だぶるばいせっぷす 新館

ホワイトカラーではないブルーカラーからの視点

働くことへの価値観を変えてみる

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ここ数十年、日本の景気は右肩下がりの状態です。
そこで景気を上昇させるために、『生産性を上げろ』とか『もっと働け』なんていわれるわけですけども、回復する気配が全く有りません。
ここ最近では、数値で見ると若干マシの様で、日本よりも一足先に景気回復したアメリカでは、失業率も回復して『そろそろ利上げ』なんて意見も聞きます。

しかし実際の数値を見てみると…
正規雇用の割合が減って非正規雇用の割合が増えている。
失業率は減っているが、労働参加率も減っている。
(失業率は、仕事を探している人が何%なのかという数値なので、求職を諦めてしまった人はカウントされず、求職を止めた人が増えると、失業率が下がる)
つまり、経済は実質的には改善されておらず、二極化が進んだだけという意見も結構あります。

働いても働いても、底辺層の暮らしは良くなるわけでもなく、むしろ悪化している…
一生懸命働いたところで生活が楽にならないのであれば、いっその事、働くという価値観をかえて考えてみるというのはどうでしょう。
という事で今回は、働くことの価値観について考えていきます。


今まで働くことというのは、良い事だとされてきました。
良い事というか、働くことが当然。
私などの場合は、仕事の都合で平日が休みになっても、外に遊びに行くのがなんとなく後ろめたい気がして、行けないという事もしばしば。
警察官なども、平日の昼間に成人男性が仕事をせずに歩いている人には、職務質問をするということもあるようです。
ニュースで事件の報道が有った際も、容疑者が無職だと、『やっぱりね』なんて思ってしまったりもします。

この状態は、働くことが当然を通り越して、働いていない人間は異常と思われているともいえます。

【働いている人間こそが正常】という認識が広がるとどうなるのか。
一見すると、皆が働くので、経済的には良さそうな感じがします。
しかし実際に起こっている事は、労働市場での労働者の買い叩きです。

今、ニュースでは頻繁に、『人手不足』と叫ばれています。
本当に人手不足なのであれば、企業間で人材の獲得競争になりますし、既に抱えている人材は抱え込もうとします。
結果として、人件費は上昇していきます。
ですが実際には、人件費は一部の大企業や業種で上昇しているだけで、大半の人達の給料は上昇していない。
正社員から非正規雇用への置き換えも進んでいます。

つまり現実的には、まだまだ買い手市場というわけです。

買い手市場ということは、単純な労働需給で見ると、供給が多くて需要が少ない状態です。
供給が多すぎるのに、国民全体が『働かなければならない』と思い込んで労働市場に流れ込むと、更に労働需給は歪みます。
更に薄給の条件での求人が増え、二極化は益々進む事となる。
薄給の人は消費を行えない為、更に経済は停滞。
悪い循環へと進んでいきます。

ここで一つ、考え方を変えてみてはどうでしょう。
物凄い極論となりますが、『無理して働く事が悪い事』ぐらいの認識にしてしまえばどうでしょう。
残業なんてとんでもないし、休日出勤なんてありえない。
有給休暇を完全に消化できない人間は、自己管理ができない人。
逆に、8時間かかる仕事を4時間で終わらして帰る人はスマートな人という世界観。

一言で言うなら、仕事至上主義からの脱却ですね。

今までの常識に囚われている人は、『これだけの労働をして何とか経済が回ってるんだから、気を抜いたら一気に転落する』と思われるかもしれません。
ですが考え方によっては、仕事至上主義よりも効率が良くなって景気が良くなるという考え方も出来ます。

例えば、生産性の話。
日本は生産性が低すぎるという話はよく聴きますが、この話は言い換えれば、【効率が悪い】という事です。
この【効率が悪い】原因は、仕事至上主義にある可能性が高いです。

仕事を一定時間以上やらなければならないと思い込んでいる人は、仕事時間を伸ばす為に仕事を作るという事をしてしまいがちです。
私はネットなどで、若者が仕事の愚痴を書き込んでいるのを読んだりします。
その中には、『単純な数値を一定のルールに従って表に書き込むという単純作業を、手書きで8時間かけてやらされる』といったものが有りました。
エクセルなどの表計算ソフトでマクロを使えば一瞬で済むことを、8時間かけてやらされるそうです。
この例は正に、仕事を増やす為の仕事であって、会社の利益には一切寄与しません。

本来なら効率化すべき事ですが、仕事大好きな仕事至上主義の人間は、仕事に拘束されている為に生きているので、改善しようとしません。
しかし、無駄な仕事を無理して行うのが悪い価値観の世界では、この様な仕事は真っ先に削除されるでしょう。

そもそも人間は本来、仕事をする為に生まれてくるわけでは有りません。
仕事をしないと社会構造が保てずに生活が出来ないから、仕方なくやってるだけです。
効率化出来るものは効率化して、やるべき仕事は出来るだけ減らして、仕事時間は減らすべきなんですよね。

仕事時間を減らす為には、効率化をしなければなりません。
効率化によって仕事時間が減って、自由時間が増えれば、遊べる時間が増えることになります。
人の消費は自由時間に行われるので、結果として消費活動が行われやすくなって、需要が増える可能性が出てきます。

逆のにいえば、長時間の労働時間で民衆を縛り付けると、消火をする時間がなくなって、潜在需要が減るんです。
【働くことが悪いこと】というのは極論ですが、仕事を短時間で済ませて遊んでいる人は格好いいぐらいの価値観になると、今よりは住みやすい世界になるのではないでしょうか。