だぶるばいせっぷす 新館

ホワイトカラーではないブルーカラーからの視点

株とオカルト (前編)

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株ってありますよね。株式投資等の株。
ここ最近では、国が個人に株を買わせるために、必死で色んな制度を新たに作っていたりするので、興味をもたれているかたも増えているのではないでしょうか。
今回は、この株価について考えていきます。

そもそも株とは何なのかというと、会社そのものだったりします。
株というのは通常、複数発行されているため、株価と発行株式数をかけ合わせたものが、その会社の値段ということになります。
この会社の値段の事を時価総額と呼び、トヨタの場合は20兆円前後なので、20兆円あれば、誰でもトヨタを購入することが出来る径さんになります。
まぁ、実際にトヨタを買うとなると、買収を妨害するためや、自身が儲けを出すなど、様々な目的によって値段は跳ね上がる事が予想される為、単純にこの値段で変えることはないのでしょうが、制度としては現時点で20兆有れば購入できます。
トヨタの全てを欲しいわけではなく、実質的に一番偉くなりたいだけなら、トヨタの50%超の株を購入すればよいだけなので、必要資金は半減します。

よく、『会社は働いている私達のものだ!』なんて言ってる方もいらっしゃいますが、資本主義社会のこの世の中では、そんなものは与太話に過ぎず、会社は株主の所有物で、会社が産み出す利益、溜め込んだ資産の全ては株主のものです。
経営者というのは基本的には株主に経営を任されているだけのサラリーマンなので、会社の中で一番偉いわけではなかったりします。
何をするにも、株主にお伺いを立てなければならないのが、資本主義社会なんですね。

この、資本主義社会では結構重要な株式ですが、値段の付け方に注目してみると、結構、オカルト的な感じだったりします。

先程も書きましたが、株というのは会社そのもので、株価は会社の金銭的勝ちを表すのですが、何の物差しもないままに『トヨタいくら?』なんて聞かれても、返答に困ってしまいますよね。
そこで、株式市場には、株価を測るための物差しが沢山、用意されています。

一番よく利用されるのが、PER・PBRといった指標です。
PERは株価収益率の事で、PBRは一株辺りの純資産の事です。
資産運用に縁遠かった方などは、ややこしそうな印象を持たれるかもしれませんね。
ただ、これらの指標も、その意味を知ってしまえば、実は簡単だったりします。

株価収益率であるPERは、その会社が稼ぎ出す利益を、発行株式数で割ったもの。
一株当たり純資産であるPBRは、会社が持っている資産を全て売却した際の金額を、発行株式数で割ったものです。

先程も書きましたが、会社が稼ぎ出す利益も、溜め込んだ資産も、全ては株主のものです。
会社が稼ぎ出した利益は、株主に分配されますし、分配されなかったものは資産として溜め込まれます。
仮に、会社がある時点で解散した場合は、資産はすべて売却され、株主で分けることになります。

例を出して説明すると、1億円の利益を毎年上げている会社があったとして、その会社が発行している株が10000株あったとする。
この場合、1億円を発行株式数の1万で割ると1万円になる。
仮に、銀行金利が2%ぐらいだとした場合、元本保証で比較的低いリスクで稼げるリターンは2%という事になる。
価格変動リスクがある株の場合は、当然、これよりも高いリターンが無いと、投資する意味が無い為、3%ぐらいのリターンの上乗せを期待し、合計で5%のリターンが有れば価格変動リスクを受けても良いと考えた場合、この株の適正価格は20万円ということになる。
これが、PERを基準にした株価の計算方法。

PBR(一株当たり純資産)の場合は、もっと計算が楽で、持っている資産の一株あたりの価格と株価を単純に比べればよいだけです。
例えば、この株式会社が、製造機械や本社ビル等の資産を足し合わせ、20億円の資産を保有している場合、発行株式数1万株の場合は、20億を1万で割れば良い。
そうすると、一株当たり純資産が20万円ということが分かるので、20万円を下回っている場合は、その株を購入し、その時点で株主全員が解散を持ちかければ、株主は特をすることになる。
20万円を上回る価格の場合は、その時点で解散すると損が出るという具合です。

これらの2つの指標の場合は比較的分かりやすく、理解もしやすいと思います。

ただ、問題無のが、テクニカル分析という名のオカルト手法だったりします。
先程、紹介したPER・PBRといった指標は、ファンダメンタルズ分析と呼ばれるもので、企業の価値や収益など、実際の会社の活動の結果を見て分析するものなのですが、この手法の欠点としては、企業業績はそんなに頻繁に開示されないということ。
上場企業については四半期ごとに決算発表がありますが、逆に言えば3ヶ月ごとにしか判断材料が得られないという事にもなります。

しかし一方で、株価自体は毎日取引されている為、毎日どころか、それこそ秒単位で動いていたりします。
ではこの、秒単位で動く株価の動きを、どの様に予測するのか。
その指標になるのが、テクニカル分析なのですが… これが結構、胡散臭い。

例えば、テクニカル分析の基本となるのが移動平均線で、これは、一定期間内の株価の平均値を出したものです。
25日移動平均なら、終値が決定した最新の株価から25日前までの株価を全部足し、25で割ると平均値が出ます。
翌日になると、最新の株価が一日分進むので、それを繰り入れ、一番古い株価は切り離す。つまり、常時、最新から25日分の範囲が入るように、トコロテン式に範囲をずらして平均値を出していくということです。
これを連日続けると、過去25日の平均値が毎日更新され、それをつなげると一つの線になります。
これが25日移動平均線で、5日間の平均を取った5日移動平均など、期間を変えた平均値が沢山あります。

で、この移動平均線を使ったテクニカル分析で、ゴールデンクロスという考え方があるのですが、根拠が全くわからない。
ゴールデンクロスという考え方は、投資初心者が読むようなマネー雑誌に頻繁に取り上げられているので、知ってる方もいらっしゃるかと思いますが、簡単に説明すると、期間の長い移動平均と短い移動平均線を出し、長い移動平均線を短い移動平均線が下から上に抜いた時に書うという手法。
さっきの例でいうと、25日移動平均を5日移動平均が下から上に抜けば買いという事です。ちなみに逆はデットクロスで、売りのサインといわれている。
しかしこれが、全く根拠がない。
例えば、バブル前の様に、基本的に株価が上昇しかしない局面では有効な手法だったのかもしれませんが、上がったり下がったりしている状態では、役に立つどころか毎回損をする可能性も有る。
というのも、長い移動平均は、多くの日数を計算に組み入れているため、動きは鈍い。その一方で、期間の短い移動平均は、組入期間が短い為に動きやすい。
25日移動平均を、5日移動平均が下から上に抜くということは、株価は既に25日の平均値を5日程度は上回って推移している状態にある。
株価が一方方向のトレンド(向き)を示すこと無く、短い間隔で一定レンジを上下している場合、ゴールデンクロスの時が株価のピークで、デットクロスが底値ということが結構有る。

今回の説明では、5日と25日という短い移動平均で説明したが、マネー誌の多くは短期トレードではなく中長期を押しているため、使用される移動平均は13週移動平均と26週移動平均だったりする。
26週ということは半年なので、期間が伸びれば伸びるほど、株価の上限・下限の幅は広くなるため、大損する可能性が出てくる。

じゃぁ、株価が一定のトレンドの状態の時なら役に立つのかといえば、そうでも無い。
大抵の場合、株価は上昇するよりも下降するスピードの方が早い一方で、移動平均線の動きは遅いため、デットクロスが出ているのを待っていると、儲けが全部なくなっているなんてこともかなり多い。
というか、こんな簡単な方法で儲けが出るのであれば皆やっている。
ちなみにこの投資手法、外れて損失が出たとしても、『いまのは騙しだから、騙しかどうかを見極めないと』という魔法の言葉で、この手法自体の間違いは無かったことにされる素敵な理論だったりする。
騙しかどうかを見破れるなら、株価が上がるか下がるかも分かるため、そもそもこんな投資手法に頼らなくても良い。

…と、書いている間にヒートアップしてきたのですが、結構長くなってきたので、続きはまた次回に。
kimniy8.hatenablog.com