だぶるばいせっぷす 新館

ホワイトカラーではないブルーカラーからの視点

トリクルダウンは起こらない

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安倍政権に変わり、反安倍の人でも『経済政策は良い』という発言をよく聞くようになりました。
しかし個人的には、この経済政策自体が、上手く行っていないように思えます。
という事で、今回はアベノミクスについて考えていきます。


アベノミクスが成功したと主張している人の殆どは、株価が上昇したからなんですよね。
株価は経済を見る上で重要な指標としされているので、これが上昇しているから経済は良いだろう。
この様な安直な思い込で、アベノミクスを持ち上げているんだと思います。

しかし実際の経済状態をみると、良いとされているのは一部の輸出大手のみ。
輸入企業や国内産業は、相変わらずというか、仕入れ物価が上昇したのに売値が思う様に上げられない為、むしろ苦しい企業も多い。

では、アベノミクスが成功しているという人は、現状が見えていないかというと、そうでは無い。
中小零細や輸入企業の業績が悪い事は知っている。
この様な主張をする人が持ち出してくる理論が、トリクルダウン理論です。

トリクルダウン理論というのは、簡単にいえばシャンパンタワーのようなもの。
ワイングラスをピラミッド状に積み上げ、一番上のグラスにシャンパンを注ぎ続けると、溢れでたシャンパンが下のグラスに注がれる。
したのグラスが溢れると、そのまた下に注がれる。
最終的には、全ての暮らしにシャンパンが注がれる事になる。

これを経済に当てはめたものがトリクルダウン理論
大企業が儲ければ、余裕が大企業は社員の給料を増額し、社員はその金を散財するので、結果的に日本の経済が良くなるという理論。

しかし常識的に考えれば、この様な事は起こるはずがない。
何故なら、日本は過去に同じ様な事を繰り返してきたからです。

日本の株価がピークを付けたのは、バブル期。
このバブルが弾け、株価が右肩下がりで急降下し始めた時、日本は指を加えて見ていたわけではない。
カンフル剤という名のバラマキ政策を行い、景気浮上を何度と無く試みています。
その結果何が起こったのかというと、日本の景気は落ちるところまで落ち、中間層が厚いと言われていた日本で二極化が起こり、格差が広がりました。


つまり景気は浮上せず、トリクルダウンも起こらなかったのです。
富める者はより豊かに、貧しい物はより貧しい生活を強いられるようになりました。

これは、考えて見れば当然の結果です。
金持ちが何故金持ちなのかといえば、お金を使わずに投資を行うからです。
その一方で、貧困層の大半は投資を行えず、またその意味も知らない。

ピケティ氏が21世紀の資本で、投資収益は労働よりも効率が良いという事を数式で証明したようです。




搾取側である富裕層は僅かに景気が浮上して儲かった際に投資を加速させ、その一方で貧困層は、投資を行う余裕もない。
両者の差が広がるのは当然といえるでしょう。

それが今回に限って起こるという主張は、納得できません。
更に納得出来ないのが、今回行われている方法です。

その昔 カンフル剤と呼ばれていたバラマキ政策は、公共事業等の実需に直接介入する方法です。
しかし今回の株価上昇要因の大半は、円安です。

円安によって金融商品の円ベースでの価格が上昇しただけなので、実需を伴わない株価上昇なんです。
わかりやすく例を出すと、日経平均株価の適正価格が1ドル150ドルとしましょう。
円高で1ドルが80円の時であれば、日経平均株価は12,000円ですが、1ドル120園に慣れば18,000円となります。

カンフル剤と呼ばれるバラマキ政策を行っても、トリクルダウンは起こりませんでした。
為替変動による計算上の株価上昇で、トリクルダウンが起こるとは、とても思えないのは、私だけでしょうか。