だぶるばいせっぷす 新館

ホワイトカラーではないブルーカラーからの視点

【本の紹介】 機械との競争

今回は、本、『機械との競争』の紹介です。

      

この本を簡単に説明すると、テクノロジーの進化によって、経済がどのように変化していくのかについて書かれている本です。
タイトルからも分かる通り、産業革命以降、機械と人間とは仕事を奪い合う状態にある状態なのですが、ITが進歩し、更に競争が激化したように思われる現状で、具体的にどのような変化が起こったのかを、詳しい数値を出しながら説明してくれています。
著者がアメリカ人の為、語られる経済の状態は基本的にアメリカの事ですが、日本人の我々が呼んでも共感できる内容となっています。

私達の社会を見渡せば、確かに、ITの進歩により、実際に多くの職が奪われています。
Amazonの登場で、実店舗の本屋はドンドンと減少していますし、本の電子化やゲームのダウンロード飯場によって、ブックオフ等の中古販売店も苦境に立たされている。
本屋に限らず、価格コムのように参入の簡単なサービスによって、実店舗を持つリスクなんてものも出てきています。
ネットをみれば、『後10年で消える職業』なんてニュースは定期的に出てきますし、今まで人を介して行ってきていた職業が、物凄いスピードで置き換わっています。

資本主義社会では、お金を稼がなければ生きていく為に必要な物資を手に入れることは出来ませんが、お金を手に入れる為には、働かなければなりません。
働く為には仕事が必要なのですが、その仕事が機械やテクノロジーによって奪われている状態。
この本では、この様な現状は、経済的な悪影響はないのかといった単純な疑問から始まります。

疑問を解決する為に、先ずは発表されている経済指標を観るところから始まります。
アメリカでは、2008年にリーマン・ショックという経済的ショックがありましたが、経済指標的には、アメリカ経済はショックを乗り切り、企業業績も過去最高を叩き出す企業が多くなってきました。

これは、日本でも同じですよね。
バブル期を超える決算を発表している企業は多数ありますし、株価も順調に上昇してきています。
2017年4月時点で、景気回復期間も戦後3位の52週間の継続と、日本は不況から立ち直っているとも考えられる経済指標がドンドン出てきています。
私には、全く実感はありませんが。

この『実感がない』と考えているのは私だけではなく、アメリカでもそうらしいです。
では実際には何が起こっているのかといえば、二極化です。

この本では、1983年から2009年までに創造された富の100%以上が、所得上位20%以上の方に流れ込んでいるといると示しています。
サラッと読み飛ばしてしまいそうですが、結構、ショッキングな内容です。なんせ、100%以上なんですから。
これは、26年間に創造された新たな富の全ての金が上位20%に流れただけではまだ足りず、下位80%の人の富が減り、減った分が更に上位20%に流れ込んだ事を意味します。
つまり、指数的には経済が成長しているにも関わらず、下位80%の富は減少し、上位20%の人間が吸い尽くしているということ。

大部分の人間にとっては景気回復は実感できず、むしろ自分達の生活は苦しくなっているのだが、全体としてみてみると、景気は回復しているから、何の問題もないという矛盾。
これは、所得のようなフラクタル構造のものに平均値を導入してしまったことによる間違いですね。
例えば、年収が200万円の人が100人集まると、平均値は当然200万円になります。
ここから一人抜けて、代わりに年収が2億の人が入ってきた場合、この100人の平均年収は倍近くに跳ね上がります。
残り99人の年収が100万円に減少しても、年収2億の人の所得が3億に増えれば、平均値は維持されることになります。
平均値というのは、たった一人の規格外によって、いとも簡単に意味をなくしてしまいます。

この本では、グラフなどを利用して現状を浮き彫りにしているのですが、それらのデータが指し示しているのは、二極化です。

では、二極化は具体的にどのように起こっているのかを、この本では3つのケースで考えています。

1.スキルの高い労働者対スキルの低い労働者
2.スーパースター対普通の人
3.CEOと労働者

最初の、高いスキルを持つものと持たない者との勝負ですが、こちらは高いスキルを持つものが勝ちます。
スキルを持たない人間の仕事の大半は単純労働の為、テクノロジーの進化によって、機械に仕事を奪われることになります。
その反面で高いスキルを持つ職人の仕事は、機械に置き換える事が難しい為、結果として人を使うほうが効率的になります。

次の、スーパースターと普通の人の場合は、スーパースターの圧勝となります。
一応、説明しておくと、スーパースターというのは芸能人だけではありません。それぞれの業界のトップで活躍している人や業種を含みます。
歌手などのケースで考えると、テクノロジーが無い頃の歌手は、ライブ中心で、観客の数は劇場の大きさが限度になっていました。
通信手段がないので、どれだけ有能な歌手であったとしても、噂が広がるのは隣町ぐらいが限度でしょうし、知名度もそこまで上昇しません。
しかしテクノロジーの進化によって、情報は瞬時に世界に広がることが可能になり、CDやダウンロード等の販売手法の増加により、観客の上限はほぼ無くなりました。
その一方で、他に選択肢がないから選ばれていたような普通の人は、スーパースターの商品がいつでもどこでも買えることが出来るようになる為、選ばれなくなります。

また、有名だから有名になるという現象も起こります。
ある分野でトップに君臨する人は、新規顧客が現れた時に、真っ先に選ばれがちです。
その分野に詳しくない新規顧客は、選択肢が多くなれば多くなるほど、どれが自分にあっているのかが分からず、とりあえず売れているものに手を出します。
これは製品でもコンテンツでも同じ。スマフォの機種の中でiPhoneが強いのは、性能が良いからというだけでなく一番有名だからで、有名で売れるから更に有名になるというサイクルが生まれます。

次に、CEOと労働者ですが…
長くなってきたので、続きはまた次にでも書こうと思います。

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