だぶるばいせっぷす 新館

ホワイトカラーではないブルーカラーからの視点

何故テレビは つまらなくなってしまったのだろうか

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最近、『テレビが面白くなくなった』という意見や、『若者のテレビ離れ』なんていう言葉をよく聞きます。
実際にもテレビを持っていないという人の話を聞きますし、視聴率も下降傾向気味のようです。
なぜこの様な現象が起こたのか。
今回は、このことについて考えていきます。


若者のテレビ離れの要因としては、3つ考えられます。

  1. ネットによって視聴者の意見が聞けるようになり、それに迎合するようになった
  2. 視聴者の選択肢が増えた
  3. 視聴者の知識や情報が二極化した

まず最初の、ネットによって視聴者の意見が聞けるようになり、それに迎合するようになった

昔は、テレビ放送というのは一方的だった為、番組に対しての意見は、テレビ局にかかってくる電話ぐらいしか有りませんでした。
その電話も、『楽しい放送をありがとう!』なんていう理由でかける人はいないでしょうから、揚げ足取りやクレームといったもの。
テレビ局は、そのクレームに対処しつつも、自分達で考えぬいたコンテンツを放送していました。

しかし今現在は、ネットが発達してweb2.0なんて物が出来てから、一般市民の意見を簡単に知ることが出来るようになりました。
例えば、番組の感想ブログや掲示板、twitterfacebook等のSNS等、その気になって調べようと思えば、テレビ局から一歩も出ずに、苦情以外の意見を聴けるようになったわけです。

この事が番組の制作上、結構な悪影響を与えているのでしょう。

テレビ番組にかぎらずコンテンツというのは、人の意見が入れば入っただけ、つまらなくなります。
これは以外に思う方もいらっしゃるかもしれませんが、面白いと思えるコンテンには、独特の雰囲気や表現が必要になってきます。
その結果として、同じ様な知識を共有していない、つまり、共通言語が通じない人にとっては意味の解らない表現等も出てくるわけです。

本来であれば、そういう人は放っておけばよいわけです。
しかし、そういう人は気軽にネット上で『あの表現は意味がわからない』と言いがちです。
昔なら耳や目に入ってこなかった情報も、現代社会ではネットのお陰で簡単に手に入ってしまう。
一人でも視聴者が欲しい製作者側は、その人に迎合して、表現自体をわかりやすくしてしまう。

結果として出来上がったコンテンツは、何の引っ掛かりもない凡庸なものなものになってしまう。


次に視聴者の選択肢が増えた
これはそのままなのですが、昔は新聞・雑誌・テレビぐらいしか楽しむものがなかった。
その中でもテレビは無料で楽しむことが出来る為、日常生活でかなりの時間的シェアを獲得していたのですが、無料で更にエキサイティングなものが増えてしまいました。

ネットには、無料購読できる雑誌や動画投稿、知り合いの動きがわかるSNS等があり、お金をかけずに情報がてにはいります。
また、携帯電話はスマフォになってネットに接続できるようになり、無料で何時でも何処でもゲームが出来るようになりました。
無料で提供されるコンテンツが大量に増えた結果、それらのコンテンツに時間を奪われるようになった。

人の感覚は相対的なものなので、他に面白いと思えるものが増えれば、今までのものが相対的に面白くないものと感じてしまう。


最後は、視聴者の知識レベルの二極化

人の知的好奇心は旺盛で、情報を手に入れる事が出来る状態であれば、進んで情報収集を行います。
しかし人は、すべての情報に対して、同じように興味をもつことは有りません。
車・ギャンブル・政治経済・異性・恋愛等、様々なジャンルがあるものから、自分の好きなものの情報に興味を持ちます。
そして情報を手に入れて知的好奇心を満たすと、そこから更に踏み込んだ情報を集める為に動きます。

結果として人は、程度の差こそあれ、全ての人が特定分野の専門家になってしまう。

しかし、テレビでその様な専門家の知的好奇心を満たす様な情報を流しているかといえば、かなり疑問です。
というのも、テレビはスポンサーからお金を集めて運営しているため、視聴率を稼がなければなりません。
専門的な分野に特化した番組を作ったとしても、元々の分母が少ない為、その業界のかなりのシェアを取れたとしても、視聴率は稼ぎにくい。
その為、人口割合で一番多そうな層に対して番組作りをしなければなりません。

人口割合で一番多いそうとはどの層なのかというと、知識レベルが低い層です。
政治経済に詳しい人でも、ギャンブルの事は無知だという人は存在するでしょう。
ギャンブルに詳しい人の中には、海外文化の知識が薄い人もいるでしょう。

それぞれの専門分野を掘り下げるのは難しい。
しかし、全ての人に知らない部分が存在する為、知識レベルが低い人に合わせて創ると、すべての人をカバーできる。

結果として一分野に尖った情報を伝えられないので、これもまた、凡庸なものになってしまう。
全ての人が理解できて楽しめるものを創ろうと思った結果、誰も楽しめないコンテンツになってしまった。

以上が、テレビがつまらなくなってしまった原因ではないでしょうか。
それでは、テレビが必要ではなくなったのかといえば、そうは思いません。
テレビは全方位に対して広く浅い情報を提供してくれているため、自分が全く知らない分野への入り口となります。

また、自ら情報を取りに行くのではなく、電源を入れれば放送が見れるという点で、情報を取りに行くのではなく受動的に得ることが出来ます。
そういった意味ではテレビの存在意義は、これからも存在していくのでしょう。