だぶるばいせっぷす 新館

ホワイトカラーではないブルーカラーからの視点

若者が選挙に行けば 政治は変わるのだろうか

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最近ニュースを観ていると、日本の政治が悪いのは、若者が選挙に行かないからだという意見をよく聞きます。
確かに現状は、若者よりも老人の方が選挙の参加率は多い。
選挙は一人一票で行われるので、老人の意見が反映された結果が、今の政治ともいえます。

人は皆、自分の現状を改善しようと思うので、利己的に考えて投票を行う。
老人は自分達の現状を優遇してもらおうとし、若者も、自分達の生活が改善されるような投票活動を行う。
みんなが【今】の状態を改善することだけを考えて投票をするなら、選挙の参加率は老人のほうが多い為、老人に有利な政治が行われている…
これが、今の政治や投票に問題が有ると言っている人たちの意見なんでしょうす。

今の政治に問題が有るのは、投票しているのが老人ばかりだから、若者の投票率が上昇すれば、政治は改善される。
しかしこの意見、本当なのでしょうか?


もし老人が、今の自分の生活だけを考えているのであれば、消費税増税を唱える政党に、何故投票したのでしょうか。

お年寄りというのは基本的に年金生活で、医療費などを考えると、結構お金が必要になります。
裕福な人が多いイメージも有りますが、富裕層は思っている程多くなく、大半の人は年金でギリギリの生活をしています。
その年金も現役世代に結構な金額を貰っていて、厚生年金の金額が多い人は、まだマシです。
しかし、国民年金しかもらってない人は、生活保護以下の支給額しか貰えません。

そんな少ない年金の中から、介護保険料などを支払わければならないので、生活は結構厳しいのが現状です。
多くの人達は、年金だけで食べていくことが出来ないので、貯金を食いつぶしていくことになります。
その貯金も無くなり、財産等ものがなくなれば、生活保護生活になってしまいます。

若い人は体力もありますし、若ければ若い程、働き口も結構有ります。
その一方で老人は、年々体力型活かし、歳を取れば取るほど、仕事は無くなっていきます。
様々な要因を複合して考えると、現状の社会は、歳をとった人が優遇されているとは言えない状態。

にも関わらず、消費税を上げると主張している政党が政権を握りました。
医療保険の窓口担当も増えました。
貧困層の老人の生活は、確実に厳しい状態に追い込まれています。
この様な状態に追い込まれているのは、老人が【利己的】な判断で投票した結果なのでしょうか。

私は、とてもそうとは思えないんですよね。

これは統計をとったわけではないのですが、私の周りのお年寄り達は、自分達の利益だけを求めて生きている人は少ないんですよね。
むしろ、若い世代に気を使って生きている人が多い。
自分の一人息子が結婚した場合、同居をすれば良いのに、自ら別居を進めたり、家を買うための頭金を出す親の話を結構聞きます。
その子供に孫が生まれたら、電話一本で子供の家に駆けつけ、子供夫婦が出かける間、孫の面倒を見る姑の話もよく聞きます。
一部のマナーの悪い方や、老害と呼ばれる人達が変に目立っているせいで、【利己的】なイメージが付いていますが、大半のお年寄りは、結構気を使って生きています。

まとめると、大半のお年寄りは、自分達の生活を犠牲にして、若者に気を使っているとも考えられます。
このお年寄りの投票率が、若者の投票率よりも上回っているから、日本の政治が間違った方向に行くという理屈がどうも納得出来ないんですよね。

その一方で、若者の方はどうなのか。

まず投票率の低さですが、若者が選挙に行かないのは、自分の生活に特に不満がないからとも考えられます。
現状に不満が有れば、『なんとかして生活を変えたい!』という思いから、政治に感心を持ちますし、勉強しようとも思います。
しかし現状に満足していれば、『このままの生活が続けば良い』と思うので、政治への関心はなくなります。
逆に考えれば、お年寄りの投票率が高いのは、現状に何らかの不満を持っているからとも考えられます。

次に、若者が【今】の生活改善だけを考えて投票をするのかという問題が有ります。
例えば、30~40歳の方が投票をする場合、現役世代だけが特をするような政治を望むでしょうか。
時間が一方方向にしか進まないので、30~40歳の人も、20~30年で確実に高齢者の仲間入りをします。
普通の人間には想像力が有るので、その時になって地獄を味わう様な政策を支持するのか。
かなり疑問があります。
その一方で、60~70歳のお年寄りは、10~20年で死ぬことを想定します。
現状で何とか行きていけるのであれば、孫世代のことを考えて投票するとは考えられないでしょうか。

このようにして考えると、若者が選挙に行ったからといって、必ずしも改善するわけではないと思います。
そして、『老人が利己的な判断で投票するから、生活が苦しくなった』という論調にも、かなり疑問があります。

よくよく考えると、非正規労働者が増えたのも、ワーキングプアーと呼ばれる貧民層が激増しているのも、お年寄りが望んだ結果では無いですよね。
そのお年寄りにも、子どもや孫がいるわけで、その人達の生活が苦しくなったからといって、自分が特をするわけではない。
非正規労働者ワーキングプアーが増えて喜ぶのは、その人達に渡るはずだった対価を搾取出来た人達だけです。
その搾取側が老人なのかといえば、そうでは有りません。

そう考えると、『老人は自分達だけの生活を考えて投票に行くから、日本がおかしくなった』
『若者が選挙に行けば、政治は変わる』という論調は、実際に搾取を行って裕福な生活をしている人達から目を背ける為に、老人という悪役を作りだしたようにしか見えないのですが、どうでしょうか。