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ホワイトカラーではないブルーカラーからの視点

経済ニュースにおける、恐怖のシナリオの作り方と煽り方 その悪影響について

前回は、マスコミやそれに関わる関係者が、恐怖を煽っているということについて書いていきました。
kimniy8.hatenablog.com

では、どの様にして恐怖を煽るのか。
今回は、このことについて考えていきます。

物事を正しく認識する為に最も必要なのは、情報を集めることです。
しかし更に重要なのが、この情報の使い方です。
先日まで放送していた深夜アニメ『ジョーカーゲーム』でも、『情報は集めるよりも使うほうが難しい』と言われていましたしね。

何故、情報の使い方のほうが難しいのか。
それは、事実は見方や立場によって、どのようにも捉えることができるからです。

一つの情報・物事には、多数の見方が存在します。
物事を正しく認識する為には、当然のことですが、情報を多方面から観ることが重要になってきます。
一方から見れば悪いことでも、裏側から見ると良いこともある。
そして、側面から見ると全く違ったようにも見える。
正しい理解をする為には、出来るだけ多方面から観ることで、物事を正確に理解することが大切になってきます。

これは、経済ニュースでも同じことです。
一つ例を挙げると、イギリス脱退についての分析で『イギリス脱退によってポンドが売られ、イギリスの購買力が落ちることによって経済が悪くなる』という意見があります。
確かに、通貨安には、この様なデメリットもあるでしょう。
しかし、このニュースを額面通りに受け取ると、通貨が高い場合は、購買力の上昇によって景気は良くなるはずですよね。

通過というのは天秤のようなもので、一方が下がれば一方は上昇します。
円とポンドを比べた場合、ポンドが下落すれば円は上昇します。
ポンド下落によってイギリスの購買力が落ちて景気が悪化するのであれば、円の購買力は上昇するので、日本の景気は上昇するはずです。

しかし何故か今回の解説では、そうはなりません。
諍論家によると、イギリスは通貨安の影響で景気悪化しますが、日本は円の上昇によって輸出が伸び悩み、景気悪化するというシナリオになってしまいます。
同じ通貨の上昇でも、イギリスの場合は好影響だけが出て、日本の場合は悪影響だけが出る。
これは、物事の都合の良い面だけを取り上げて、無理やりシナリオをつくったことによって起こる矛盾です。

通貨安には、悪い面もあれば良い面も存在します。
イギリスのポンドが下がる事で、イギリスの輸入は伸び悩む可能性はあります。
しかし、通貨が安くなることで、今までは輸入していたものを自国で作るようになり、内需が刺激され、雇用などに良い影響をあたえることも十分考えられます。
また、ポンドが安くなることで、近隣諸国から旅行にも行きやすくなります。
確かに、ユーロからの離脱によってパスポートが必要になったりと旅行関連でデメリットは有りますが、現地の物価が下がるというメリットが上回ることは十分考えられます。

ユーロに入ってからのギリシャは周期的に聴きを起こしていますが、ユーロ加入前のギリシャでは、財政が破綻しそうになると通貨安になって現地物価がやすくなり、観光客が押し寄せることで景気回復をしていたなんて解説もあります。
日本でも、為替が円安になった途端に、海外からの観光客が増えましたよね。
双方とも、パスポートが必要なのにもかかわらず、観光客の増加によってプラス面が出ました。

本来であれば、為替の変動によって引き起こされるデメリットからメリットを差し引く必要があります。
しかしマスコミや評論家は、自分達にとって都合の良い面だけを取り上げて予測を作り上げます。


そして、もう一つ行われていることが、不都合な真実は無視するという事。
これは、マスコミや評論家に限らず、銀行の資産運用部や不動産屋、保険の外交員などがよく使う手ですが、聴かれない限りは不都合な真実は自分から言わず、無かったものとして取り扱います。

今回のケースでは、イギリスはEU脱退によって、非常に大きな経済的損失を被ると言われています。
逆にEU側は、出て行くというイギリスを止めること無く『出て行くならさっさと出て行け。追随するものが出ないように、イギリスには懲罰的に厳しい条件を突きつける!』って感じの報道がされていました。

では、実際に株価はどのような動きをしたのでしょう。
この報道が真実であれば、経済的に先行き不透明なイギリスの株価は、ヨーロッパの中でもダントツに売られているはずです。
逆に、UEに残り続ける国々は安定的な状態を維持できるわけですから、影響が有るといってもイギリスに比べればマシなはずです。
という事で調べてみました。
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このチャートは、上がイギリスで下がドイツの株価です。
一目でわかると思いますが、イギリスの株価はショック後から一貫して上昇し、ショック前の高値を超えて上昇しています。
その一方でドイツの株価は、ショックによる下落分を取り戻せていません。

これから分かる事は、少なくともヨーロッパで自分達の資金をリスクに晒している投資家は『イギリスは買いだが、ドイツは買えない』と判断したということです。
勿論、ショックから数日だけの動きなので、これから先の動きは分かりません。
この値動きも、投資家がイギリスの離脱を事前に予測していて、空売りを仕掛けていたものを、離脱決定後に一斉に買い戻した結果という可能性もあります。

ただ、現時点では、イギリスは買われてドイツは買われていないという事実は存在します。
しかし、これらの事実は余り触れられることは有りません。
ドイツの株価が下落したというのは、伝え方によっては不安を煽れるので、使われることもあるでしょう。
しかし、イギリスの株価が上昇していることは、ほぼ触れられません。

何故なら、『イギリスが馬鹿な選択をしたせいで、自分で自分の首を絞めた』というシナリオの邪魔になるからです。
今後、イギリスの株価が取り上げられることがあるとすれば、何らかの原因でショック後の安値を下回った時だけでしょう。

まとめると、恐怖の煽り方とは、まず恐怖を煽るシナリオを用意してから情報収集をし、そのシナリオを強化する様な情報のみを付け加えていく。
情報は組み合わせによっていろんな解釈が出来るが、自分達にとって都合の良い部分だけを強調して利用する。
利用できない、もしくは、自分達のシナリオを崩すような情報は、あったとしても無視をする。

こうして信用できそうな状態にまで質を高めていけば、後は連日のように皆で大合唱をするだけです。
人の精神は案外脆いもので、連日のように皆で一つのシナリオを連呼し続けると、そういうものだと思い込んでしまします。

これだけなら問題はないのですが、一番怖いのは、この創られた最悪のシナリオを信じて皆が不安な気持ちを行動で表してしまうと、本当に最悪のシナリオが実現してしまうという事です。
予言の自己成就というのでしょうかね。
最悪のシナリオに対して備えは必要だと思いますが、必要以上の煽りは、結局は害悪でしか無いんです。

前回と今回の投稿を通して私が伝えたい事は、みんな、自分で考えましょうということ。
私が観る限り、地上波で観れる経済ニュースの大半は、素人ブログ程度の考察だったりします。
本を数冊読む程度で、テレビのコメンテーター以上の意見を考えることは可能なので、変な意見には振り回されず、自分で考えるようにしましょう。
仮にその考えが間違ったとしても、それは次に活かせば良いだけで、テレビの意見を盲信しているよりかは、かなりマシだと思いますしね。