だぶるばいせっぷす 新館

ホワイトカラーではないブルーカラーからの視点

日本の輸送と世界の輸送 【後編】

この投稿は、前回の続きとなっています。
まだ読んでおられない方は、先ず、そちらからお読みください。
kimniy8.hatenablog.com
前回の内容を簡単に振り返ると、米中の経済トップ国では、トラックシェアリングというサービスが導入されていて、すごいスピードで合理化が進んでいる。
その上、アメリカでは、Uber社がトラック自動運転の技術を持つ企業を買収したことによって、更に効率化を進めている現状について書きました。

この投稿を読んで、『日本でも、自動配送サービスは実験されているじゃないか!』と言った、反論をされる方もいらっしゃるでしょう。
確かにヤマト運輸は、ロボネコヤマトなる自動配達便を実験しており、効率化を進めようと頑張っています。
http://kimniy8.hatenablog.com/entry/2017/07/15/122944www.roboneko-yamato.com

ですが、Amazonでは、更にその上を行く戦略を考えているようです。
前回も少し書きましたが、Amazonは既に、自前の配送システムを構築する為に動いています。
航空会社との提携も、この一環なんだと思います。
jp.wsj.com

そして、Amazonが次に進めているのが、ラストワンマイル問題への対応。
これは、中継地点から注文者の自宅に、いかにして物を届けるのかという問題です。中継地点や事業所と自宅の距離が1マイルしか離れていないのに、コストが大幅に掛かるという問題。
日本で問題になっている『再配達問題』なども、このラスト1マイル問題に集約されますね。

これを、いかにして解決しようかと考えた結果、Amazonが考え出したのが、アメリカのスーパー大手のホールフーズの買収です。
www.bloomberg.co.jp
何故、スーパーの買収が、配送に関係有るのでしょうか。
これは簡単な話で、私たちは普段の食事を家で食べます。当然、食材はスーパーへと書いに行きます。
なら、このスーパーにAmazonのロッカーを併設し、買い物をしたついでに、ロッカーから商品を持っていって貰えば、『自宅に届ける』という最も手間のかかる作業を省略することが出来ます。
アメリカの場合は、車社会ですし、スーパーへも来るまで行くので、家に持って帰る手間が大幅に増えるわけでもない。
これは、日本で言うところのコンビニと提携してのコンビニ受け取りサービスと同じわけですが、提携ではなく買収をした事で、より自由に手駒として使えるようになります。

そして、実店舗という視点でみれば、AmazonAmazon Goという無人コンビニのテストを行っていますよね。

このテストが上手く言った場合、このシステムを日本に導入する可能性は、非常に高いですよね。
というのも、日本のコンビニも『凄い!凄い!』とは言われていますが、実際には、搾取が酷い業界として有名です。
コンビニの運営元の『お客様』とは、実際にコンビニを利用する利用客のことではなく、コンビニオーナーなんて言われているぐらいですからね。

だって、最初に開業資金として1000万円ほど用意しなければなりませんし、商品は、最低限、決められた量を買わなくてはならない。
24時間営業なので、ちゃんと営業をしようと思うと、バイトもそれなりに雇用しなければなりませんが、儲けが少なければバイトを雇う事もできなくなる為、最終的にはオーナーが頑張って働くしか無い。
オーナーは個人事業主なので、残業という概念もなく、下手をすれば最低時給以下で長時間働かなければならず、途中でやめようと思うと、膨大な違約金が取られる。
何とか必死に営業し、お金をコツコツ貯めたとしても、2年毎に改装という名目で、コンビニのグループ会社にお金を持っていかれる。

余程の好立地でもなければ、ガレージにして貸しておく方がまだましというレベル。
それが、今のコンビニ業界だったりします。

一方で、Amazonが現在テストをしているのは、無人店舗。
基本が無人なので、仕入れした商品を並べる品出し作業と清掃をすればよいだけなので、バイトを雇わなくてもオーナーが単独で営業できる。
また、入り口でAmazonアカウントを提示して入店するため、店に迷惑をかける様な客はアカウントを剥奪してしまえば良いだけ。
Amazonアカウントの剥奪は、かなり不便な生活を強いられてしまう為、客もわざわざ迷惑をかけようなんて思わないでしょうし、無人だから荒らされるなんてこともないでしょう。
また、無人店舗なので、普通の店よりもカメラが多く、何か迷惑をかけた際には証拠映像も残りやすい。
この様な感じで、客側に圧力をかけられるため、コンビニ運営の仕事も減らせます。

この条件で、日本の大手コンビニよりも搾取具合が少ない場合、既存のフランチャイズオーナーはAmazonに鞍替えする可能性は、結構あると思います。
こんな感じで、Amazon無人コンビニが日本中に増えてくれば、この数だけ、Amazonは荷物引取ロッカーを設置できることになる。
この様に、客の生活範囲内で、労せず荷物を取りに行ってもらえるような環境を作ることで、自宅まで運ばなければならない荷物を減らすことが出来る。

また、そこら中に自社の息のかかった店舗を構えることが出来るということは、そこら中に倉庫を分散して持てるということ。
郊外に大きな倉庫を持つのではなく、コンビニのような小店舗を沢山持ち、それを倉庫にすることで、従来のインフラを使用することが可能になる。

例えば、前回の投稿でも紹介したUberは、タクシーのようなサービスだけでなく、宅配サービスも行っている。
これは、シェアリングエコノミーと呼ばれる分野で、既にあるインフラだが、余り使われていなかったり使い方が限定されているものを、もっと効率よく使ってしまおうという考え方です。

例えば、新聞の配達員は、朝刊と夕刊の2回、新聞だけを配っています。
では、今現在の新聞の市場はどうなっているのかというと、ネットに押されて右肩下がり。
しかし、一定数の契約が有れば、運ばなければならないのが新聞。この新聞配達員に、Amazonで販売された本やDVDなど、ポスト投函で大丈夫なものを運んでもらえば、新たにインフラを作ること無く、配達を行うことが出来る。
新聞配達員は、決まった時刻に受け持ち範囲を回らなければならない為、このついでに配達してもらえば、送る方も受け取り側も、そして配達料を貰うことが出来る配達員も、得をすることになる。

この様な目線で考えると、日本には無駄になっている配達インフラが多い。
ピザ屋の配達はピザしか運ばないし、ヤクルトの配達員はヤクルトだけを運ぶ。高齢化で増えてきた宅配弁当は、弁当だけを運ぶ。
この人達に、ヤクルトや弁当のついでに荷物を運んでもらえば、効率はもっと良くなるでしょう。
更にいえば、ヤクルトや宅配弁当を頼んでいる人は、その配達時間には高確率で家にいるわけで、再配達の心配もかなり減る。

こうして考えると、ヤマトや佐川の様に、ドライバーや委託業者の『頑張り』によって支えられているインフラというのは、効率が悪いし、構造としても脆い。
何故なら、『頑張り』によって支えられているということは、携わっている方々が頑張るのを止めた段階で、崩壊してしまうからです。
また会社側は、更なる効率を求めるためには社員を頑張らし続けなければならないため、ブラックになりやすい。
本来、経営者や政治家が考えなければならないことは、頑張らなくても回すことの出来る組織やシステムづくりのはずです。

アメリカや中国に差をつけられまくっている日本ですが、その差を頑張って埋めようとしている時点で、答えは見えているような気がします。
イノベーションて基本的には、『どうやったら楽を出来るか』という感じで進んでいくと思うのですが、頑張って乗り越えちゃったら、イノベーションを起こす必要がなくなるので、新たな技術は生まれにくいんですよね。
そして、イノベーションを起こさずに頑張って乗り越える前提を作ってしまうと、後続するものも、頑張ることを強要されてしまう。
そんな中、海外企業がイノベーションを起こし、頑張らなくても大丈夫なシステムを作っちゃったら、結果的に人がそっちに流れてしまい、ドンドン追い込まれていくことになってしまう。

日本もそろそろ、働き方に対する考え方を考えないと、取り返しのつかない事になるような気がします。