だぶるばいせっぷす 新館

ホワイトカラーではないブルーカラーからの視点

【本の紹介】 魔女の世界史

今回紹介する本は、『魔女の世界史』です。



この本を知った切っ掛けですが、私の趣味の一つがPodcastを聴く事で、多くの番組を聴いています。
そんな中の一つに、『東京ポッドキャスト』という東京リチュアルというところが配信しているオカルト番組が有るのですが、その方々が公式サイト内で紹介されていたので、興味を持って購入してみました。

『魔女』と聞くと、オカルトに全く興味のない人は、白雪姫に登場するような不思議な魔法を使う老婆を思い浮かべるひとが多いのではないでしょうか。
魔女の宅急便』を思い出す人も居らっしゃるかもしれませんね。
いずれにしても、ホウキにまたがって宙を舞う、人間にはない力を持った女性ですよね。

そんな『魔女』の世界史なので、このタイトルを聞いてファンタジー的なイメージを抱かれる方も少なく無いと思います。
しかし実際には、先程書いた様な魔女のイメージは、この本で紹介されているものの一部にしか過ぎなかったりします。

この本では、【魔女の定義・起こり】【魔女の活動】【現代における魔女カルチャー】の大きく3つの章に分けて、魔女の起こりから現代へと継続していく流れを、大雑把に紹介されています。

始まりは、まず、魔女とは、何なのかということから。
私が読んで解釈した範囲で書くと、それは、カウンターカルチャーサブカルチャーを代表するもの。
常識を、逸脱するものでしょうか。

では何故、女なのか。
それは、古くから女性が蔑視され、差別され続けてきたからのようです。

例えばキリスト教の聖書で、イヴは蛇にそそのかされて知恵のみを食べ、それをアダムにも食べるよう薦めて、結果としては楽園から追放されることとなります。
蛇はサタンの化身ともいわれているので、悪魔に唆されて堕落した女性が、男性を引きずり込むとも解釈できるわけです。
別にキリスト教等の宗教に限らず、人の文明は男性によって支配され、男性がつくってきました。

女性は時には男性の所有物のように扱われる事も、しばしば。
そんな男性社会に立ち向かうため、そして変革させる為に取る行動が、一つの文化を作っていった。

男性が作った男性社会に対して反抗するのは、やはり女性で無くてはならない。
という事で、女性がシンボルになり、現体制に対して積極的に反抗する女性が『魔女』と呼ばれるようになったということでしょう。

現体制やメインカルチャーに対して抵抗し、カウンターカルチャーを実行するものを『魔女』と呼ぶようです。

例えば有名な例でいうと、キリスト教全盛期に、教えに反して科学を追求して聖書に書いていないことを主張するのは、キリスト教を基礎にした社会に対する反抗とされたので、魔女ということで裁かれます。
しかし実際に魔女が行っていたことは、様々なものを混ぜて加熱して、今までにないものを創りだそうとする錬金術や、森に生えているハーブなどを調合して薬を作るなどの行為。
今の社会でいえば、科学者や医者が行っている事をしていただけなんですよね。

価値観が変わった今となっては普通のコトですが、当時は前提となる常識が全く違う為、神の意志に逆らったことを実行したり主張する人達は、忌み嫌われていたのでしょう。

『今の常識を打ち破り、新たな価値観を見出す』という行為。
これって、今現在でも行われていることですよね。

この本では、それらの行為を行っている人、全般を『魔女』として取り扱い、その歴史を振り返るという趣旨で書かれている本です。

読んでみた感想ですが、全体的に知らないことが多く書かれていたので、新たな知識が身につけられるという点で、楽しく読むことが出来ました。
全く知識がない分野の本は、知らない単語や用語が大量に出てきて読むのに苦労するという印象なのですが、この本は、そもそも知識がない人に向けて解りやすく説明しようという思いで書かれているためか、非常に読みやすくて助かりましたね。

読んでみて意外に思ったことは、魔女の定義がかなり広いことでしょうか。
魔法少女もののアニメは勿論ですが、『かわいい』といった新たな概念を浸透させた『きゃりーぱみゅぱみゅ』のようなアーティストまで含まれていたとこには驚きでした。

他に興味を持った部分は、魔女という概念が拡散・浸透していく過程ですね。
昔は、絵画などに描かれた女性を観ることとで、今までにない価値観を植え付けられた女性達が、『自分たちも』と意識が徐々に変化し、行動に移していくというローカルなものでしたが、技術が進歩するにつれて、影響を与えるメディアも変化していきます。
印刷が発明されれば、大量に印刷されて安価に手に入れられる本が影響を与え、テレビが誕生すれば、主体はそちらに移ります。
そして今現在はネットによって、今までは一部の限られた人間しか接することが出来なかったような、アングラな情報にも手軽に接することが出来るようになり、意識の変化が爆発的に進んでいっているという点ですね。

この爆発的な情報の拡散により、今現在は何がメインカルチャーで何がサブなのか、カウンターなのかすら解らない曖昧なものになってきています。
捉えようによっては魔女に一番接しやすい様にも思えますが、メインカルチャーが曖昧で存在が分からない状態であれば、そのカウンターも曖昧なものとも考えられます。

この様な視点で世の中を見てると、想像以上に世界は混沌としていて、結構面白いなとも思えたり。

メインカルチャーに対するサブカルチャーカウンターカルチャーについて、過去に一度でも深く考えたことがある人にとっては、既に知っていることが多数書かれている為、読む必要のない本かもしれません。
しかし、特に何も考えずに漠然と生きてきた人は、全く違った視点を与えてくれるという点で、結構、面白いのではないかなと思います。

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