だぶるばいせっぷす 新館

ホワイトカラーではないブルーカラーからの視点

フランスのテロと デビルマンの結末

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先週末のことですが、フランスでテロが起こりましたね。
フランスも参加しているシリアに対する空爆が原因といわれていますが、詳しい理由は分かりません。

そのテロに対しフランスは『テロに屈しない』と、早速、空爆を開始するようです。
今回の犯人が、難民に紛れ込んで入国した可能性があるとして、現地ではイスラム系の人達に対する差別や迫害なども増しているようです。

誤解のない様に最初に行っておきますが、私は殺人行為は肯定しませんし、ISISの行動を支持するわけでは有りません。
ですが今回のの騒動の反応で、どことなく、欧米側に手詰まり間が出てきたようにも思えます。

私は軍事の専門家では有りませんが、ネットやTVで伝わって来る情報で分かるのは、憎しみの連鎖が起こっているということです。
その憎しみの連鎖が、先進国側にとっては選択肢を狭めることになり、テロリスト側にとっては優位な状態を生み出しているように思えます。

抽象的な表現になり過ぎているので、もう少し具体的に書きましょう。


今回の事件を客観的に観る為に、軽く振り返ってみましょう。
イスラム国という問題を抱える集団が有り、それを欧米諸国がなんとかしようと攻撃しました。
この攻撃によって、イスラム国の運動に参加している人間も亡くなったでしょう。
しかしそれと同時に、大量の一般市民も亡くなりました。

一節によると、アメリカがでっち上げた大量破壊兵器を回収すると言って仕掛けた戦争から現在までで、15万人を超える一般市民が、殺されているそうです。
その中には当然、家族や愛する人を全て失って、一人取り残され、自暴自棄になった人は数多く存在するでしょう。
そんな状況に置かれた状態で、手を差し伸べたのがISISのメンバーだけだったとしたら…
自分の命の事を考えず、復讐する戦士になってしまうのは、仕方の無いことなのかもしれません。

では何故、手段が無差別テロなのか。
先進国は全て、民主主義国家です。
政治家が中東に空爆を命じ、実行したのは軍隊ですが、その政治家を選んだのは国民です。
理屈的には、国民の意志で空爆をしているので、攻撃に加担した国民全てが敵だといわれれば、納得してしまう人もいるでしょう。

この様な経緯でテロ組織のメンバーを増やしたくない先進国的には、一方的な攻撃・虐殺によって、恨みを持つ人間を増やしたくない。
また、余りに非人道的な行動は、国内からの反発もある。
これらを回避する為、中東の一般市民に向けて『今からあなたの国を攻撃するので、民間人は逃げてください。私たちには受け入れ体制が有ります』と言わざるをえない。

しかし戦力的に弱いテロリストたちは、これを逆利用。
移民に紛れ込む形で潜入し、復讐する時を待つというのは、宣戦布告して戦争するよりも、遥かに容易いことでしょう。

そして、実際にテロは起こったわけです。
このテロで先進国がとった反応は、『テロには屈しない』という強い姿勢。
犯罪行為によって意見を聞き入れるという前例を作れない先進国的には、もはや選択肢はない、一択の状態です。
更なる状況の悪化を防ぐためには、移民の一時受け入れ停止も当然の対応です。

そして国民は、既に国内にいる移民や、生まれ育ちがフランスであったとしても、中東の血筋の人間を冷遇するという行動をとっているようです。
親しい人や馴染みのある場所を、ある日突然破壊された国民にとっては、ある意味、当然の反応といっても良いでしょう。
人間というのは社会を作って生きるもので、その社会に必要不可欠なのは信用です。
信用がなくなった時点で、疑心暗鬼になり、理解できないものを遠ざけたり、攻撃してしまいます。

ですがこの状況が、新たな悲劇を生む可能性があります。
フランスで生まれ、フランスで育ち、自分はフランス人だと思っていた中東の血が流れている人間は、ある日突然、社会から拒絶されるわけです。
職を奪われ、誇りを傷つけられ、人民外に追いやられて、石を投げられる。
自分とは全く関係がない人が行った犯罪で、ある日突然、自分が理不尽な状況に追い込まれるわけです。

この状況が長く続くと、当然、白人達に対する負の感情は増大。
そこに、ISの支部が手を差し伸べ、社会の一員として受け入れてくれたとしたら…
彼らと行動を共にする人がいたとしても、不思議な事では有りません。

こうなってくると、フランス生まれのフランス人が、自分の国を敵視するという状態になってしまいます。
人の考えは目で見て分かるものではないので、誰がどんな思想を持っているかわからない。

疑心暗鬼の状態は更に強くなり、フランス人がフランス人を攻撃するという自体も、十分考えられるわけですね。
ここまで考えてたところで、似たような物語があったことに気が付きます。

タイトルにもある【デビルマン】ですね。




デビルマンとうい物語は、人間が生まれる前から地球に住んでいた生物が、氷河期に氷漬けになり、それが現代に蘇ったという話です。
この先住民族(悪魔)には、他の生物と同化するという能力が有り、これを利用して、再び人類から地球を取り戻そうと画策する話です。

具体的な手段としては、TV映像で、主人公の不動明デビルマンに返信する姿を公開。
そして、『悪魔は人間に化けることが出来て、あなたの隙を狙っています。隣人が不審な動きをしたら、直ぐに殺すか通報しましょう』と、主張。
その後、一部の勢力が、大人数の前で人間と融合し、その言葉に信憑性をもたせます。
先住民族がするのは、ここまでです。

疑心暗鬼に陥った人間は、隣りに住む人間を信用できなくなり、自ら殺し合います。
その殺し合いの現場を見た人は、『あいつらは悪魔が変身した姿だったんだ!』と思い込み、その人達を殺そうと、殺し合いに参加する。
疑心暗鬼の輪は広がり、最終的には、人類は滅亡してしまうんですよね。

実際の世界で、人類滅亡まで行くとは思えません。
戦力に圧倒的な差がありますからね。
ですが、【民族浄化】レベルの事は、起こっても不思議じゃないのかなとも思います。

この負の連鎖を断ち切るためには、理想をいえば、何処かで許す事が必要です。
しかし人間は感情で動くので、そこまで理性的で懐が深い行動は取れないような気もします。

一人の人間としては、事態が早く収束して、平和な世の中になってほしいと願いますけどね。