読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

だぶるばいせっぷす 新館

ホワイトカラーではないブルーカラーからの視点

【本の紹介】 ドラッグ・内面への旅

今回紹介する本は【ドラッグ・内面への旅―インドの阿片・LSDから幻覚性茸・覚醒剤まで



最初に注意として書いておきますが、今回の投稿ではドラッグ(麻薬)に関する内容が含まれています。
当然のことながら、ドラッグの使用を推奨するような内容では有りませんが、意志の弱い方などは、今回紹介する本も共に、読まれない方が良いと思います。

ドラッグ・内面への旅―インドの阿片・LSDから幻覚性茸・覚醒剤まで
一見すると結構危なそうなタイトルですが、実際に読んだ感想としては、『そうでもない』印象です。
簡単に内容をまとめると、ドラッグ未経験者の筆者が、海外旅行に行った先で大麻を勧められ、そこから様々なドラッグにハマりった経験を綴った本です。
文章が非常に上手い上に面白く、ドンドン読み進める事が出来ました。
単純にドラッグの話だけでなく、ちょっと変わった旅行記としても楽しめるので、予定を詰め込むタイプの海外旅行しかした事がない方は、違った目線で海外旅行を捉える事が出来るかもしれませんね。


読んだ印象ですが、ドラッグについての肯定的な意見が重点的に書かれていた印象でした。
世の中を見渡せば、薬=悪といった意見しか観ないため、そのカウンターとして敢えて書いているという読み取り方も出来ますね。

この本の著者は、先ず大麻にはまり、その後、LSD・ヘロイン・覚せい剤とドラッグ街道をまっしぐら。
その後は帰国し、特に禁断症状なども出ない状態で、今では日本で普通の生活を送られているようです。
日本で合法ドラッグとして販売されている酒ですが、これもアルコール中毒になりますし、呑まれる人間もいる。
人によっては酒で人生が破壊されるわけですが、酒を嗜む人が全員、禁断症状が出て廃人になるまで飲み続けることはありませんよね。
ドラッグもこれと同じで、廃人になるまでやり続ける人間もいれば、『無ければないで、どうということはない』という人間も居るということなのでしょう。

この本で個人的に面白かったところは、ドラッグをやった際の精神的変化を詳細に書いているところでしょう。
私はといえば、お酒を週に1回程度呑むだけで、ドラッグなんてものからは遠く離れた世界に住んでいます。
その為、知識自体が全く無く、麻薬をうてば漠然と『気持ちよくなるんだろうな』というイメージしか有りませんでした。
しかし実際には、そのイメージとは全く違ったものでした。

まずドラッグには種類があり、大きく分けると、抑制剤・幻覚剤・覚醒剤に分かれるようです。
抑制剤は、日本でも認められているものでいえば、酒などのアルコール。
アルコールを摂取すると、頭は朦朧として深く考えることができなくなりますし、身体的能力も落ちてしまいます。
正に力を抑制する様なものですね。
私は酒を週に1回程度呑みますが、個人的には酒の味は好きですが、【酔う】という現象が非常に嫌いだったりします。
そういった意味では、私は抑制剤が嫌いなのでしょう。
今の日本では麻薬が禁止されている為か、情報が全く出ないせいで、間違ったイメージが広がるという場合もあると思います。
『麻薬が気持ち良い』なんてイメージは、正にその典型例ですね。
ですが、抑制剤が酒と同じ様なものであるなら、単純に思考能力の低下によって、深く考える事ができなくなって、結果として不安になるような事も考えなくなるだけなんでしょう。
楽しい場や健全な精神状態で摂取すれば、楽しくなる事もあるのでしょうが、不安なイメージを打ち消す目的で使用しても、溺れるだけになるのでしょう。

覚醒剤はその逆で、思考が活性化するようです。
身体的能力については記述が無かったのでわかりませんが、脳をフル回転出来る長さが非常に伸びるようです。
感覚が研ぎ澄まされるようで、何をやっても集中できる様です。
日常生活を送っている際に、『今日はやたらと調子が良い!なんだって出来るかも』なんて日が、年に何回かあるでしょう。
薬を飲むことで、そのテンションが強制的に続く様な感じでしょうか。


最期にLSDに代表される幻覚剤。
個人的に一番興味深かったのが、この手のドラッグ。
幻覚剤とはその名の通り、幻覚や幻聴が聞こえるそうなのですい。
本の中では『色が流れる』と表現されていましたが、実際の色がより鮮やかになったり、全く別の色になったり、より鮮明に見えたりするそうです。
これは私の予測ですが、おそらく、人のイメージがそのまま視覚を通して見えている状態なのでしょう。
私達は『美しい』という言葉やイメージを知ってはいますが、具体的に観ることは難しいですよね。
美しいとされる美術品等の対象を観ることは出来ますが、イメージそのものを観ることも聴くことも出来ない。
それを、見聞きすることが出来る状態になることなのではないでしょうか。
これが、非常に興味深い。

幻覚剤の投与によってイメージを直接視覚で感じ『今まで見えていた世界とは別世界』を観た人達は、様々な形で作品を残していたりするんです。
それは、音楽であったり絵画であったり。

そして宗教であったり。
宗教に頻繁に出てくる神秘体験や、肉体と魂の存在などが、幻覚剤による作用で体験できるらしいのです。
もっとも分かりやすい感覚としては、幽体離脱
そして、肉体の喪失からくる、宇宙・世界との一体感から、人間より上の視点から物を考えることが出来るようです。
これは、本当に肉体と精神が分離した訳ではないかもしれません。
明晰夢と呼ばれる、夢を見ている状態で夢を見ていると認識できる状態であったり、変性意識状態と呼ばれる状態になることで、同じ様な状態になれると言われています。
しかし、この経験を一度経験すると、スピリチュアル的な可能性を深く信じる事もあるようで、思考そのものが変化してしまう事もあるようなんですね。
これが結構面白い。

あくまで可能性ですが、多くの信者を抱える宗教も、大本は幻覚剤による妄想かもしれないんですよね。
古い宗教だと数千年続いていますが、そんな時代から幻覚剤があったのかと思われる方も居らっしゃるかもしれません。
確かに、精製した薬は存在しないでしょう。
ですが、自然に自生しているキノコに幻覚作用があるものが多数存在するんですよね。
それらの幻覚によって、宗教が生み出されたと考えることも出来るんですよね。

ここら辺の話を掘り下げると、非常に長くなりそうなので、この話は別の機会にしようと思いますが、今の文化の成り立ちにドラッグが関わっている可能性が高いと思えた点が、かなり衝撃的でした。
ドラッグを摂取すると、人間の精神状態がどのようになるのかを知れたという点で、面白い読み物でした。

広告を非表示にする