氏が、呑んでいる酒が無くなると、店の外壁に並んでいる冷蔵庫から、無言でビールを取り出して栓を開けたからです。
私と同じように、『角打ち』というシステムを全く知らない読者の方は、この行為に違和感を覚えるかもしれませんが、これが、角打ちのシステムなんです。

つまり、客は飲みたい酒があったら勝手に冷蔵庫を開けて、自分で開けて呑むというスタイル。
私が到着してからは食べ物は食べなかったのですが、つまみも同じようで、棚に並んでいるものを勝手に開けて食べるというスタイルのようです。

ここでまた、角打ち未経験者は、疑問に思うかもしれません。
『そんな方式で、料金がちゃんと分かるの?』と・・・
それが、分かるんです。

というのも、この店のルールでは、飲食した際のゴミを勝手に捨てては駄目というルールがあるからです。
この店では、入店と同時に各自でアルミトレイを取り、そこを自分の飲食スペースとして使うのですが、飲食した際は、お酒の缶やビンなどのゴミは捨てずに自分のトレイに置いておくことによって、その残骸で飲食の計算出来るようになっているんです。
お会計の際には、会計係のお婆さんを呼んで、トレイを見せる。
そうすると、飲食した残骸を観てお婆さんが会計をしてくれるので、そこでお金を払えばよいというシステム…

凄すぎですね!

何が凄いって、このシステムの場合、メニューを用意したりオーダーを聞いたり、といった作業が全く要らない。
という事は、ホール要因が一切必要ないという事。
酒屋が行う作業としては、瓶や缶の廃棄と、ビール瓶を呑む際に使用できるコップを洗う作業程度。
今回お邪魔したお店の場合は、そこそこ広めの店で、客が40人程入っていたのにもかかわらず、お爺さんとお婆さんの2人だけで、余裕を持って作業できるという感じでした。

そして会計ですが、2人でビールをビンで5~6本と、ツマミを食べて、合計で1900円…
正直、安すぎでしょう。 家で飲んでいるのと然程変わらない金額ですよ。

その後は、もう1軒別の店に行くということで、徒歩で河原町丸太町まで歩き、別の角打ちへ。
ここは、先程の店とは違って、注文することで、生ビールや店で用意したウィスキーを使用したハイボールが呑める角打ち。
その値段も、やはり角打ちという事で、激安。

ビールが1リットルで700円。 ハイボールがジョッキに入って300円。
ちなみに、ハイボールに入れているウィスキーですが、木の樽に適当に色んな銘柄のウィスキーを入れている為、銘柄などは不明。
言い方を変えれば、この店独自のオリジナルのウィスキーともいえる商品。

前の店で飲みすぎたせいか、ここではハイボールをちびちびと呑んでいたのですが、丁度、ボジョレーヌーボーの解禁日ということで、他のお客さんがワインを2本ほど抜いて振る舞っておられたので、私達もそのおこぼれに与って、家にかえる頃には結構よってしまいました。
普通のショットバーで呑んだら5千円以上は取られる量のお酒を呑んだのにも関わらず、角打ちなら、おつまみ込みで1000円程度で住んでしまう…

この不景気に、平日にも関わらず混んでいる理由がよく理解できた一日でした。