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ホワイトカラーではないブルーカラーからの視点

日経平均とは何なのか

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アベノミクスが始まってから、株価は右肩上がりを続け、株価はとうとう2万円に到達するまでになりました。
ニュース番組などでも明るい話題として捉えられ、景気が良くなってきていると報じられて居るのですが、ここで一つ問題が。
そもそも日経平均株価とは何なのか?ということ。
この景気指数の事が理解できていなければ、正しい判断なんて出きっこ有りませんもんね。


実は前にも、日経平均株価と経済の関係性について触れた投稿を書いた際に、このことに対して少し触れたのですが…
結構長くなりそうだったので、前回は軽く触れる程度に抑え、回を分けて書くことに。
という事で今回は、日経平均株価についての話です。


日経平均株価とは、物凄く簡単に書くと、日本経済新聞社が選んだ225銘柄の単純平均です。
結構昔の人は、日経平均株価の事を日経ダウ平均なんて表現をしたりしますね。
余談ですが、これは計算方法に由来しています。
アメリカの株価指数に、ダウ平均というものがあります。
これはダウ・ジョーンズ社が考えた株式指数計算方法で、これをモデルにして日本に持ってきたのが日経平均株価です。

先程は簡単に説明するために単純平均と書きましたが、基本的な計算式は単純平均なのですが、実際には除数の計算方法が若干違います。

単純平均の場合は、225銘柄を合計して225で割るのが普通。
しかし実際の日経平均株価は、225銘柄を25.473で割ったものです。
詳しくはこちら
http://indexes.nikkei.co.jp/nkave

何故こんな25.473なんて変な数字で割るのかというと、株式の性質に関係してきます。
株には分割という制度があるからです。
例えば、1株1万円の株があったとします。
これを2分割する。
処理としては、この株を所有している人に、同数の株を渡して金額を半分にする。

つまり、今まで1万円の株を1株持っていた人は、5000円の株を2株所有することになる。
10分割の場合も同じ。
1万円の株を1株持っていた人は、1000円の株を10株保有する様になる。
元々の資産価値は同じですが、持っている株数と金額が変化します。

何故こんな面倒くさい事をするのか。
理由は、会社の経営が順調に進んで成長が進むと、当然、会社の価値そのものが上昇します。
株価と会社の価値はほぼ同じである為、それに伴って会社の価値も上昇。
この際に、発行株式数が少ない状態だと、一株辺りの価格が高過ぎる事となり、売買がしにくくなる。
その為、会社の規模にともなって、株数を増やしていくんです。

この株式分割が、単純平均である日経平均株価を計算する際に、問題になってきます。
例を出すと
A株(1,000円)・B株(500円)・C株(1,500円)の単純平均は
1,000円+500円+1500円=3,000円
3000円÷3=1,000円なので、1,000円です。

しかし、A株(1,000円)が1株を2株に分ける株式分割を行った場合、A株の株価は500円になります。
この場合の単純平均は
500円+500円+1500円=2500円
2500円÷3=833.33円となり、会社の価値が変わらないのに株価指数が下がってしまいます。
この様な場合になった際の対処方法として、除数である3を変更します。
つまり
2500円÷x(エックス)=1,000円とし、除数xを計算する。
この場合は、2.5となりますね。

株式分割が起こる度に除数を再計算し、株式指数に価格的な連続性を持たせます。
ここで価格的な連続性と書いたのは、A株の市場に与える影響は半分に下がっている為、指数が表す内容自体は変化しているからです。
(指数の基本的な計算方式は、株式分割によって除数を変更しますが、最近1株を3分割したソフトバンクの場合は、株価を3倍して計算しています)

これからも分かる通り、日経平均株価に連続性は有りません。
更にいえば、連続性が失われる要因がもう一つ有ります。
それは、構成銘柄の入れ替え。
この影響が、かなり大きい。

株というのは企業を証券化したものなので、当然、会社が倒産すれば株は紙切れとなってなくなります。
また、最初は日本を代表する株だと思って組み入れたが、その後に衰退し、社会に影響力が無くなる場合もあります。
その様な際には、その企業を外して、別の企業に入れ替えます。
構成銘柄そのものが変わってしまえば、看板だけ同じで中身が全く違うという事になります。
これによって連続性は絶たれています。

日経平均株価は15年ぶりに2万円をつけたと言っています。
これも、同じ指数が同じ位置にまで回復したのであれば、意味はあるのでしょう。
しかし、構成銘柄そのものが変わって連続性が途絶えている以上、比べること自体に意味のない行動といえるでしょう。

極端な話、時代に取り残されて一線から退きそうな株を除外して、これからの時代を支える産業の株を組み入れれば、指数そのものは右肩上がりで上昇していくんですから。