だぶるばいせっぷす 新館

ホワイトカラーではないブルーカラーからの視点

労働者の所得は本当に増えているのだろうか

先日WBSをみていると、日本の労働者の所得は増えているので、どう使わせるのかが重要といった感じの話をされていました。
人手不足が深刻化し、各企業は人材の獲得合戦をせざるを得ない状況になり、給料は上昇してきているそうな。

しかし実際に世間で感じるのは、そんな話とは全く無縁の世界。
ここ数年で生活が豊かになったなんて人には会ったことがないし、私が合う範囲の人は、仕事が無いか、もしくは忙しいが儲からないといった話しかしません。
ただ、私の暮らしている環境が異常なだけで、世間一般では違うかもしれない。
という事で調べてみると、厚生労働省の統計がヒットしました。

それを見て分かったことは、私が実社会で感じる実感と同じで給料が増えているなんてことはない。
むしろ、所得が減った人達の割合は年々増えていて、人々が豊かになったなんてことはありませんでした。
その図がこちら。

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平成12~21年までしか無いのは、この記事を書く為に都合の良いグラフを探してきているわけではありません。
厚生労働省が、グラフを作ったり作らなかったりしているせいで、これしか発見できなかったからです。
というか、こういうグラフや過去の数字は、毎回同じ形式で作らないと比べようがないと思うのですが…優秀と言われている省に勤めている役人がこれを行わないというのは、比べられては困るからかそれとも、そんな深い意味は無く単に読む人間のことを全く考えてないからか…
理由は分かりませんが、とにかく都合の良いフラフを採用しているわけではなく、グラフがなかったからです。

このページを見てみれば、年度毎・もしくは数年ごとにフォーマットが変わってる事が理解できると思います。
国民生活基礎調査|厚生労働省

話がそれたので、元に戻しましょう。

先程のグラフですが、ピンク枠で囲った一番上のカッコ内に書かれているのが平均所得額で、平成12年は616万円だったのに対し、平成21年では549万円に減少。
では、ニュースで盛り返してきていると報道されている最近のデータはというと、平成27年度調査で541万円と微妙に減少しています。
何故、盛り返しているなんて報道がされているのかというと、25年・26年の状態は更に悪かったのが、ここ最近で少し持ち直しているから。もしくは、データにない28年度が異常なほど良かったのか…
平均所得の推移を見ると分かりやすいですが、20年前をピークとして下がっているのが確認できます。

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大幅に下がったところから観ると小反発しているが、大きな目で観ると下がっているという状態です。

そして、このグラフのいちばん重要な点は、低所得者層の割合が増加しているという点。
平均年収以下しか貰っていない人は全体の61%程度と一定水準を保っていますが、500万円以下で平均年収以上という、グラフで言うと上澄み部分の白い層が圧縮されていっているのがわかります。
その一方で、200万円以下・300万円以下の所得の人達が増加しています。
これから分かることは、平均所得以下という枠組みの中でも二極化が進んでいるということです。

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比較的最近のデータである27年度の所得階級別の相対分布はこんな感じ。
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グラフが違うのでわかりにくいと思うので、数値を比較するとこんな感じです。
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低所得者層の数値が増え、所得が高くなるほど数値が減っているのがわかると思います。

こういうことを書くと、政治家や企業の肩を持ちたい人達から『平均所得が下がったのは、団塊ジュニア世代が大量退職。しかし65歳はまだ若くて働ける上、今までの経験や知識・技術をムダにするのは勿体無いので、安い値段で嘱託として働いている人が増えたから』といった言い訳を聴きます。
一見すると、まともでしっかりした意見のようにも聞こえます。
しかし見方を変えると、定年まで働いて身につけた技術・知識・経験・ネットワークを退職したからという理由で現役世代の何分の一という値段で買い叩いているだけなので、これはこれで問題。
また、本来なら退職する人が安い値段で仕事を引き受けるということは、そのしわ寄せは何処かに向かいます。

何処に向かうのかというと、若い労働者。
『あの先輩は、お前の給料の半分なのに、効率が良いから2倍の能率が上がってる。』なんて理不尽な事をいわれ、昇給されないなんてケースも有るでしょう。
人の評価なんて相対比較ですから、質の高い仕事を安い賃金で引き受けてくれる人がいると、普通の仕事を適正価格で行っている人が割高に見えますしね。
結局、その理不尽な意見によって空いた穴はサービス残業という形で埋められるわけで、日本企業のブラック化の一翼を担っているようにも思えます。

また個人的な意見を言わせてもらえれば、退職したのに働かないと生活できない、もしくは、仕事以外に何もする事がない社会というのも、どうかと思いますけどね。
国としては、学校を出たら死ぬまで働いて税金を収めてくれる方が良いのでしょうが、それが人の生き方として正解なのかと聞かれれば甚だ疑問です。

これらのグラフからも分かる通り、日本の労働者の賃金は決して上がってはおらず、平均所得は大きな目で観ると減少傾向です。
その上、平均所得以下という括りの中でも二極化が進んでいる。国内の格差がよく分かる『相対的貧困率』で見ると、微増とはいえ年々増加している事からも、このことがよく理解できると思います。

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ここまで書いても、まだ、『不景気だから、企業も大変なんだよ!』と、企業・資本家の味方をしたい人もいらっしゃるでしょう。
そんな人は、このニュースを観てください。
3日前の日経新聞の記事です。
www.nikkei.com
これによると、企業の所得である法人所得額は、過去最大の57兆円に達したようです。
増加は今回に限ったことではなく、6年間連続で上昇中。

当然といえば当然ですよね。労働者を以前よりも安い値段で買い叩いているんだから、同じ業務をして同じ売上があげられるのであれば、人件費節約分がそのまま利益として上がります。
また、人件費を抑制することで損益分岐点も下がる為、今までは不可能だった仕事だって引受けることが出来ます。
ただ当然といえば当然ですが、こんな事をすればブラック企業になってしまいます。しかし、今の日本は大抵がブラックで、ブラックが普通となりつつ有るので、麻痺してわかりづらい状態にはなっているんでしょうけどね。

現状では、企業・資本家が一方的に勝っていて労働者は辛酸を舐めさせられている状態。特に現場に近い程、つらい状態になっています。
本来なら辛い職場や下請けの人達は、報酬に不満が有ればストライキなどの行動を起こして交渉する必要が有るのでしょうが、ストライキが効果的なのは供給不足の時か、需給バランスがとれている状態のときのみ。
今の供給過多の状態では、『そんな値段で仕事は受けられない!』って突っぱねたら他の業者に話を持っていかれるだけなので、それも出来ない状態なんですよね。

今回紹介した様々なグラフでは特に改善に向かってるなんて傾向は見られませんし、今後も現場に近い労働者は更に苦しい立場に立たされることになるんでしょうね。
重要なのは再分配なんですが、我が国では首相が『トリクルダウン! 金持ちがより金持ちになれば、お金を使ってくれるから格差が無くなる!』なんて言ってるわけで…
悲しいことですが、この国は、行くところまで行かないと駄目なのかもしれませね。

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