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ホワイトカラーではないブルーカラーからの視点

四半期経済という考え方

経済系で最近の話題といえば、東芝粉飾決算問題ですね。
来季の予想収益を前倒しで計上し、利益を水増ししたという問題。

この問題によって改めて注目されだしたのが、四半期経済という考え方です。
私は余り聴いたことが無い言葉で、それほど普及もしていないようなので、知らない方も多いかもしれませんね。

四半期経済という言葉の意味ですが、直近の四半期の業績を最優先で考えるという経営手法のようです。

直近四半期の業績をよく見せる目的で、あらゆる手段を取る。
その為、次の四半期の売上を前倒しして、直近の売上に入れ、見かけ上の四半期決算をよく見せようとしたのが、今回の事件の様です。

この説明だけを聞くと、殆どの方がよく理解できないと思います。
もちろん、私もそうです。
というのも、直近四半期の業績を上げるために、それよりも先の期の売上を組み入れるという事は、売上の移動元となっている期間の業績は下がることになります。

整理する為に例を出しましょう。
1年を、春夏秋冬の4つの期に分け、それぞれの売上が100万円だったとします。
春の売上を嵩上げする為に、夏の売上から50万円持ってくると、春の売上は150万円になりますが、夏の売上は50万円に下がってしまいます。
春に150万円の業績を発表して高評価を受けても、夏に売上が3分の一になる為、全く意味は有りませんよね。
しかし四半期経済の特徴は、直近の四半期の業績をよく見せるというのが特徴です。
春の決算が終わった時点で、直近四半期の目標は夏に移動します。
つまり、夏の売上を上げる為に、次は秋や冬の予定売上を夏に移動することになります。

誰が考えても分かりますが、期近の売上を嵩上げしようと先の期の売上を持ってくるという事を続けると、どうしても無理が出てきます。
何かを切っ掛けにして、帳尻合わせの大赤字を出さなければなりません。

では、何故こんな無意味なことを行う必要があるのでしょうか。
それは上場企業というのは、行動が絶えず、投資家の目に晒されているからです。

この投資家の大半が、プロの投資家です。
プロと素人の違いは、プロは一定期間内に利益を出さなければならないノルマが課せられていること。
今までの実績から運用資金を割り当てられ、その資金を元手に、1年間でどれだけ稼がなければならないかというのが、決まっています。
このノルマを達成する為に、業績が良さそうな銘柄を好んで買います。
逆に業績がパッとしない、もしくは悪ければ、売られるかスルーされることになります。

1年間という決められた期間で売買される為、当然、視点は長期的なものではなく、短期的なものとなります。
近視眼的なものの見方になり、短期のイベントや僅かな変化に目を配る。
そんな視点のに人たちにとって、一番大きなイベントといえば、四半期決算なんですね。
四半期決算毎に評価され、悪ければ持ち株を売られるし、良ければ買われる。

一見すると普通の事のように思われるかもしれませんが、これは経営的には、異常なことです。
というのも、企業運営というのは、【今】が良ければそれで良いものでは有りません。
そこで働く社員には生活がありますし、今年の業績が良ければ来年潰れても良いなんて事は、ありえません。
長期的な企業運営をする為には、赤字を出さなければならない時も有るでしょうし、停滞する時期もあって当然です。
しかし、この期近の四半期決算に注目する四半期経済では、【今】が最重要視されます。

これはマラソンに例えると、100m毎にタイムを計測され、タイムが落ちれば怒られるようなものです。
マラソンは42.195キロの勝負なのに、スタートから100m毎にタイムを計測されて全力疾走を強要されたら、リズムが崩れ、良い成績は出せません。
42キロを安定的に、それでいてベストを尽くして走ろうと思えば、ペース配分は重要です。
それを無視して走り続ければ、完走する前に体を壊して終了してしまうでしょう。

本来であれば、外野の行動は無視をして、長期的な目線で組織運営をすべきです。
しかし、株式会社の実質的なオーナーは、株主です。
つまり、経営者というのは大抵は雇われで、大株主の意見には逆らえないのが現状です。
経営者が、長期的な目線で、数年間の停滞や赤字を許した場合、株主はその経営者を別の人間に変えるように圧力をかけることも考えられます。
それを避けようと思えば、四半期経済毎に業績を上げ続けなければならない。


こういう状態が、今回の粉飾決算を産んでしまったのでしょう。
まぁ、解雇覚悟で不正をしない判断も出来たわけですし、経営陣を庇うつもりはないのですが、近視眼的な短期の結果が追い求められる空気というのは、良い結果を生まない様に思うんですよね。
先程はマラソンの例で例えましたが、四半期経済を毎回良い物にすることが、50年先の会社運営で良い事とは限らないんですから。

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