だぶるばいせっぷす 新館

ホワイトカラーではないブルーカラーからの視点

人手不足は嘘?本当?

最近ニュース番組で、頻繁に言われていることが有ります。
それが、『人手不足』
報道によると起業は人を雇いたくてしかたがない様ですが、人があまりにも不足している為、人材確保に力を割いているようです。
そう言われれば、普段目にする飲食店なども、求人募集を出していますし、その他の業種でも、その手の張り紙を見かけることが多くなってきました。
聴く話によると、コンビニの店員や飲食店のホールなどでは、日本人の成り手がいないから、外国人が働いているという話も聞きます。

この現象だけを見ると、『日本も景気が良くなってきたんだなぁ』と思うわけですが、一つ疑問が。
人手不足というのは、労働市場で人が足りない状態の事をいいます。
労働市場】というと分かりづらくなるかもしれませんが、仕組みは普通の市場と同じです。
値段は需要と供給によって決まり、需要が多くなれば人件費は上昇し、供給が需要を上回れば、人件費は安くなります。

この事を理解していれば、『人手不足』と聞くと、人件費が上昇しているのかなと思いますよね。
では実際に手取り給料は高くなっているのかといえば…
そうでは有りませんよね。
街で見かける求人も、最低労働賃金に少し上乗せをした程度の金額で募集がされています。

この現象って、結構おかしな事だと思わないでしょうか。

分かりやすい例として、人材確保競争がピークだったバブル期と比べてみましょう。

私より少し上の世代は、バブル経済期でした。
その頃の私は中高生だったのですが、その当時の事は、実際に経験した人に聴いたので知っていますが、当時の人材確保競争は凄まじい状態だったようです。
まず、新卒の学生に面接に来て貰わないと始まらないという事で、交通費の支給が行われていたようです。
それも領収書は不要で、実際に掛かる費用よりもかなり多い金額を貰えたようです。
これを利用し、複数の会社に面接に行き、小遣い稼ぎをしていた人も少なからず存在したようです。

面接まで来てくれ不事が重要で、今のように圧迫面接等は行われず、本人の入社の意志を確認したら、内定が出たそうです。
会社は内定を出すと、学生を片っ端からリゾート地に送り、入社式まで研修という名のバカンスを楽しませる会社も。
何故そんなことをしたかというと、学生を他社に取られない為です。
内定を出した学生を確実に入社させる為に、他の会社に面接に行けないように拘束の意味も込めて、海外旅行に連れて行ったようです。

では今現在はどうなっているのか。
これだけマスメディアで、『人手不足』と呼ばれているのだから、就活事情は改善しているはずです。
しかし実際は、学生は相変わらず結構な数の会社にエントリーシートを出して、自費で面接会場や会社説明会に参加し、必至に就職活動をしているわけです。

といっても、異常ともいわれているバブル期と比べるのは、無理があるでしょう。
もっと現実的に、新卒の初任給を例に考えると、現在は微妙に上昇しているようです。
ただ、円安による輸入物価の上昇や電気代等の生活インフラの料金、消費税などを計算に入れると、ほんの僅かの上昇という事にはなります。
その一方で、給料が早い段階で頭打ちになり、上昇率も昔に比べて緩やかになっているようなので、長期間務めた際の給料は、減少しているようです。


つまり、『人手不足』と叫ばれてはいるが、給料の上昇は無いということ。
この事から分かることは、単純に人手不足なのではなく、『低賃金で働いてくれる奴隷が居ない』という事です。

先ほど例に上げたバブル期の場合は、経済成長が凄まじく、消費も盛んでした。
消費の量が多いということは、需要と供給で需要が上回っているということなので、商品は作れば売れる。
そんな状況なら、取り敢えず人材確保をして生産力を上げることが、会社の売上にも繋がるので、人材獲得競争が起こる。
本当の意味での人不足なので、給料の増加ペースも多く、多額の報酬をもらった人たちは、それを消費活動に使うという好循環が生れていました。

しかし今は、この状況とは全く違います。
そもそも消費活動が活発ではない上に、企業は生産設備を過剰に持っている為、需要と供給が釣り合わず、物の価値が下がるデフレ状態になっています。
今現在は、円が安くなったことによって輸入物価が上昇していますが、これによって庶民の自由に使えるお金である可処分所得が減少した為、更に消費が冷え込んでいる。
こんな状態では、企業は利益が出ないので、人件費を削減しないと、組織を維持することは難しい。
しかし、新規で若い人を雇わないと、長期的に見て組織が維持できないので、一定量の若者は雇わなければならない。
でも、お金は払いたくない。
だから、安い給料で求人広告を出す。

結果として、低賃金の求人募集が増える。

こうして出された求人条件は、毎日真面目に働いても、生活保護以下の賃金しか貰えないというもの。
本当に人出がほしいのであれば、賃金を高くして募集すればよいのです。
しかしそう出来ないのは、実際には需要がない不景気状態で、売上の上限が決まっているから。
賃金引き上げをすると、経費が損益分岐点を超えてしまって、ビジネスモデルが崩壊してしまうからです。
これで人手不足というのだから、噴飯物です。

まぁ、言葉というツールは不完全で、こんな状況でも【人手不足】は人手不足なのでしょう。
しかし実際には、適正賃金も払わない奴隷を求めているわけですから、状況把握を適切に行うためにも、別の言葉で表現して欲しですね。