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だぶるばいせっぷす 新館

ホワイトカラーではないブルーカラーからの視点

ITによって意思疎通が出来る様になったことで増えたジャンルとシェア争い

少し前に、世の中にあふれる低価格・定額サービスと可処分時間との関係について書きました。
kimniy8.hatenablog.com

前回の投稿は、現在展開されているサービスを中心に書きましたが、何故こんなサービスが展開されているのかについては書いていなかったので、今回はこの部分について考えていきます。

一番大きな理由としては、IT革命が挙げられるでしょう。
コンテンツが手軽に個人レベルで作って配信できるようになった為、質はともかくコンテンツ量が爆発的に増えました。
例えばこのブログなどもその一つですよね。
文章というものは、以前は本や雑誌、新聞を通してしか目にすることが出来ないものでしたが、ネット登場後のブログ文化によって、誰でも簡単に思っていることを書いて更新することが可能になりました。

このネットによる文章の発信ですが、一部のメールマガジンや会員制サイト以外は通信料さえ払えば基本的に無料で読むことが出来るわけですが、無料だからと言って一概に質が悪いともいえないんですよ。
従来の文章メディアは、販売するまでにコストがかかるわけで、そのコストが回収できるような内容の文章しか載せて発行することは出来ませんでした。
当然、取り扱う話題も万人受けするようなものにする必要が有ります。
お金お貰っているライターが書くということで、文章の質は確保されるという長所はありますが、話題の幅が限定されるという欠点も有りました。

しかし、ネットの場合はそのコストが殆ど掛かりません。
訴えたいことがある人が文章を書き、読みたい人がサイトを訪れて勝手に読むスタイル。
多くのブロガーは仕事ではなく趣味で書いている為、どんなにマイナーな話題やジャンルであっても、自分が興味の有ることであれば労力をかけて書いて発表します。
その結果として、毎日の様に膨大な情報が無料で提供されるという状態になってしまいました。
また、それらのコンテンツに対するリアクションも容易に出来る様になりました。
この動きは文章だけに留まらず、動画や音声コンテンツ等、新湯部分屋において起こりました。

この結果、何が起こったのかというと、価値観の多様化です。

従来のように、大手メディアが何らかのコンテンツを出して情報を届けていた時代であれば、情報源が限られていたわけですから、国民の誘導も割りと簡単に出来ていたのでしょう。
『皆が何を考えているのか。』なんて事を普通の人が調べるのは難しいことですからね。
この様な状態では、各メディアが発信している『皆はこんなことを考えている』『今の流行りはこれ!』なんて情報を信じるしか無い。
しかし、皆がそれぞれ発信してリアクションが取れる状態であれば、普通の人でも簡単に他人の意見を検索して知ることが出来ます。
今までは、大手メディアによって一方的に『常識』『流行』といったものを押し付けられ、それ以外のものは異端と思われてきたわけですが、皆の本音が共有できるようになると、自分の趣味趣向が特別で異端でないことを知ることが出来るようになります。
こうなってくると、事情は大きく変わってきます。

自分が本当に好きだと思っていることが変な趣味ではなく、同じように好きな人が一定数いることが分かると、無理して興味のない押し付けに耳を貸す必要はなくなってきます。
自身が好きなジャンルについて思ったことをTwitter等で書き続けていれば、同じような趣味を持つ人がフォローしてくれるでしょうし、人間関係も広がっていきます。
そして、特定のものを好きな人たちが集まることで、マイナーだったものが一つのジャンルとして確立してきます。
ジャンルが確立すると、次に起こるのが掘り下げ。この様な感じで、ジャンルはより狭く深く細分化されていきます。

例えばアニメですが、昔はアニオタなんて一括りにされていましたが、今現在は年間300本近いタイトルが放映されている為、全てを網羅することは時間的に難しい状態になっています。
このような状態になると、アニメという大きなジャンルで括ることは難しくなる為、日常系・ロボットもの・シリアスな人間ドラマ・恋愛・萌系など、どれかのジャンルに絞って観るという状態になってきます。
そして、特定の物しか観ない人達がSNSなどを通して交流し、現在進行形で放送されているタイトルの考察は勿論、二次創作であったり、過去に遡ってルーツを探したりといったことが行われて、一つのジャンルとして確立していきます。
アニメを全く見ない人が傍から見れば、皆同じアニオタなわけですが、実際に見ている人間からすると、『あのジャンルのことは知らない』『あいつらと一緒にするな』なんて事になっていたりします。

この様な動きは、アニメやゲームといったオタク的な分野だけにとどまらず、あらゆる文化で起こってきています。
音楽好きでも、特定のジャンルしか聴かないので他のジャンルは知らないという人は沢山いますし、映画・本などでも同様です。
人が持つ時間は1日24時間と限定されているわけですし、あらゆるジャンルで考察やら掘り下げが行われれば、全てを追えなくなるのは当然でしょう。

こんな状態で起こっているのが、ジャンル戦争。各サービス間での生き残り合戦です。

昔のように、皆が広く浅く知識を持っていた頃は、自分の所属する分野でトップレベルになれば、自然と皆が知ってくれて売上にもつながりました。
しかしジャンルが分岐して増えすぎると、特定ジャンルでトップを取った所で、そのジャンルを知らないなんて事も充分ありえます。
ジャンルそのものが『忘れ去れれる』と、消費者の拡大なんて望めませんし、最悪の場合はコンテンツ制作者の新規参入すら望めなくなるなんて事にもなってしまいます。
利用者もいなくなり提供者もいなくなってしまうと、それこそジャンルの『死』を意味し、そのジャンルに関わる人達の仕事も無くなってしまいます。

業界人にとっては、単純に食い扶持が無くなる事もそうですが、好きで業界に入って自分達で作り上げてきたジャンルそのものが無くなるというのは、耐え難いことでしょう。
何とかして一定の知名度を保ち、利用者を囲い込む為には『無料(低料金)でも良いから一度使って、良さを理解して!』と、ばら撒くしか無い状況。
『無料(低料金)でバラ撒いて、商売になるの?』と思われる方も多いでしょうが、これらのサービスを利用して良さを理解した一部の人間が課金をすれば、商売としては成り立つ仕組みになっていたりします。

この部分についてもう少し詳しく書きたいところですが、文章量的に丁度よい感じになってきたので、続きはまた次の機会にでも書こうと思います。