だぶるばいせっぷす 新館

ホワイトカラーではないブルーカラーからの視点

ダイエットの心理的アプローチ

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今回は、人の欲望について考えていきます。
こんな事を考える切っ掛けになったのは、あるテレビ番組の影響です。

先日の盆休みにテレビを観ていたら、一ヶ月間の期限を区切ったダイエット企画が行われていました。
具体的な企画内容は、複数人のダイエット法を伝授する側が、自身の提唱するダイエットがどれだけ優れているかを順にプレゼン。
それを聴いている痩せたい3人の女性タレントが、その中から1つを選んで、実際に1ヶ月間実践し、何キロ痩せることが出来るのかという企画。

プレゼンされたダイエット法は、一昔前に話題になった、変わった形のウオーキングから、今現在、テレビでCMを放送しまくっている、完全管理性のスポーツジムまで様々。
皆が独自のダイエット法が優れていると熱心にプレゼンし、とうとう最期の一人となりました。
この方のダイエット法は、方法としては【断食】でしたが、そこに到達するまでの話が今までの雰囲気と変わっていて、かなり興味深かったんですね。

そこで話されていたのは、欲望についてでした。
プレゼンされた方の名前は失念しましたが、その方の楽しみは食べること。
何時でも食べていたいという願望から、絶えずお腹が空いている状態で、常に食べ続けていたようです。
当然、そんな生活を続けていたら、カロリーオーバーで太るのも必至。
そんな自分に決別するために、ダイエットを決意したそうです。

その方は様々な選択肢がある中で、まず、一つのことを実践しようとされたそうです。
それが、『自分の中で絶対にありえない!』と思える選択肢を、敢えて選ぶことだそうです。

世の中の行為で食べることが一番好きだった彼にとっては、食べることを断つ行為は正に、『ありえない』行為。
この行為を敢えて選び、断食を実行したそうです。
実際に断食を始めてみると、今までの最大の欲求が満たされないわけですから、かなりの苦しみを味わったそうです。
しかし、ある時を境に、その苦しみから開放されたそうなんですね。

開放された主な原因は、食欲という欲求の源泉を突き止めたこと。
どうやら欲求というのは、何処からとも無く無尽蔵に湧いて出てくるものではない。
湧き出る源泉の様なものがあるらしいという事が、実感できたようなんです。

その源泉とは何なのかというと、自分の心が満たされていない状態のこと。
『自分は愛されていないんじゃないか』
『必要とされていないんじゃないか』
『人を惹きつけるものを、何も持ってないんじゃないか。』

これらの【満たされない欲求】が別の欲に形を変えた結果が、食欲の増大。
つまり、自分が世の中から必要とされていないかもしれないという、漠然とした不安を埋める為に、食べ物を食べ続けていたようなのです。

一種の自己否定によって、別の欲望が増大している状態。
これを改善するためには、自己を客観的に見て、そして肯定する事で、その源泉を止めることに成功したようです。

ダイエットと聴くと、物質的で肉体的なアプローチを真っ先に考えますが、心理的なアプローチで解決するという発想は、結構衝撃的でした。
このケースだけを聴くと、実践した方の主観が大きく影響しているとも思えます。
しかし、実際の心理学でも似たような事が主張されていたりします。


少しケースは変わりますが、実践的な例でいうと、男性が女性とショッピングに行く場合、先に食事に行って腹を満たすと良い。
これは、ショッピングという物欲を満たす欲求と、食欲という胃袋を満たす欲求に関連性が有る為、食欲を満たすと物欲が減少する為、高価なものを強請られにくいからだそうです。
物欲という欲求は、食欲で代替可能というわけですね。
他の欲求が別の欲求に変わるケースは他にもあります。
やけ酒・やけ食い等が、それに当たりますね。
何らかの形で欲求が満たされなかったことを、飲酒や暴食によって、別のよくを満たすことで解消しようという行為。

その他にも、あらゆる欲求は一つの欲求が形を変えたものという主張も有ります。
フロイトという人物は、人のとるあらゆる行動は性欲に結びついていると主張しています。
確かに、性的欲求が満たされた直後というのは、あらゆる欲望が一時的に収まりますよね。
ネットスラングでは賢者タイムなんて呼び方もするようですが、そう言われれば少しは納得できますね。

その他にも、承認欲求が全ての欲求の根源だと考える人もいます。
人は誰かに、何かに認められる事が最も重要という考え方ですね。
確かに、着飾る、勉強するといった行動をしても、誰からも認められることもなく、結果にも結びつかないと確定しているのであれば、そもそもやろうと思いませんよね。
認められるかどうかはわからないけど、その可能性がある場合にしか行動しないわけですから、こちらも納得できます。


こうして考えると、自分が止めなければならないと思いつつも繰り返してしまう行動の原因は、自分自身の何かしらの欲求が別の形で現れている可能性が高いといえます。
この場合、先ずやらなければならない事は、自分が欲しているものの正体を見極めることでしょう。
この部分をスルーしてしまうと、根本解決がされない為、別の不具合が起こったり、状況が更に悪化してしまうケースというのも十分に考えられます。

例えばダイエットの場合。
自分が心のなかに抱えている欲求が、食欲という形に変わって外に表れてしまった。
その結果としてカロリーオーバーで太ってしまったとしましょう。
これを、単純に運動を増やしたり、食事量を減らすなどの行動で改善しようと思った場合、更にストレスが溜まって失敗してしまう。
やりたくもない運動や食事の抑制等で更に欲求が増大し、それが食欲に形を変えてしまうと、見事なまでにリバウンドしてしまうわけです。

しかし、自身の内側に目を向けて、自分が本当に欲しているものに向き合い、それを満たすような行動をとった場合、食欲の源泉となる欲求が満たされる為、そもそも食欲が増大しない。
また自身の欲求を見つめ直すことによって、その欲求に対して正しいアプローチをする事により、力を正しい方向に向ける事も可能になるかもしれません。

何度もダイエットに失敗し続けている方は、一度自分自身と向き合ってみては如何でしょうか。