だぶるばいせっぷす 新館

ホワイトカラーではないブルーカラーからの視点

ジャンル間のシェア争いと構造は年金構造に似ている?

前回の投稿では、ITの進化によって意思疎通が簡単にできるようになった結果、ジャンルが多様化しはじめた。
ジャンルは増えたが一日の可処分時間は増えない為、それぞれのジャンルによる顧客囲い込み合戦が始まったというようなことを書きました。
kimniy8.hatenablog.com
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顧客囲い込みの手段として用いられているのが、低価格や無料でのサービス展開です。
しかし、『無料(低価格)でサービス展開をして、商売として成り立つのか?』と疑問に思う方も少なくないかもしれませんね。
当然の疑問でしょう。昔は有料で行っていたサービスを無料で行うわけですからね。
では、どういうカラクリになっているのかというと、『取れるところから取る』んです。

身近な例でいうと、スマホゲームが有りますね。
スマートフォン上でのゲームということで、出来ることには限界は有りますが、無料でダウンロードしてプレイする事が出来るようになっています。
一昔前であれば、ゲームソフトを購入しなければ遊ぶことは出来ませんでしたし、ソフトを買わずにプレイできるゲームセンターは、1回毎にお金を入れなければ遊べませんでした。
しかし今現在は無料でゲームを手に入れて、無料で遊ぶことが可能になっています。
何故このようなことが可能になっているのでしょうか。ゲームを作るにも管理するにも、一定のコストはかかっているはずです。
答えは簡単で、一部の人間からお金を徴収しているからです。

スマートフォンで遊べる基本プレイ無料のゲームは、多くの場合がアイテム課金制をとっています。
これは、ゲームを有利にすすめる為のアイテムを有料で販売することによって、利益を得るシステム。
ゲーム内アイテムはゲームのデータなので、運営からすればコピーすれば無限に増殖できるものです。それを販売することで、利益を得ているわけです。
では一体どれほどの人間が課金しているのか。私の遊んだ限り、余程、夢中になって打ち込まない限り課金をしなくても十分楽しめる作品ばかりだったので、大半の人間は課金していないでしょう。
調べてみると、スマホゲームの収益の半分は、0.2%程度の廃課金者が支払っているという記事を発見できました。

正に、『取れる所から取っている』典型的な商売ですね。

では他の商品(ジャンル)はどうなのかというと、広い目で見ると、実は、似たような構造だったりします。
例えばアニメ作品。アニメはテレビで無料放送しているので、普通に見ている分には無料で楽しむことが可能です。
しかしアニメという分野も、お金を使おうと思いば際限なく使える分野だったりします。
アニメ商品で真っ先に思い浮かぶのが『DVD・Blu-ray』といった円盤と呼ばれる商品です。アニメの第1話放送時に数カ月先の円盤の発売日を知らせる広告が流れることから、力の入れようがわかります。
この他にも、Amazonなどで調べてみるとわかりますがフィギュアなどを始めとしたグッズが非常に多い。
そして、これらの販売が伸びて収益的にもプラスになると『映画化』によって更なる課金チャンスが訪れます。
マニアックな作品であれば、劇場公開とDVD・Blu-ray販売、そしてストリーミング再生が同じ日。
『どうせマニアは、ストリーミング解禁日に我先にと課金して家で見て、映画館の会場と同時に劇場に足を運び、帰りにDVD・Blu-rayを購入して買えるんでしょ?』といわんばかりに、同時に全部出しちゃいます。
普通なら、時期をズラしますよね?だって、ストリーミングやDVD・Blu-ray販売を最初に行うと、劇場に足を運ぶ人が減る可能性もあるわけですから。。
でも、同時。何故かというと、マニアックな作品なので、そもそも詳しくない人はストリーミング再生もDVD・Blu-ray購入も行わない。逆にマニアは家で観れる体制が整っていたとしても、劇場で何回も観る。
極端な場合だとBlu-ray販売を劇場でしか行わず、『ディスクが欲しければ、映画館に来い!』なんて商売をしているところもあるようです。
こんな挑戦的なことを行われていても、むしろ燃えて課金する。このことを見越しての戦略なんでしょう。

映画の話が出たので、との続きということで映画について観てみても、タイプは違うけが似たような構造だったりします。
最近の洋画といえば、ビックタイトルは映画にも関わらず連作だったりします。
映画の利点として真っ先に思い浮かぶのは『2時間で終わる』ことなんですが、最近は前後編と続いて当然。マーベル作品など極端な例では、10作以上続くなんてものまで出てきています。
10作を超えるとなると20時間以上の消費となる為、もはや映画の利点はなく、連続ドラマをお金を払って見ているのと同じような状態になります。
普通に考えて明らかに観に行くためのハードルは上がっているのですが…
それでも連作がここ最近増えている現状を考えると、映画館で作品を観ることが習慣化している層に向けて作っている事が考えられます。
過去の作品を映画館で観続けてきた人は、続編が出来れば黙って観る。そして、シリーズが長期化すればする程、キャラクターの認知度も増えるので、グッツ展開などもしやすい。
映画の公開以外のライセンス収入が大きく得られるのであれば、極端な話、映画の売上は赤字でも良い。
キャラクターそのものの人気が独り歩きしてくれれば、キャラクターつながりで元のコンテンツの売上にもつながる。
そして一度足を踏み入れて沼にハマってしまえば、そこに待っているのは無限に広がる課金の世界というわけです。

他には、音楽・アイドル業界なんかも同じ様なものでしょう。
IT革命以降、音楽は無料化してコスト無しに楽しめる機会が増えてきました。
こんな状態で売上を上げる為に、一人の人間からどれだけ吸い上げるかが重要になってきました。
握手券を付けて一人の人間に何枚もCDを買わせるなんてのは良い方で、投票券を付けて応援しているアイドルに順位をつけるなんて方法で、1枚のCDリリースで大量に売り捌くという方法が確立し始めました。
もっと良心的で音楽に真剣に向き合っている人達の場合でも、CD売上よりもライブや付随するグッツ販売の方に軸足を移し始めています。
『およげたいやきくん』がヒットした際には日本国民の大半が曲の存在を知っている状態でしたが、今では100万枚販売されたとしても大半の人間が曲の存在を知らない状態になっています。
これで成り立つのも、『取れる所から取っている』からです。

つまり今のコンテンツは、幅広い層から少額の金を集めるのではなく、極一部のマニアから多額の金を集金するシステムになっているわけです。
多額の金を払ってくれる優良顧客は数少ないわけですから、その少ない廃課金者の数を増やす為、『少額かつ定額』『無料』といった感じで分母を拡大しているのが、現状行われている戦略だったりします。
狙っているのは、『コンテンツにド嵌まりする数少ないマニア』となってくると、シェア争いの方法なども変わってきます。
従来の様に顧客をガッチリ囲い込む必要はなく、金を落とさないフリーライダーは『縁がなかった』と、お互いに他のジャンルと融通し合えば良い。
そうすることで優良顧客の数を増やせれば、互いにハッピーというわけです。そもそも一部の趣味に多額の金を使うということは、多くのジャンルに関わる余裕が無いことを意味しますからね。

こんな感じで増えているのが、『コラボ』。
アニメやマンガがパチンコやアプリと提携したりと、ジャンルを超えたコラボ合戦が展開しています。
これは、アニメ好きをパチンコの道に引き込んだり、逆にパチンコ発でアニメの存在を知ったりと、ジャンル感を飛び越えた営業が可能になります。
パチンコは趣味程度でしか金を使っていなかった人が、アニメにドップリ浸かって多額の金を出すようになるかもしれませんし、その逆も考えられますよね。

ただこの様な状態は、どのジャンルにもハマらない人間にとっては、横断的にフリーライド出来てしまう世の中でもあるんですよね。
多くの人が無料に近い状態でサービスを楽しめているのが、一部の人の廃課金利用者のお陰。
どことなく、構造が日本の年金と似ているような気もしますが、何故か今のところ上手くいっている。。。
この辺りのことも深く考えると面白そうですが、今回はこの辺りということで。

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