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ホワイトカラーではないブルーカラーからの視点

日経平均2万円到達で景気は良くなるのか

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先週末に、日経平均株価が十数年ぶりに、一時20,000円を突破しました。
株価も順調に上昇し、景気が回復してきたという報道を頻繁に観ますが、本当にそうなんでしょうか。
という事で今回は、株と景気について考えていきます。

結論からいえば、今現在の株価の上昇と景気は、殆ど関係が無いといえるでしょう。

何故なのか。
損ポイントを読み解く要因は2つ

  1. 株と経済の因果関係。
  2. 日経平均株価とう指数

です。

では、一つ一つ見て行きましょう。

株と経済の関係ですが、単純に経済を表す指数が株価というわけでは有りません。
この部分を勘違いすると、株価を上昇させれば景気が良くなるという間違いに発展してしまいます。

景気が良くなり、企業業績が上昇すると、株価は計算上、上昇する事になります。
つまり、好景気→株価上昇には、それなりの因果関係が存在します。
では逆もまた真なりとなるのかといえば、なりません。
不景気の状態で、無理やり株価を引き上げたからといって、景気が良くなるわけでは有りません。

因果関係が成立する関係性は一方通行であって、双方向ではないということです。

わかりやすく、他の例で例えてみましょう。
物凄く治安がよく、犯罪率が低い状態の時は、犯罪者が謙虚されることも少ないため、刑務所に収容されている人数も少ないです。
この場合、犯罪率が低いという環境下では、刑務所の収容人数が少ないという関係性が成り立つ。
しかしこの関係は、犯罪率が低い状況→刑務所の収容人数が少ないという一方通行です。

これを誤解して、【犯罪率】と【刑務所の収容人数】の2つの数値に因果関係があると誤解した場合、どうなるか。
2つの数値、双方向で関係が成り立つと誤解すると、刑務所に収容されている囚人を解放すると、高い犯罪率を低下させることが出来ると思い込んでしまう。
かなり馬鹿げた話だと思うかもしれませんが、因果関係と相関関係を勘違いしたアメリカの学者が、犯罪率低下の為に囚人開放を訴えるという珍事が起こっています。

これを経済に当てはめたのが、今回の株価上昇。
日経平均株価と経済の間に、双方向の因果関係があると誤解すると、株価を上げると経済が良くなると誤解してしまう。
これは典型的な相関関係と因果関係の誤解なので、実際に効果を期待することは出来ません。


次は、日経平均株価という指数について。
株式投資をやられたことがない方は、日経平均株価という指数についてあまり良く知らないという方も多いと思います。
という事で、簡単に説明してみましょう。

日経平均株価とは、日本経済新聞社が選び出して225銘柄の単純平均株価です。
元々はアメリカのダウ・ジョーンズさんが考えだした株価指数の計算方式で、アメリカの場合はダウ平均株価。
単純平均なので、この株価指数が最初に出された当初は、225銘柄をすべて足して、225で割るという方式で行われていました。
しかし株価指数の計算の場合、単純に合計して割るという方式では、不都合が生れます。

この辺りの説明は機会があれば詳しくしますが、その不都合は除数を変更することで解消できる為、今の除数は25.473。
つまり、日本経済新聞社が選んだ225銘柄を25.473で割った数字が日経平均株価です。

この単純平均という計算方式が、かなり問題が有ります。
例えば、日立の株価は800円程です。
その一方で、UNIQLOの親会社、ファーストリテイリングの株価は50,000円近い。
同じ1%の変動でも、日経平均株価に与える影響は段違いです。

つまり、日経平均株価を上げようと思いえば、株価が高い株を買い上げればよい。
日本の場合は、ファーストリテイリングファナックソフトバンクの3社が日経平均に20%の影響を与える。
これらの株を買い上げるだけで、連日の株価上昇を演じることが出来ます。
『でも、その株を誰が買い上げるの?』という疑問を持たれる方も多いでしょう。

答えは簡単。
日銀と、年金資金が下支えをして、投機家が買い上げる。
日銀は、日銀バズーカと呼ばれる金融緩和政策で、毎年3兆円の枠を設けて株を買い上げると公言しました。
また政府は、年金積立基金の運用比率を変更し、株価の比重を上げました。
これは簡単に表現すると、国民から年金として吸い上げた金を、株式市場にぶち込む比率を上げるという事。

つまり、国が全力で下値を支えてくれているんです。
下を支えてくれているんだから、投機家は安心して特定の銘柄を購入することが出来る。

以上の2つの要因をまとめると。
国は株価と経済に双方向の因果関係があると誤解し、株価が上昇すると景気が良くなると誤解。
景気を良くする為に、日銀と公的年金で株を買い支え、株価を上昇させる。
結果として、株を買えるような富裕層の資産は増大し、株も変えない貧民層は、円安による物価上昇で苦しくなっただけという状況になった。

政府や一部の専門家は、金持ちが資産を増やせば、その金を使うから経済が良くなる!
トリクルダウンだ!と主張していますが…
過去に何度も主張してますが、金持ちは、お金を使わないから金持ちなんです。