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ホワイトカラーではないブルーカラーからの視点

イギリスのEU離脱は、本当に大混乱を招くのだろうか

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ニュース速報によると、今日の昼頃にイギリスのEU離脱が報じられましたね。
私は毎日の様に経済関係のニュースを見聞きしておりますが、多くの経済専門家の予測は、残留でした。
その予測は見事なまでに、華麗に外した事になりますね。

そういえば政治評論家や専門家は、『アメリカ大統領のトランプ氏は泡沫候補ですぐに消える』なんて豪語していましたが、実際には有力候補の一人として残り続けていますね。
更に遡ると、大手経営者の株価予想を日経新聞が掲載しておりましたが、予測は最安値が17,000円で高値が24,000円。
この予測も、僅か1ヶ月と持たずに1月末には全員がハズしていますね。

この現状を見ると、専門家とは一体何なのかと疑問を持ってしまいます。

で、その専門家が英国のEU離脱について何と言っているかというと…
経済的混乱が起こり、大変な時代になると大騒ぎしているわけです。

しかし本当のところは、どうなんでしょうかね。

オオカミ少年では有りませんが、ここまで尽く嘘と言っても過言ではないような予測をし続けてきた専門家。
この人達が騒いでいるという事は、逆に大した影響は無いとも言えるのかもしれませんね。
という事で今回は、イギリスのEU離脱について考えていきます。


専門家の方々やEUの現首相は、EU離脱をしたらトンデモない事になり、世界は混乱すると主張してきました。
では何が原因で混乱や損失が生じてしまうのか。
簡単に書くと、英国・EU間の貿易コストが上昇してしまう。
英国から、グローバル企業の本社がが逃げていく。
よく聞く原因はこの2つなんですが、両方共、ヨーロッパ間の貿易の事なんですよね。

この貿易によって起こる問題を取り上げて、『イギリスの損失が増大する!』『製造工場・本社機能の移転コストが!』なんて騒いでいるんですが…
そんなに大した問題なんでしょうかね。
この話は、イギリスが損失を出す可能性があるという話であって、全世界が莫大な損失を出すという話では無い。

その貿易関係についても、EU離脱後に新たに貿易協定をEUと結べば良いだけです。
今までの貿易関係で、英国だけが一方的に非常に有利な条件で貿易協定を結んでいたのであれば、それが解消されることで英国に損失が発生するかもしれません。

しかし、離脱問題が起こる前のEUでは、『EUが誕生してから、イギリスだけが貿易で儲けを出している!』なんて話は、少なくとも私は聴いたことが有りません。
ではどんな事をいわれていたかというと、『ドイツの一人勝ち!』。

ヨーロッパといえば、今も昔も、生産拠点となっているドイツの輸出が目立っていました。
この状態、EUが存在する前ではどうなっていたかというと、マルク高によってドイツの貿易が不利になっていたんです。

ドイツから物を輸出する場合は、ドイツが物を販売し、その代金はマルクで受け取りますよね。
そのマルクを調達するために、他国は自国通貨を売ってマルクを購入しなければならない。
結果としてマルク高になり、ドイツ製品は割高になることで、国際競争力が削がれていたんです。

しかしユーロが導入されると、どうでしょう。
通貨が同じになる為、為替による製品の変動が無くなるわけです。
その結果として、ヨーロッパじゅうのお金がドイツに集中することになったのです。
また、ギリシャやスペイン、イタリアなどの国が通過ユーロの足を引っ張ってくれることで、ドイツ単独の頃よりも通過的には安い状態を維持できる。
ドイツにとっては、結構良い環境といわれていました。

そしてEUは、単にユーロを導入するだけでは有りません、人の行き来も自由にする枠組みです。

貿易でドイツが一人勝ちになって、企業が儲けを出すという事は、より優位な条件で求人募集が出せるということです。
これにより、ヨーロッパ中のエリートはドイツに吸収されることになります。
日本で例えると、地方の有名大学を出た人間が、就職で上京するようなものです。

こうなると、ドイツの競争力は更に増強されます。
正に、ドイツ1強の状態です。

つまり、現状ではEUに加盟していることで、イギリスが非常に優位な状態で貿易が出来ているというわけではありません。
どちらかと言うと、得をする部分もあるがデメリットも有るという、EUとは持ちつ持たれつの様な関係だったわけです。
イギリス国民も、メリットとデメリットを天秤にかけた上で、デメリットの方が大きいと判断した人が多かったから、離脱になったのでしょう。

また、EUから脱退したとしても、条件的に似たような貿易協定を結ぶことは、交渉次第で不可能では有りません。
現に、EUに加入していないけど、貿易面では同じ条件で取引している国もありますしね。
交渉によっては、EUに残留するよりも有利な条件で結び直すことも可能かもしれません。

また、『貿易!貿易!』と行っていますが、イギリスが大量の工場を抱えていた時期って、産業革命期ですよね。
それからは製造工場はどんどん海外に移っていき、イギリスは金融国家になっています。イギリスの産業で製造業が占める割合は、10%程度まで縮小しているようです。
EUから抜けたら『金融国家としても成り立たない!』なんて声も聴きますが、同じ金融国家であるスイスは、そもそもEUに入っていません。

マスコミはや専門家たちは、不安を煽ってナンボ!ってところが有るので、結構大げさな騒ぎ方をしていますが、今回の出来事は、莫大な損失が発生したリーマンショックのような経済危機では有りません。
今ある枠組みから、国が1個抜けるだけです。
ヨーロッパ地域にある国々は、EUに加入していなければ存続すら出来ない状況というわけでもなく、加入していない国も沢山有ります。
抜けたからといって、どちらかが破綻するわけでもないんですよね。

よくよく考えてみると、今回の出来事は、これからイギリスがどのような行動を取るかが重要なのであって、離脱そのものに、そこまでの意味は無いと思います。
今後、重要になってくるのは観察することなのですが、世間ではこの騒ぎっぷり。

普段からマスゴミマスゴミ!と、テレビの報道を全く信用していない人達が、何故かマスコミの意見を盲信して、一緒になって危機を煽っている。
そりゃ、金融市場などでは予想していなかったことが発生したわけですから、一時的なポジション調整などの動きによって、乱高下も起こるでしょう。
その一時的な現象だけを取り上げて、マスコミと一緒になって危機を煽る現状には、なにか違和感を感じてしまうんですよね。

もう一度、冷静になって考えてみてください。
今、テレビに出て危機を煽っている人達は、1月に出した今年の株価予想を僅か20日程でハズし、トランプの躍進を見抜けず、イギリスの離脱を予想できなかった人達なんです。
景気なんてものは、悪くなると思ってお金を使わなければ、本当に不景気になってしまうものなんです。
そして更に冷静になって思い出してください。
世界は、全世界を巻き込んで大幅な損失を出した、リーマンショックですら壊れなかったんです。

イギリスがEUの枠組みから抜けるだけで、世界は本当に大混乱になるのでしょうか。