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ホワイトカラーではないブルーカラーからの視点

GDPが2期連続で減少 アベノミクスとは何だったのか

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少し前に発表された数字によると、日本のGDPは2期連続でマイナスになったようです。
この2期連続でマイナスというのは重要で、人によってはリセッション入したと断定する人もいます。
リセッションというのは、景気後退の事です。

あまりニュースなどでは騒がれていませんが、今のこの経済環境で景気後退入りというのは、結構まずいことだと思います。
というのも、今現在は様々なブースターが付いている状態。
この状態でマイナスということは、素の状態の経済がどれほど弱いのかと考えざるをえません。
個人的には、結構深刻だと思います。

では、具体的にどんなブースターが付いているのかを、簡単に見ていきましょう。

まず一つ目は、円安です。
日銀がお金を刷って、国債やら株やら不動産にひも付けされた証券なんかを買いまくり、資産内容を意図的に不安定なものに劣化させたことで、円安になりました。
この円安によって、海外から見た日本が提供するサービスの価格が低下しました。
製造業が国内回帰するなんて事は、まだまだ期待できないでしょうけども、消費という面では、かなりの効果が出ました。

代表的なものでいえば、インバウンド消費。
インバウンドと聞くと、聞き馴染みのない人は何のことがわからないかもしれませんね。
似たような言葉で、ワイドショーなどでも使われている【爆買い】といえば、分かりやすいでしょうか。
海外の人が日本を訪れ、ホテルを使用したり食事をしたり、お土産を買ったりしますよね。
それらの消費を総合して、インバウンド消費と呼ぶようです。

私は観光地に住んでいるのですが、体感で分かるほど、海外の方を見かける割合は増えてきています。
その方々が消費をすると考えると、結構な経済効果が見込まれるのも頷けます。

次に、不動産開発です。
一番わかり易いのは、数年前の起こった震災の復興需要。
多くの人が家を失ったということは、それに伴う建設需要も増えることになります。
両自体がかなりのものなので、1~2年の短期で片付く話でも有りませんし、需要の底上げになります。

次に、オリンピック関連の建設需要。
競技場もそうですが、それに関連する施設の建設や、世界中から観光客が訪れることを想定した施設の建設需要なども発生します。
特に宿泊施設は、先程紹介したインバウンド関連の事もありますし、既に着工しているものも多いでしょう。

これにプラスして、他にも建設需要を後押しする政策があります。
安倍政権に変わってから、空き家の固定資産税が大幅に増額されました。
日本には、両親が家を残してくれたけど、自分達の住む家は既に有るので、使っていないという空き家が結構、存在します。
直ぐに売れればよいのでしょうが、空き家で放置されている土地は大抵、立地もそれほど良くない。
書いてもなかなか付かないし、賃貸アパートを立てたところで、空室になってしまうと建設費も捻出できないので、放置というケースも多々あります。

それらの【空き家】の固定資産税が、最大6倍に引き上げられました。
これにより、親から受け継いだ土地という資産が、高額の固定資産税が毎年発生してしまう負債に変化してしまったんです。
対策としては、赤字のリスクはあるが、賃貸アパート等を建設して運営していかなければならない。
こんな感じで、全国で土地の活用ブームが訪れ、建設業界の需要はかなり底上げされています。


…と、ざっと見てみても、これだけののブースターがついています。
世間ではこの事を、【アベノミクス】といっているのかもしれません。
しかし問題なのは、ここまでのブースターが付いているのに、GDPがほぼ上昇せず、直近2期は連続マイナスという点です。

一番最初に挙げたインバウンド消費については、この先どうなるのかは分かりません。
しかし、不動産関連の需要に関しては、単なる需要の先食いなので、この数年、オリンピック開催頃までには落ち着くと考えられます。
また、不動産関連の需要に関しては、問題は建設需要だけでは止まりません。
宿泊施設や賃貸物件の建設ラッシュが起きているということは、数年後にこれらの物件数が大幅に増えることを意味します。

賃貸物件については、今現在の市場でもそれほど儲かる仕事ではない。
少子化で人口が減少傾向なのに加えて、さらに供給が増えるわけですから、これらの業界は苦しくなるでしょう。

住む側の立場になれば、新築物件が大量供給されることで、新しくて低家賃で住める為、状況は良くなるかもしれません。
しかし、古い物件を所有する側は、悲惨な状況になるでしょう。
時間が経つことで物件が劣化し、魅力自体がなくなるのに加え、供給過剰で物件が余ってくるわけですから。

ちなみのこれは、予測では有りません。
www.nikkei.com

日経新聞によると首都圏のマンション賃料は、12ヶ月連続で下落しているようです。
厳しい状況は既に始まっているわけで、それが更に加速するという話です。

まとめると、オリンピックが開催される頃には建設ラッシュも落ち着いて、建設費で嵩上げされていたGDPは剥がれ落ちる。
それに加えて、大量供給された賃貸物件によって、賃貸相場も崩れる可能性があり、更に足を引っ張るという事。

これって、今の日本経済って想像しているよりも遥かに弱いってことなんじゃないでしょうか。
私の周りを見渡しても、景気の良い話は一切聴きませんしね。
景気の【気】は気分の【気】ともいうので、気分を盛り上げて煽ることも必要だとは思いますが、もう少し冷静に世の中を見ることも重要ではないでしょうか。