だぶるばいせっぷす 新館

ホワイトカラーではないブルーカラーからの視点

野党の存在意義

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ここ最近、討論番組。特に政治系の番組をみると、ストレスが溜まることが多くなってきた。
その主な原因は、議論が余りに咬み合っていないからです。

では何故、議論がかみ合わないのか。
私が考えるに、その原因はシステム。
過半数を超える与党と野党に別れた時点で、議論が低レベルなものへと堕ちて行くと思います。

何故、過半数を超える与党と野党に別れると、議論の内容が低下するのか。
それは【責任】の有無です。
与党・野党に別れた場合、責任があるのは与党のみ。
野党には責任は存在しません。

何故なら、過半数を下回っている為に、自分達の意見を通そうと思えば、与党を説得するか与党の意見に歩み寄らなくてはなりません。
これはかなりハードルが高い。
自分の意見を通そうとする場合、与党を説得するだけの対案を出さなければなりません。
与党側位は既得権益などもあるでしょうし、野党の意見に乗り換えるためには、かなりの正当性が必要となります。

その一方で与党の意見に歩み寄る場合、自身の政党の存在意義が問われます。
また、反与党という大雑把な理由で投票してくれた人に対して、賛成するだけの理由を説明しなければなりません。

そして一番重要なのが、野党である自分達の意見で法案が可決した場合、与党と同様、その責任は自分達も取らなければならない事です。

どんな完璧に思えるような法案でも、必ず『穴を見つけてつついてやろう』と思う輩は存在しますし、環境が変わる事で無効化されたり、邪魔になったりする事も出てきます。
その際に、反対した陣営から『同責任を取るんだ!』と責め立てられます。
選挙が近ければ、大幅に議席を減らす可能性もあるでしょう。

であるならば、与党の出す案、全てに対して反対すれば良い。
政治・経済は、検証をする事が不可能な分野です。
タイムマシンでも出来れば別ですが、ある法案を作った場合と作らなかった場合を比べることは出来ません。
つまり、『実行して上手く行かなかったから、実行しない場合も試してみよう』なんて事にはなりようもない。
その為、『実行していなければ、もっと酷いことになった』という事実を突きつけられることもない。

全ての事柄に対して反対すれば、法案に穴があったり、環境によって無意味になったり不利になったりした際に、『だから私達は反対したんです』と胸を張っていえば良い。
これだけで、実際には何もしていないのに自身の株を上げることが出来る
また反対をする場合は、出来るだけ論理的に話さず、対案も出さずに感情的に反対したほうが良い。
何故なら、仮に対案を出して与党がそれに乗っかってきた場合、自分達も責任を取らなければならないことになる。

つまり、政治に対して積極に参加するインセンティブが与党にしか無く、野党は邪魔さえしていれば存在感を出せるという事になってしまっている。
これが、議論が発展せず、低レベルに堕ちて行く理由だろう。


わかり易い例が、民主党政権時。
野党時代は威勢がよかったが、いざ、自分達の発言に責任が伴うことがわかると、いろんな方面の意見を聞かなくてはならなくなり、野党時代に主張していた様な改革は出来なかった。

他の例でいえば、田中真紀子等が分かりやすいだろう。
小泉政権以前の田中真紀子は、歯に衣着せぬ発言で人気を博し、ニュース番組で使いやすいとして、連日取材が殺到していた。
この当時の田中真紀子は、与党には在籍していたが、如何に与党の体質が腐っているかという主張を度々行い、与党内野党の様な存在となっていた。

そんな田中真紀子は、当時変人と呼ばれていた小泉さんを推す事で、大臣になることが出来た。
マスコミは、今まで威勢の良かった田中真紀子が大臣になったからと取材に訪れたが、今までのような発言はせず、おとなしくなった記憶がある。
これも先程の民主党と同じで、自分が大臣という地位に登っててしまった事で、自身の発言に責任が伴うようになってしまったことが原因だろう。


これを呼んで誤解してほしくないのは、別に私は安倍信者でも自民党崇拝者でもない。
私個人として願っているのは、それぞれの議員が考えた最上の策を国会でぶつけ合ってもらいたい。
そして、野党の人にも、責任が伴う行動を取って欲しいんです。

しかし野党は責任から逃れるように、与党の揚げ足取りしか行わない。

例えば、集団的自衛権や沖縄の基地問題等。
与党としては日米同盟が有るのだから、同盟を継続するのであれば、その立場で意見を言わざるをえない。
野党側が、沖縄の基地撤退や集団的自衛権を認めないと訴えるのであれば、提案しなければならないことが有るでしょう。
それは、日米同盟の解消。

日米同盟が解消されれば、沖縄に米軍が居座る事もありませんし、集団的自衛権の問題もなくなる。
スイスのように永世中立国になる事も可能でしょう。
しかし野党がその主張が出来ないのは、主張をしてしまえば、自分達が突っ込まれてしまう。

米軍が抜けた空白は自衛隊を強化して埋めるのか、それとも他に案があるのか。
確実にやってくる質問に答えることは出来ないし、考えたくもないのでしょう。

それなら、与党の出した案の揚げ足を取っていれば良い。
そうしておけば、自分達が責められることもないし、与党の目論見が失敗したら『だから反対したんだ』というだけで仕事をした気に慣れる。


ではどの様にこの問題を解決すれば良いのか。
根本的に解決する策を持ち合わせていませんが、簡単に出来てそれなりに効果があるものが1つあります。
それは、全ての法案に対して党議拘束をかけてはいけない様にすれば良いのではないでしょうか。

党議拘束は、党に所属している人に投票の賛否を強制するものですが、これは党の権限ともいえますが、党所属の政治家からすれば、言い訳に使える。
有権者から、『何故あの法案に賛成したんだ』と詰め寄られても、『私自身は反対だったら、党議拘束がかかって仕方がなかった』と言い訳できる。
しかし党議拘束がかけられなければ、そのような言い訳は出来ない。
政治家は自分の判断で賛否を決めたわけだから、自分の意見を説明する責任が生まれる。

また、党自身が持つ権限を抑えることも出来る。
これを実行したからといって、直ぐに変わるようなものではないとは思うが、僅かな意識改革は出来るのではないだろうか。