だぶるばいせっぷす 新館

ホワイトカラーではないブルーカラーからの視点

日本に借金は無いというトンデモ理論

私は日常的にPodcastを聞いているのですが、ここ最近、『ザ・ボイス そこまで言うか!』という番組で、思わず首を傾げてしまう様な理論が、頻繁に主張されます。
笑う経済学者のTさんとか、自身で研究所を設立しているAさんとかね。

この二人の主張を簡単に書くと、日本の借金は1000兆円あると大げさに表現されるが、実際には殆どない、健全な運営がされているというもの。
実際に1000兆円といわれている借金が存在せず、日本が財政難でなければ問題ないのですが…
その主張が、高卒の僕が聞いても変な理屈なんですよね。

という事で今回は、この『日本の借金は大したことが無いのか?』について考えていきます。

T氏とA氏が日本は健全だと主張する理由は、大きく分けると2つ。

・日本の借金ばかりがクローズアップされているが、日本には資産もあるから大丈夫
・日本国債の最終引受先は日銀で、日銀が持ってる国債はカウントしなくて良いので、その分は省いて考えてよい。
この2つの主張を展開し、実質的借金は100兆ぐらいしかないので、日本は他国から比べても健全な、ピッカピカの財政だというのが最終的な結論です。

しかし先ほども書きましたが、これらの主張は、すんなり受け入れられるようなものではありませんよね。
という事で、一つ一つ考えていきます。

一番最初の、『日本には資産もある』という主張。
確かに日本には、沢山の資産が存在しますよね。
そこら中に国有地は存在しますし、公共の道路なども国が所有しているものが多いでしょう。
為替相場が円高に急激に変化した際に行う円売り介入で手に入る外貨等も入れると、結構な資産があるのでしょう。

実際の価値がどれほどのものかは分かりませんが、財務省の試算によると、647兆円の資産があります。
日本の借金の1000兆円から650兆を差し引くと、残りは350兆円なので、借金は1000兆円無いというのが、両者の主張。

この理屈を分かりやすくする為に、一般的な家族のケースで考えてみましょう。
300万円を所有している人が、そのお金を頭金にして、3000円の家を購入したとします。
この場合、当然、足りない2700万円のお金は借金する必要がありますよね。
そして購入後は、2700万円のローンを30年ほどに分割して、利息と共に支払っていく必要があります。

しかしこの人が、『2700万円の借金はあるが、3000万円相当の家という資産が有るので、借金なんて存在しない!むしろ300万円の貯金があるのと一緒!』と言い出したらどうでしょう。
確かに、貸借対照表という資産と負債のバランスを表にして表す帳面を観ると、この人は300万円分の資産を持っている状態です。
しかし、それで2700万円の借金が消えてなくなるのかといえば、そうではありませんよね。

例をもう少し国のケースに近づける為に、会社を例に考えてみましょう。
会社の敷地・製品製造の為の設備・退職金積立金など、会社は資産を有しています。
その一方で、多くの会社には借入金等の負債が存在します。

会社の財務において正常・健全と言われるのはどのような状態なのかというと、資産が負債を上回っているケースのみです。
仮に、負債の額が資産額を超えてしまった場合はどのような状態になってしまうのでしょうか。
T氏やA氏は、『その額こそが実質的な借金』といった事を言っていますが…

負債>資産というは、実際には債務超過の状態。
仮にこの会社が上場企業の場合、1年以内に債務超過を解消しなければ、上場廃止となります。
株式市場を仕切っている東証からしてみれば、『倒産寸前の会社の株なんて、危な過ぎて売買させる事なんてできない』という事なのでしょう。
www.jpx.co.jp

また、『日本には借金だけじゃなくて資産が有るから大丈夫』という意見に対して、財務省が自身の考えを公式ページで示しています。
その内容によると、日本の資産650兆円の内訳の一部はこんな感じ。
https://www.mof.go.jp/faq/seimu/03.htm

・年金積み立て 120兆円
・国道 63兆円
・堤防 67兆円
地方公共団体政府系金融機関への貸付 155兆 …

こんな感じで、即座に借金返済に使えそうなのは、年金積立金の120兆円ぐらい。
しかし、年金積立金は私たち国民が積み立てて国に預けているだけのお金なので、勝手に借金の返済なんかに回されると困ってしまう類のお金ですよね。

また、堤防なんて買い手は付きませんし、国道を売ってしまえば、日本に住む人たちが普通に生活する事すら困難になってしまいます。
さらに言えば、国道や堤防は使用料を徴収して利益を出しているわけではなく、国のインフラとして無料で使用されています。
その一方で、経年劣化によって補修が必要になるため、持っていても利益を生まず、経費が掛かる資産だったりします。

様々な事を考慮すると、T氏やA氏がいうような、『日本の財政は豊富な資産が有るから、ピッカピカ!』というのは嘘と言っても良いでしょう。

『売る』という選択肢がない以上、これらの資産で借金を相殺することは出来ない為、借金は借金として存在します。


次に、『日本国債は最終的に日銀が買うので大丈夫…』という意見に関しては、長くなってきたのでまた次の機会に書こうと思います。