だぶるばいせっぷす 新館

ホワイトカラーではないブルーカラーからの視点

観光立国とは何なんだろうか

先日のことですが、夜の経済ニューースを見ていると、国は訪日客を1.8倍にする計画が有るらしく、観光シーズン以外でも集客が出来るように、世界各地で行われている世界レベルの様々な会議を誘致する事に力を入れていると行った報道がされていました。
その中でも、特に注目を集めているのが京都で、観光都市としては上位なのにも関わらず、会議の開催が東京の半分以下ということで、より積極的に頑張っていくそうです。

では何故、様々な誘致活動を行ってまで、訪日外国人の数を1.8倍にまで増やしたいのでしょうか。
その理由としては、訪日外国人の消費額が多いことがあげられるそうです。
日本人が国内旅行をするよりも、外国人が日本に着たほうが、一日に消費する金額が高い。
どうせ客を相手にするのなら、単価の高い外国人を受け入れた方が効率が良いということのようです。

しかし私は、ここで一つの疑問が湧いてきます。
訪日外国人が増えて、本当に日本は盛り上がってるの?って事です。

というのも、私が住んでいる場所は京都です。
京都といえば、観光したい都市の世界ランキング上位に入る程の人気都市で、当然、街も観光産業に携わっている人が多くいるわけです。
そんな私も、観光産業に携わっているのですが、訪日外国人の割合が増えれば増えるほど、売上は下がっていますし、当然、収入も下がっているんですよね。

私は趣味で、週末に繁華街を訪れて呑みに行くこともあるのですが、そこで店主の話を聴いても、良い話は殆ど聞かない。
爆買いが話題になったときなどは、京都の有名な繁華街の木屋町通では、『店に入ったら、最低、一人1品は注文してください(TT)』といった感じの張り紙まで貼られるしまつ。

その他には、お土産物屋はドンドン潰れていってますし、取り扱う商品の量も減ってきている。
京都の大手お土産物メーカーは、毎年100億の売上があったのに、去年はそれが半減したという話も聴きました。
京都といえば八つ橋ですが、八ツ橋の売上も、今年だけで3割ぐらいは下がっていますし、その他のお土産物の定番として昔からあった五色豆は、今年、大手メーカーが廃業しました。

国のお偉いさん方は、何らかのデータに基づいて、外国人観光客を呼び込んでいるんでしょうが、実際に住んでいる立場の人間からすれば、外国人観光旅行者が訪れたところで、全く恩恵がない状態。
では何故、こんなにも、国と現場で感じている事に差があるんでしょうか。

という事で、外国人観光旅行者の消費について調べてみると、一つの表が出てきました。
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この表は、外国人観光旅行者が、どの分野に消費を行っているかを表したものですが、これを見て納得。
訪日外国人の支出傾向を観ると、全体的にほぼ全ての国の人が、支出額を減らしていることが分かります。
伸びているのはロシアとオーストラリアだけで、伸び率の大きいオーストラリアに焦点をあわせて見てみましょう。

一回あたりの旅行の総支出は、平均で24万円程度で平均宿泊日数が13泊。
この24万円の内、宿泊費に10万円使っていて、これを宿泊日数の13日で割ると、1泊当たり7700円ぐらいとなります。
そして交通費が4万円なので、合計で14万円。 この2つで、全体支出の6割となります。

飲食代は5万円なので、これを13日で割ると、一日あたり3846円。
オーストラリアの観光客といえば、長野や北海道にスキーにやって来るイメージが強いですが、シーズン時期の1泊7700円の宿で、2食出るとは思えないので、素泊まりと考えた場合、観光地で3食 外食して4000円未満というのは、結構、節約しているようにも思えます。
こうしてみると、外国人観光旅行客の1回の訪問あたりの支出が多いのは、比較的長期間滞在するから、宿泊代が跳ね上がる(1泊あたりの宿泊費は安い)、欧米からの訪問者の場合、頻繁に来れないから、一回の訪問で色々訪れようと、福岡・京都・大阪・東京など移動しまくるため、電車代で結構使うというのが主な理由ということが分かります。
全体を通して交通費が3~6万の間で推移しているのは、外国人限定の新幹線乗り放題サービスが関係しているのでしょう。
JAPAN RAIL PASSとは? | ジャパン・レール・パス | JAPAN RAIL PASS
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ちなみにこれは、支出が伸びているオーストラリアの例なので、支出がマイナスの国の場合は、もう少し渋いことになります。
一日あたりの宿泊費は5000円前後まで抑えられ、娯楽・サービス費用は半分から4分の一にまで下がります。
娯楽・サービス費用が下がるのは当然でしょう。先程も書きましたが、オーストラリア旅行客の多くは、冬に長野や北海道に行って、スキー・スノボなどのウィンタースポーツを行うために来日する場合が多い。
その一方、単純に観光で来る場合は、料金の発生する施設にはいかず、ただ散策して眺めて終りとなるわけですから、基本的にはお金は使わない。
全体の平均宿泊日数が10日で、娯楽・サービス費用が4725円という事は、1日あたりの娯楽費は500円以下ということで、本当に消費が行われていないことが分かります。

これを見て、納得。
京都というのは、観光スポットが離れている割には、電車がつながって無くて、観光しにくい土地だったりします。
その為、国内の修学旅行客などは、生徒を4人一組に分けてタクシーを1日チャーターして、ドライバーにガイド役をさせて観光名所を回ってもらったりするんですが、外国人観光旅行客はというと、基本的に移動は歩きかバスかレンタサイクル。長距離移動は新幹線の乗り放題サービスを利用。
極力金を使わない移動手段を選び、伏見稲荷大社など、拝観料の必要が無い観光地に行く。
風貌も、大きなリュックを背負ったバックパッカーみたいな人達ばかりで、富裕層が観光旅行に来ているという雰囲気が全く無い。

また、夜、BARに呑みに行っても、カップルで来て酒を頼むのは男性一人で、それを2人でまわし飲み。
その上、チェック後、チャージ料や消費税にイチャモンを付けて怒り出す客も一定割合でいる。(主に欧米系が多く、アジア人はそもそもBARで余り見ない)その中には、一人で切り盛りしているバーテンを2時間占領して散々接客をさせた上、『他の店に行くから案内しろ』という客も見たことが有ります。
文句が多い上に客単価が非常に少なく、その上、手間がかかる為、正直、来ないで欲しいと漏らす人も結構いたり。


では、買い物代はどうなのかというと、買い物に関しては、欧米などよりも東・東南アジア圏の人達の支出が目立つことが分かります。
中でも突出しているのが中国で、一回の旅行で12万円も買い物をしてくれていますし、台湾や韓国も、宿泊日数の割には買い物をしてくれていることが分かります。

ただ、この近隣の国の買い物というのも、そのまま鵜呑みに出来なかったりもするんですよね。
というのも、iPhoneの新作が発表された時に、中国人が物凄い行列を作り、一人で何台も購入したなんてニュースがありましたよね。
こんな感じで、近隣国の買い物というのは、転売ヤー仕入れも混じっている為、完全に鵜呑みにも出来ないんですよね。

ここで、『売れているんだから問題ないだろう!』という反論もあるんですが、この転売ヤー仕入れによる売上増加は、アッという間に無くなる可能性もあるから、信用出来ないんです。
というのも、近隣国からの訪日客の支出が軒並み大きなマイナスを記録しているのは、単純に転売ヤーが減ったからとも考えられるからです。
転売ヤーというのは、普通の人が買いにくい人気の高い商品を、いち早く仕入れることによって、利益を得ることが出来ます。
例えば、iPhoneが、中国でもネット経由で定価で買うことが出来るようになれば、わざわざ日本まで出かけてきて行列に並んで購入する人がいるでしょうか。

IT革命以降、情報技術はドンドン進んできているので、これを利用した様々な販売方法によって、転売ヤーを通さずに直接、企業が客に届けられるようになってきています。
つまり、アジア圏の買物代というのは、今後、大幅に下る可能性があるということ。

こんな感じで見てみると、『観光立国を目指す!』と言っている割には、観光地で働く人たちにお金が落ちていないことが分かります。
光都市と呼ばれる京都でこんなんだから、全国で見ると、観光産業はもっと酷い状況になってるんだと思います。
簡単に言うと今の日本は、治安が良くて安全で、カネを使わなくても観光できる、バックパッカーにとって良い国という感じになっているんでしょうね。
バックパッカー御用達の国といえば、観光客からボッタクるなんて事をして、他の国は潤っているのかもしれませんが、日本の場合は、それらの国に比べて元の物価が高いので、そんな事もしにくい。
その上、『お・も・て・な・し』で料金が発生しないことにも丁寧な対応を求められるわけで…

私の主観では、ドンドン疲弊していっているようにも見えます。
日本はこのまま観光立国を目指したほうが良いのか、真剣に考える必要があると思いますね。