だぶるばいせっぷす 新館

ホワイトカラーではないブルーカラーからの視点

人手不足の簡単な解消法

先日のことですが、ワールドビジネスサテライトというテレビ東京のビジネス番組で、保育園の求人の話が取り上げられていました。
簡単な内容としては、企業が子供を持つ従業員の為に、保育所を作るという動きが広がっているという取材で、従業員の子供だけでなく、周辺住民の子供も預かれるということで注目されているという話でした。
http://www.tv-tokyo.co.jp/mv/wbs/newsl/post_151132/

ただ、保育所をつくるといっても、ネックになってくるのは保育士です。
保育士は、補修をかけても応募に来ないといわれていて、どの保育所でも人員確保が難しいと言われている業界。
この様な環境では、箱だけつくって従業員がいないなんて事にもなりかねません。

しかし、そんな心配は一切なかったようです。
というのも、保育士の業界の平均給料が20万らしいのですが、その値段に3万円だけプラスした23万円の基本給で募集した所、募集人数の4倍の応募が来たそうです。
この事が興味深かったので、ニュースで見たものをそのままTweetした所


バズりました。

まぁ、日本の人手不足は奴隷不足なんて言われていますが、保育士の人数が足りないんじゃなくて、単純に、労力や責任に対して給料が安すぎるから人が集まってなかっただけという事なんでしょうね。
少し前に話題になった番組『ねほりんはぽりん』では、現役保育士をゲストに呼んで赤裸々トークをしていましたが、短大出の保育士の給料が12万程度(手取り?)で、4大卒で19万に届かないぐらいだったと記憶しています。
初任給でもないのに、大学を出て20万も行かないというのも問題ですが、短大出身の方の12万は、正直、ヤバすぎでしょう…

保育士って、誰でもなれるってもんではないんですよ? 児童福祉法で定められた国家資格が必要な専門職なんですよ?
しかも、預かる子供は小学生になる前なので、最年長でも5歳か6歳で、平均だと3~4歳。 そこら中を走り回り、ちょっと目を話したスキにトラブルを起こす年頃の子供を大量に抱えるわけですから、労働的にもかなり辛い。
また、子供が勝手に行動した結果、怪我でもしたら、責任問題に発展する…

こんな労働条件で、その国家資格を取って得られる給料が12万ですか。 8時間労働だとしても時給換算で750円なので、最低時給を下回る金額ですね。
東京の最低時給は958円だそうなので、国家資格も何も必要の無いアルバイトをしていた方が、生活的には豊かになる計算になってしまいます。

この様な労働環境なので、日本では、保育士資格を持ってはいるけれども、保育士になりたがらないという人が結構多い。
重大な責任を背負って『はした金』を貰うぐらいなら、家で自分の子供の面倒を見ながら専業主婦をしていた方が良いと考える人もいるだろうし、スーパーのレジうちの方が実入りが良いと考える人もいるでしょう。
しかし今回、この企業が提示した23万円という給料は、様々な理由で保育士という職業から距離をおいていた人達に、『働いてみても良いかも?』と思わせる金額だったということでしょう。

結果として、募集に対して4倍の人数が集まることになりました。

でまぁ、こういう風にバズると、バズったTweetに便乗して有名になりたい人というのがクソリプを飛ばすものでして…
先程の私のTweetにも、そんな一方的にマウントを取りに来るリプが飛び込んでまりしました。

この他にも、『人件費を青天井で上げていったら、会社が潰れるんだが?』といった内容を、平日の昼間っから、何故か経営者目線で語る人も多数…

世の中には、自分のことを賢いと思いこんでいて、見ず知らずの人間に上から目線で自分の主張を押し付けたいという人は一定数いるものでして、これもその一つの例なんでしょう。
主張が有るなら、引用リツイートなどで自分のTweetとしてやればいいのに、何故か、バズったTweetにぶら下がる形でマウントを取ろうとしてしまう。。
ネット社会の闇の一つなのかも知れませんね。

こういうクソリプが多数付く事は想定していたので、今回は、それに対する意見というのを書いていきます。
『給料上げたら会社が潰れるだろw』とか、何故か経営者目線で突っかかってくる人は論外なので、Tweetを貼り付けた方に焦点を当てると、マクロとかミクロなんてワードを持ち出して、もっともらしく反論しているようですが、この方は経済の構造を表面的にしか理解していませんね。

というのも、そもそも資本主義というのは、全てのものに適正価格を付けましょうという考え方が基本となっています。
つまり、低賃金で募集しても人が集まらない場合、社会全体がその労働に対して考えている対価と、支払う側の対価が釣り合ってないから、取引が成立しないんです。
経済の基本中の基本である、需要と供給の問題ですね。 需要線と供給線が交わる所が適正価格なんです。

それよりも価格が低ければ応募はないし、高ければ応募が殺到するというだけの話。
現状で、日本が人手不足というのであれば、需要と供給が交わるラインまで給料を上げればよいだけの話です。これは、中学生ぐらいで学ぶレベルの基本です。
で、ここで反論が出てくるわけです。『日本人の総人口には上限が有るんだから、高い給料で労働力を取り合っても、根本的な人手不足は解消しないだろう?』と。

しかし冷静に考えれば、そんな事は無い事に気が付きます。
アメリカの大手企業は高い給料を提示して、世界中から優秀な頭脳と技能を集めています。ここ最近、急速に成長し、技術的にも日本を追い抜かしている中国企業は、中国国内でも技術者を募集していますし、日本支店でも新卒給料50万円を提示しています。
今はグローバル化の社会なので、高い給料を提示するだけで企業が求める人材というのは世界中から集ってきます。
先程のTweetで、高い金を出して移民受け入れ云々と書かれていますが、世界では普通のことですし、日本のグローバル企業はとっくに行っている事です。

また、人件費が高騰し過ぎれば、それに対抗して新たな動きが生まれます。それは、労働の機械化です。
人件費が高騰するのであれば、高いお金を出して自動で行える機械や生産体制を作れば良いという方向に進みます。
労働力が値上がりすればする程、新たなシステムに投資する為の資金は相対的に増えることになります。こうして、既存の仕事の従事者が減ることになるわけですが、その一方で、新たなシステムを生み出す為に、新たな雇用が生まれます。

技術や文明の進歩というのは、古い体制を壊して新たなシステムに移行する創造的破壊なくしてはありえません。
しかし、先程のようなTweetをドヤ顔でする人というのは、そういう事を考えず、なんだかんだ理由をつけて、何故か経営者目線で人を安く使おうとする方法のみを考えます。

しかし、その考え方の先に有るのって、破滅しか無いんですよね。
先程も書きましたが、今の世界の流れとしては、グローバルで活躍して優秀な人材を欲しがっている企業というのは、高い金を出して世界中から人材を吸収しています。
そんな中で日本だけが、『入社したてで若いんだから、給料は少なくて良いよな。文句は一人前になってから言え!』『お前のやってる仕事は誰にでも出来る。代わりはいくらでも居るんだぞ!』なんていってたら、優秀な人から辞めていきますよね。

そうなると、日本企業の国際競争力はドンドン落ち込むので、新しいサービスや新製品の開発なんて行えない状況になっていきます。
そして最終的には、出来る仕事は下請けのような仕事しか無くなってしまう。となると、それこそ『こんな部品を作ってくれる企業なんてどこにでも有る!代わりはいくらでもあるんだぞ!』と世界中の顧客から言われ、儲からない仕事ばかりを押し付けられる。
こうなると本当の破滅で、企業が儲からないから、本当に給料を支払うことが出来ないようになり、低賃金でしか募集をできなくなる。当然、お金がないので設備投資もできなくなるので、設備の差を人力で埋めなければならない状態になる。

つまり、今まで搾取側が底辺労働者にいい続けていた事を、世界からいわれる状態に陥るわけです。
こんな環境では、優秀な人は日本を捨てて出稼ぎに出るようになるので、本当の意味で、この国はオワコンになってしまいます。

しかし、現状で労働者に適正な給料が支払われていないのって、こういう状態に陥っているからではありませんよね。 
世間一般では好景気を肌で感じることはまったくないのに、上場企業の業績は、バブル後最高益になってたりします。
にもかかわらず、労働者や下請け企業に分配が行われていないというのは、単純に、労働者や下請けの中小企業から搾取してるからです。

私が主張しているのは、その搾取をやめて、再分配しろという事なんです。 現状でも、大企業から搾取され続けて旨味のない中小企業は、子供に後を継がせるなんてことはせずに、廃業を選ぶ企業が増えてきています。
そして、今働いている高齢の経営者の方が体を崩すなりお亡くなりになるタイミングで、大廃業時代がやってくるでしょう。そうなった時、一部の技術や産業は失われる事になリ、そして一度失われた技術は簡単には復活することはありません。
そうなった時が、終わりの始まり。

今まで、無理を下の階層に押し付ける事で国際競争力を維持してきた企業は、押し付ける対象が無くなってしまう事で、開発力も競争力もなくしてしまうでしょう。
そして、今まで日本が後進国にしてきたように、やりたくない仕事を海外から押し付けられ、それを有難がって受ける選択肢しか選べなくなります。
この様な環境では、国民が手にする所得は常に低い状態に抑えられることになり、当然のように消費も落ち込み、経済はマイナス方向に加速していくことになります。

そうならないために重要なのが、適正な再分配であり、その第一歩が、従業員に対する適切な報酬ではないでしょうか。 

【Podcast #だぶるばいせっぷす 原稿 】第26回【ヒッピー】ティモシー・リアリー(2) ~独立

この投稿は、私が配信している Podcast番組『だぶるばいせっぷす』で使用した原稿です。
放送内容は、私が理解した事を元に行っています。ご了承ください。
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youtubeでも音声を公開しています。興味の有る方は、チャンネル登録お願い致します。
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前回の放送では、ヒッピー・ムーブメントの前身となる、ビート・ジェネレーションやビート運動について話、その後、ヒッピー・ムーブメントの中心的な人物である、ティモシー・リアリーについて話始めていったわけですけれども
今回は、その続きとなります。

本題に入る前に、一応、言っておこうと思いますが、前回も、そして今回からもそうなんですけれども、ヒッピーを取り扱う回では、LSDなどの幻覚剤を始めとした禁止薬物が、頻繁に登場することになります。
それも、ネガティブな取り扱い方だけではなく、人間の可能性を伸ばすといった感じの取り上げ方をしますが、あくまでも、当時、そのように捉えられて研究されていたという解説をしているだけで
現在、使用することを推奨しているわけではありません。 現在は禁止薬物になっているものが大半なので、使用は行わないようにしてください。

前回までの流れを簡単に振り返ると、近代化が進んだアメリカでは、人間が人間らしく生活するのではなく、システムを循環させる為に人を消費する事が当たり前だという価値観に徐々に成っていってたんですね。
そして人間は、そのシステムの循環の為に、効率よく利用しやすい様に、レールの上に乗せて培養される。
有名な映画でいうと、マトリックスの様な世界観なんでしょうね。

かなり昔の映画で、今更ネタバレも無いとは思うんですが、まだ観てない方でネタバレが嫌な方は、ここで一旦聞くのを止めてくださいね。 いいでしょうか。
マトリックスという映画は、哲学的な問題を多く含んで作られている作品なので、捉え方によって、どのようにも捉えられるわけですけれども、ビート世代が抱えていた漠然とした悩みも表現されているように思えます。
この映画では、人間は人間らしく、不安や絶望を感じながらも、そんな中に僅かな幸せを見つけながら暮らしていく世界観が最初に描かれているわけですが、それは全て、機械が見せていた夢でしか有りませんでしたよね。

人間は、マトリクスの中で自由に生活をしているように錯覚をしていましたが、現実の世界では、狭いカプセルに入れられてコードをつながれ、ただ、機械達の電気を補充する為に栽培されているだけの存在でした。
これ以上無いぐらいの完全管理社会の中で、主人公たちが夢から覚めて目覚める事で、現状の問題を知って立ち向かうというストーリーです。
仏教では、ブッダというのは目覚めた人という意味ですが、目覚めて本当の現実を知ってしまうことで、マトリクスで起こっていることに現実味を持てないというのは、悟りや幻覚剤による意識拡張の表現とも考えられますよね。

映画としてみると、かなり非現実的なシチュエーションですが、現実の世界でも、似たようなことが起こっています。
私たちはシステムを回す為に、ハードルを超えていくことを義務付けられています。
義務教育を受けなければなりませんし、進学しなければなりません。進学しないのであれば、就活をして仕事につかなければなりませんし、適正年齢になれば結婚をしなければならないプレッシャーに晒されます。

システムを管理する側は、効率よくシステムを回す為に、それらを『常識』として世間一般に浸透させていて、管理されている側は自分が自由で、自分の人生は自分の選択によって勝ち取ったものだと錯覚するわけですけれども
実際には、自分達が選び取ったと錯覚している現状は、実は管理されているもので、管理社会に囚われている状態という事ですね。
この状態に文学面から異論を唱えて、意識の変革をもたらそうとしたのが、ビート・ジェネレーションのビート運動なのでしょう。

こういった状態の中で登場したのが、ティモシー・リアリーです。
リアリーはハーバードに就職後に、友人に進められた幻覚キノコに魅入られて、シロシビンの研究に打ち込むことになります。
その中で巡り合った本が、『知覚の扉』というメスカリンの体験やその体験を経ての精神の変化の考察について書かれた本です。

これを書いたのは、オルダス・ハクスリーという、自身の体を人体実験として使用して、精神の変化や、それを踏まえた上での哲学的な思想を研究していた人物です。
特に、意識拡張からの神秘体験、つまり、神的なものとの遭遇などで神の実在を認識できた人間の思想などに興味を持ち、その流れで、東洋思想にも興味を持った人物だったようです。
リアリーは、この人物に興味を持ち、実際に会いに行って、その後、一緒にシロシビンの研究である、ハーバード・シロシビン計画を行っていくことになります。

計画は、1960年から2年間続いたようで、研究内容としては、幻覚剤を擁護するような内容になっていたようです。
具体的な内容としては、前にLSDの回でも話したとは思うんですが、幻覚剤によるトリップを、精神病治療に役立てるといった方向で研究していたようです。
簡単なものでいえば、アルコール依存症などの治療や、犯罪者の再犯率を改善させるような証拠を探すと言った感じでしょうか。

再犯率に関しては、実際にコンコード刑務所で32人の受刑者を使って実験が行われたようです。
実験内容は、仮釈放中に何人の受刑者が、再び犯罪を犯して刑務所に戻ってくるのかというのをモニターするわけですが、通常の場合は再犯率から考えて64%、つまり大体20人ぐらいが犯罪を再び犯して戻ってくるはずだった所
幻覚剤を投与した受刑者は、通常の場合から比べて圧倒的に低い25%、つまり8人だけが刑務所に戻ってきていて、そのうち6人が規則違反で戻ってきただけで、実際に犯罪を犯して戻ってきたのは2人だけだったという結果が出たんです。

モニターする人数が少ないという事は有るんでしょうが、それでも、劇的に犯罪率が低下している様に見えますよね。
後に同じような実験が行われたらしいのですが、その際には大きな成果は出ていないようなので、単純に幻覚剤の使用だけで効果が出るものではなく、扱い方が重要だったのかもしれないですね。
というのも、リアリーの実験方法は独特だったようで、リアリーは受刑者をモルモットの様に扱うのではなく、実験内容を詳しく受刑者に説明した上で幻覚剤を投与し、トリップ中の受刑者に状態を細かくヒアリングするという手法を取っていたそうなんですね。

このヒアリングの目的としては、過去の宗教的体験、つまり、教会に行ったり何らかの儀式を受るといった体験や、自然発生的に感じる神という存在、例えば、何らかの偶然が重なって奇跡を感じるといった体験ですね。
その他には、聖人や聖書を書いた預言者、牧師らが体験している神秘体験と同じ状態かどうかというのを、ヒアリングによって確かめていたということなんでしょうね。
この結果として、幻覚剤でトリップ中の人間の精神というのは、先ほど例で挙げた、聖人であったり預言者であったり、宗教的神秘体験をしたと言っている人達の経験と、全く同じとまでは言えないが、区別がつかないほど似ていることが分かるようになるんです。
まぁ、当然のことですが、こんな話は教会側は受け入れないんですけどね。

つまり、神なんて信じていないような自分本位のサイコパスに、幻覚剤によって神秘体験をさせることで、神を認識させたということなんでしょうね。
リアリーは、この神秘体験の発生率を上げる為に、古代のシャーマニズムの研究なども行って、その方法を取り入れたりもしていたようです。

何故、この様な実験内容になったのかというと、シロシビン計画が立ち上がった1960年頃に、リアリーは、ビート・ジェネレーションの詩人、アレン・ギンスバーグを家に招き入れて、シロシビンを体験してもらった上で対談を行っているんですね。
幻覚剤を体験したアレン・ギンズバーグの感想としては、この体験は万人がすべきだと主張したそうなんですね。きっと、アレン・ギンズバーグにとっても、最初のトリップというのは今までの常識を書き換えるほどの体験だったんでしょう。
ビート世代というのは、人々を統制する為に、知らず知らずのうちに圧力をかけてくるシステムに対して異論を唱えた人達ですが、幻覚剤によるトリップによって、皆が当然のように思い込んでいた現実という殻を打ち破る事ができるようになる。
つまり、仏教で言うところの悟りの状態を、体験を通して知ることが出来るという事なんでしょうかね。この様な、形而上学的な存在をリアルに認識するという体験を皆がすべきだと主張したんですね。

この主張に同意したリアリーは、先ずはビート運動で活躍した人達に、シロシビンを配って回ったんです。
この活動の延長線上に、先程の実験があったんでしょうね。 幻覚剤による神秘体験が、人間の今までの価値観その物を変えて、ものの見方その物を変化させてしまう。
そのインパクトは、再犯率の高い犯罪者ですら、その行動を変えてしまうほどに凄まじいものだという事を、証明したかったんでしょう。

この様な感じで、リアリーはなりふり構わずシロシビンをバラ撒きまくったわけですが、その大量のシロシビンの供給元となったのが、アルバート・ホフマンという人物ですね。
このアルバート・ホフマンという人物ですが、サンドス研究所の研究員で、シロシビンの発見だけでなく、1943年に麦角菌(バッカクキン)の研究を行った際に、その幻覚成分を抽出して、LSDを開発したことでも有名です。
リアリーは、この人物から大量にシロシビンを譲って貰って、求めてくるものには気前よくシロシビンを提供し、トリップの研究を行っていたそうです。

この様な、幻覚剤の大量のバラマキや補給が、何故、出来たのかというと、前のLSDの回でも言いましたが、政府や軍は幻覚剤の政治利用や軍事利用を考えていて、独自に研究をするだけでなく、一部の大学や研究機関に研究を委託していたりもしたんですね。
その大学の一つがハーバードだったので、多少の事には目をつぶってもらえたし、国からのアシストなども得られていたようですね。
ただ、このリアリーの行動は目立ちすぎていた為、CIAからも睨まれて監視対象になっていましたし、研究内容も思想がかっているからか、大学からも煙たがられていたそうです。

また、リアリーの幻覚剤による意識改革に対しては、仲間内からも異論が出たりもしていたようです。
異論を唱えたのは、ビート・ジェネレーションの巨匠として有名な、ウィリアム・バロウズという人物で、この人物自体はドラッグの否定派ではなく、自身も一時期ジャンキーだったようで、リアリーの主張に一定の理解は示していたようなんですが、
バロウズはあくまでも、ドラッグは意識改革の導入に過ぎず、それに頼り切ってはいけないと主張していたようです。意識拡張自体は重要だと捉えていたようなんですが、最終的には自力でその境地に到達すべきだというスタンスだったみたいですね。

何故この様な態度を取っていたかなんですが、先程も言いましたが、バロウズは元々が薬物中毒者だったんですが、1953年に考え方を改めて、15年間に渡るジャンキー生活を止めていたそうなんですね。
この期間中にリアリーと知り合ってやり取りしてるんで、正直、また薬物漬けの生活に戻るのが嫌だったんでしょうね。
例えるなら、タバコを15年間吸っていた人間が禁煙を始めた際に、周りの人間がそれに協力せずに、むしろ事ある毎にタバコを勧めてくるようなもんですからね。15年間吸っているんだから、タバコの良さとか今更説明されなくても分かっているけれども、それに頼りっきりでは駄目ってことなんでしょうね。
ただ、このバロウズですが、ビート・ジェネレーションの巨匠だったせいか、ファンが結構いて、その人達が会いに来る時に皆が麻薬を持参してくるんで、その誘惑に負けてなのか、79年にはヘロイン中毒になってたりするんですけれどもね。

話を戻すと、バロウズは53年~79年の間はドラッグを自粛していたので、ドラッグを使わないで変性意識状態に入るために、感覚遮断装置、これは今でいうと、アイソレーションタンクになるんでしょうけれども、この装置にも興味をもっていたそうです。
アイソレーションタンクは、日本でも体験できる施設なんかが有るみたいですし、興味の有る方は試してみてはいかがでしょうか。
どんなものかというのを簡単に言うと、全ての感覚を遮断するような装置です。タンクの中に水が入っていて、その水は、冷たくも熱くもない丁度良い温度で、そこには塩が適量入っているので、体が浮くようになっている。
この時点で、温度と重力が遮断されるわけですが、それに加えて、光と音が遮断されます。 中に入ると全ての刺激から開放される通常とは違った環境になり、そこで一定時間過ごす事で、変性意識状態に入りやすくなるようです。

この様な感じで、大学側の目線、国側の目線、同じ思想家からの目線で、賛否両論が巻き起こる中、リアリーはめげること無く、幻覚剤の研究に精を出すことになります。
そんな中で、マイケル・ホリングズヘッドという人物が登場します。
この人物もリアリーと同じような研究者なんですが、ホリングズヘッドが出会った幻覚剤は、シロシビンではなくLSDだったんですね。

当時、LSDの研究がまだ初期段階だったからなんでしょうか、ホリングズヘッドは適量が分からなかったのか、最初に通常の100倍の量を摂取ししまいます。そして、ぶっ飛んだホリングズヘッドは、簡単に言うと、悟りを開いてしまいます。
他人と自分とを同一視してしまい、宇宙と自分が溶け合った感覚を体験してしまい、現実という夢から覚めてた体験をリアルに認識してしまった結果、現実を現実だと思えない現実感の喪失状態になって思い悩みます。
この事を、知り合いのハクスリーに相談した所、丁度、そのことについて研究している人間が居るよと、リアリーを紹介します。これが、1962年の春だそうです。

ホリングズヘッドは、リアリーとの対面の際にはLSDを持参し、リアリーに試して欲しいと訴えたようですが、当初リアリーは、政府や軍が研究に絡むLSDに対して良い印象を持っていなかったようで、すぐには手を出さなかったようです。
ただ、事ある毎にホリングズヘッドがLSDを薦めてくるので、ついに折れて、LSD体験をした際に、これまで以上の神秘的体験をしてしまったようです。
これ以降、リアリーの興味と研究対象はLSDへと移っていくんですが、これによって、今まで以上の逆風にさらされることになります。

というのも、LSDはMKウルトラ作戦の研究対象で、CIAからは精神病を誘発させる薬物として認識されていましたし、ハーバードには既にCIAを抱えの研究員が予算を貰って研究していたからなんですね。
CIAにとっては、研究は進んで欲しいし研究の成果も欲しいけれども、あくまで自分達の目の届く範囲内で研究はやってもらいたいと思っていたんでしょう。
勝手にやられても困るという訳ですね。 それに、CIAから援助を受けてLSD研究を行っている研究員からすれば、単純にライバルが増えることになるので、面白くもなかったんでしょう。

また、リアリーは先程も行ったように、トリップを求めるものには誰にでも分け与える人物だった為、それが元で事件などが起こった際には大学の責任になるということで、大学側も乗り気ではなかったようですね。
まぁ、リアリーは、幻覚剤による洗脳や軍事利用には興味がなく、意識拡張からの神秘体験や、それによる人格の変化などに興味を持っていて、その研究を行う為に大学を利用していたフシが有るので、大学側も煙たがっていたんでしょうね。
丁度その頃、闇市でLSDを含ませた角砂糖が販売されるようになり、今までの行動から、当然のようにリアリーに疑いの目が向けられて、大学に居づらくなったのか、1963年にリアリーはハーバードを辞める事になります。

その後、リアリーは、東海岸でLSDに関して独自の研究をする事になります。ただ独自の研究となると、問題になってくるのが研究費用ですよね。
大学から独立することで、自分の好きなように研究は出来るようにはなるわけですけれども、当然のように給料は無くなりますし、LSDの仕入れ費用なども自分で支払わなければならなくなりますよね。
リアリーは、何の準備もせずに大学を辞めたわけではなく、そのあたりの準備も抜かりがなかったようです。

具体的には、IFIF、日本語で言うと「精神的自由のための国際財団」というのを、大学の研究とは別で、東洋思想の研究家のアラン・ワッツ達と共に立ち上げていていたんですね。
活動内容としては、LSD研究を行って、その成果を『サイケデリック・レビュー』という冊子にまとめるんですが、これを手に入れる事が出来るのは、IFIFの会員だけということにして、会費を取るようにしたんです。
その他には、LSDの使用で神秘体験がしやすいように、ガイドを付けてLSDのセッションを行う為の施設を作ったりとかですね。
この試みは順調に進んでいたようで、会員もみるみる増えていったそうなんですが、CIAからの横槍などが入って、行き詰まってしまいます。

ただ、この活動の中で、資産家のビリー・ヒッチコックと出会った事で、この人物がパトロンになってくれることになるんですね。
これでリアリーはめでたく、資金を気にせず研究に没頭することが出来るようになるのですが、此処から先は、また次回にということにしようと思います。

オリンピックでeスポーツ!? 最近格ゲーを再開して感じたこと

ここ最近になって、eスポーツという名称が前面に出てきて、話題となっていますね。
2020年の東京オリンピックには、eスポーツも組み入れられるのか!なんて議論までされ、普段からゲームをしている私は、ゲームに対する偏見が徐々になくなっている感じが心地よかったりします。

さて、そんなeスポーツですが、最近はプロライセンスなんてのも生み出され、業界全体が盛り上げようと必死になっている感をヒシヒシと感じるのですが…
その熱意とは裏腹に、実際に一般に浸透しているのかというと、そうでもなかったりします。
私の周りを見渡しても、日本でプロ化している種目である6種目のゲームをやっている人間は殆ど観ない。

まだ、モンストやパズドラといったゲームをやっている人間は偶に見かけますが、その殆どが、サンクコストを考えて惰性でやってる感じで、数年前の盛り上がりがあるのかというと、そうでも無い。
据え置き機の種目である4種目に至っては、周りでやってないどころか、存在も知らない人もかなり見かける。
少し前、知り合いの働くレストランにいった際にゲームの話になったので、ストリートファイターの話をしたら、『あれって、まだ続編出てたんですね!』なんて言われる始末ですよ。
そんな状態なので、Call of Duty WWⅡなんていっても、『FPSってなんですか?』とか言われてしまう。

業界はこんなに頑張ってるのに、何故、こんな状態なのか。
今回は、久しぶりに私自身が格闘ゲームを再びプレイし始めたという経験を踏まえた上で、考えてみようと思います。

その前に、私のゲーム事情を書いておきますと、小学校から20代半ばぐらいまでは、ゲームが趣味というような子供でした。
ですが、社会に出てからは徐々にゲームから離れていき、次にゲームを始めたのが37歳ぐらいから?つまり、2015年ぐらいからだと思います。
子供の頃は、小遣いの主な使いみちはゲーセンで、ストリートファイターシリーズやSNKの格ゲーを小遣いの範囲でプレイしていました。
ただ、格闘ゲームも中学時代がピークでその後は、ビートマニアDDRといった音ゲーに流れていき、高校卒業と共にゲームに費やす時間も徐々に減っていきました。

そんな私ですが、スマホを手にしたのを機にPodcastにハマりだし、そこでゲーム系の素人ラジオを聞くうちにゲーム熱が再燃し、再びゲームをやり始めたという次第です。

PS3とPS4を大人買いしてゲームに没頭。
そして、eスポーツのプロライセンス発行団体がプロ競技に採用したストリートファイターVが発売された際には、発売日に購入し、プレイしました。

初めてストVに触れた感想としては、グラフィックも綺麗で、音楽も演出も凄い!
これ程のゲームを、1プレイ毎に50円入れずに出来るというのに感動しました。

しかし、そんな感動も一瞬だけ。少し経って冷静になると、徐々にネガティブな感情が沸き起こってきます。
その理由はというと、小さな理由を上げていくと沢山ありますが、要約すると、難しいという事。

どんなスポーツでも初めて行うのは難しいものですが、その中でも、最近の格闘ゲームの難しさは断トツだと感じました。
その一番の理由というのが、ゲームスピードの上昇でしょう。

私が子供の頃にプレイしていたストリートファイター2や、初期のSNKの格闘ゲームは、総じてゲームスピードはゆっくりでした。
これは、そもそも格闘ゲームなんてものが殆どプレイされていなかった状態で、多くの人が初めてジャンルに触れるという状態だった為、スローテンポでもゲームとして成り立っていたというのが大きいでしょう。
しかし、一つのジャンルとして定着してから30年近く経っている現在は、そんなスローペースではゲームとして成り立たない。現状、マイナージャンルである格闘ゲームで生き残っている人を対象にしている最近のゲームは、とにかくスピードが早く、初心者からすれば何が起こっているのかどうかもわからない。

これを読まれている方の中には、『いやいや、慣れろよ!練習しろよ!勉強しろよ!w』と叩く方もいらっしゃるでしょう。
確かにその通りですし、昔と同じゲームスピードでやった場合は、20年近くゲームをやり続けている人は全ての技に見てから対応できる為に、競技としてつまらないという言い分も分かります。

ただ、この環境の場合、ストV から参入してきた人間の多くは、かなり初期で挫折してしまうのではないでしょうか。
先ず、一番最初につまづくのはコマンド。 私が初めてスト2に触れた時もそうでしたが、昇竜拳以前に波動拳が出ない… 必殺技が出ない格闘ゲームなんて、正直、何の魅力もないので、初心者は取り敢えず安定して必殺技が出るように練習しなければなりません。
最近の格闘ゲームは、初心者にも受け入れられるように、コマンド受付なども甘く作られて入るとは言いますが、全く触れたことがない人間にとっては、それでも難しく、数時間以上の練習を強いられます。

必殺技が安定して出るようになると、次は通常技からのキャンセルです。 通常技が当たった瞬間にコマンドを成立させる事で、通常技の後半部分のモーションをカットして必殺技に繋げられる基本テクニックなのですが、これまた難易度がかなり高い。
昔のようにゲームのテンポがスローであれば、ある程度コマンドを確かめながら入れても何とかなりましたが、今のようにテンポが早い状態だと、とにかく早く正確にコマンドを入れるように集中しないとコンボが成立しない。
これも、技の発生が遅く、攻撃が当たった際にヒットストップと呼ばれるダメージが入る瞬間に画面が一瞬止まる演出が大きい『大』攻撃の場合は、まだ、それなりに練習したらなんとかなるでしょうが…
これが、出始めが速い上にヒットストップが殆ど無い『小』攻撃をキャンセルして出せなんて言われたら、素人からすればその時点で無理ゲーになったりします。

更にいえば、大攻撃から入るコンボなんていうのは、当てるチャンスというものが殆どありません。今の格闘ゲームの主流は、敵の攻撃が当たりそうで当たらない中距離を維持し、『小』や『中』といったスキの少ない攻撃を牽制として出していく。そして、牽制がガードされれば反撃を受けないように距離を調整し、当たった時だけキャンセルかけてコンボを発動させるというのが基本戦術となってたりします。
牽制のヒット確認した上でコンボに繋げるなんて、一体、何百時間練習したらモノになるんだ?ってレベルの技術ですが、格闘ゲームでは、このレベルの技術を付けて初めて、スタートラインに立てます。
では、それ以前のレベルの場合はどうなるのかというと、対戦をした際にはサンドバックにされ続けます。

そして、サンドバック状態から抜け出す為にネットで初心者講座なんかをみてみると、初心者はそこでまた、壁にぶち当たります。何故なら、書いてある文章の意味がわからないから。
例えばネットの基本講座には、『この攻撃はガードさせると-5fだけれども、当てると+3f。このキャラの屈コパは3fなので、キャンセルで◯◯につながる。コマンドは、623ではなく323の簡易で出る。』なんて書かれてたりしますが… 一体、何の呪文なんですか?

ちなみ解説をすると、fというのはフレームの略で、ストVは60fps(一秒間に60フレーム)なので、3fやら5fというのは、60分の3秒や60bンン5秒の事を指しています。
コマンドの数字は、電卓などのテンキーをレバー入力に置き換えたもので、→=6で↓=2となり、3は斜め右下という事になります。コパは小パンチ攻撃です。

ここで改めて、格闘ゲームの難しさが分かってもらえると思います。
というのも、このゲーム。 攻撃が60分の3秒とか60分ん5秒の攻撃が当たるまでに必殺技のコマンドを入れないと、連続技そのものが出せないということです。
上級者になると、当たるかガードされるかがわからないような3fの攻撃に必殺技のコマンドだけを入れておき、当たったらボタンを押して牽制にキャンセルをかけて必殺技とか出すんです。

安定的に勝利を掴み取るためには、このレベルの技術を身につける必要がある為、ひたすら、コマンド入れとコンボの精度を上げていくというトレーニングを定期的にやらなければならない。
まぁ、言ってしまえば、この行動そのものが、スポーツにおける反復練習と同じとも言えるので、eスポーツなんて言われているわけですが…それにしても、難易度が高すぎませんか?

それに加え、対戦で勝つ為には、相手のことも知る必要が出てくるわけで… 自分がプレイキャラとして使うキャラクター以外に、皆がよく使うキャラクターの事も研究しなければならない。
よく使われるコンボを知り、そのコンボがガードできた際には、どの攻撃を出せば確定で入るのか、ガードして不利になる場合は、どう立ち回ればよいのか等々。
こうして考えると、普通にゲームとして楽しめるようになる為に、いったい何百時間の練習が必要になるの?って感じです。

今、若者の格闘ゲーム離れなんて言われていますが、スマホの画面をポチポチ押すだけのポチポチゲーが全盛期の今、60分の1秒のスキを狙って牽制し合って読み合い、僅かなスキに攻撃を当て、そこから最大のリターンを得るために超難度コンボを決めるなんてゲームに、今から参入しろという方が無茶な気もします。
だからといって、ストVを初心者でもお手軽にプレイできるような難易度に設定し直せなんて暴論は言いませんが、初心者でも楽しめるレベルの入門ゲームを作って全面に押し出すって事も必要だと思うんですよね。

これに対し、『格闘ゲームは観戦に重心を置いてるから大丈夫。』という意見も聞いたりします。確かに、youtubeでは自分でプレイするよりも実況見てた方が良い勢っていうのも結構いますし、その理屈も分からなくはありません。
ですが、オリンピック種目を目指すのであれば、凄いプレイが誰でも一目で判断出来るようなゲーム作りであったり、実況というものが必要になってくると思います。

この実況に対しては、現状でも解りやすく解説してくれる解説者が既に存在しているという話も聞いたりしますが、私からしてみれば、格闘ゲーム界で分かりやすいと言われている実況のレベルが、世間一般とズレているような気もします。
つまり、現状で分かりやすいと言われている実況は、格ゲープレイヤーにとって分かりやすい実況であって、一般人にとっては呪文にしか聞こえないということ。
ここで、私が前提としている一般人の定義がわからないという方の為に、例を上げて一般人がどのレベルなのかというのを説明したいと思います。

私は今年のはじめに、友達が働いている美容院に髪を切りに行ったのですが、その際、正月に放送していたeスポーツ特集の話をされました。
ちなみに言っておくと、彼女はゲームというものに余り触れておらず、据え置き機はスーファミぐらいで止まっている感じです。
私はその番組を観ていなかったのですが、彼女の話によると、eスポーツと言うものを一から説明しつつ、ウメハラ特集的なものをやっていたそうなんですが、そのウメハラさんの凄さを紹介するために、一つの動画が映し出されたそうです。それがこちら。

体力ゲージがゼロの状態で、必殺技をガードした時点で負けが確定する試合で、春麗の必殺技を全てブロッキングで防いだ上で、逆にコンボを決めて勝利するという逆転劇で伝説となっている試合ですが、この動画を見た彼女の反応は、どのようなものだったと思いますか?
『あの逆転て、凄いことなの?』という単純なものでしょうか。『ブロッキングって難しいの?』という技術的なことでしょうか?

答えは全く違ったもので、彼女の感想は、『結局、ウメハラって人は、春麗とケンのどっちを操作してたん?』といったもの。
冷静に考えれば、当然といえば当然の感想ですよね。 格闘ゲームをやってない人間にとって、必殺技ガードでライフが削れるとか、ガードとブロッキングの違い、ブロッキングそのものが難しいなんて事は知らないわけですから、先程の動画のどの部分がスーパープレイなのかというのが、そもそも理解できない。
じゃぁ、彼女だけが特別レベルが低いのかというと、そんな事も無く、むしろ普通だと思うんです。 格闘ゲームをプレイしてない人類なんて山程いますし、むしろプレイしている人類のほうが絶滅危惧種の状態です。

こんな現状で、オリンピック競技なんかになったとしても、試合内容その物を理解できない人が大半ですし、結果として、裾野も広がらないと思うんですよね。
『じゃぁ、実況者を育てれば…』という意見もあるでしょうが、先程も書きましたが、最近の格闘ゲームのスピードは早すぎるので、そもそも実況が追いつかないと思われます。
一つの攻防の解説を早口で5秒かけて行ったとしても、その5秒の間に2個ぐらい心理戦が挟まったりしてしまいます。この状態で分かりやすい解説を的確にしろと言う方が、無理難題なのかもしれません。

こうしてみていくと、格ゲーと呼ばれるものがスマブラに食われるのもよく分かる気がします。

必殺技は方向キーと必殺技ボタンだし、敵をリングアウトに持ち込むというルールを説明されただけで、簡単にゲームを楽しむことが出来るし、ゲームスピード的にも実況が楽な上に理解しやすい…
ゲームに限らず、あらゆるスポーツやコンテンツが裾野を広げる為に必死に頑張ってる現状ですが、格ゲーだけが、マニア以外お断り!という雰囲気を出し、自ら絶滅に拍車をかけているように、私には見えてしまいます。

個人的には、格闘ゲームというのは私の人生の一時期を占めていたジャンルなので、なくなって欲しくはありませんが、現状の路線を突き進む限り、近い将来、無くなってしまうかもしれませんね。

【MHW】チャージアックス ソロでハンターランク(HR)開放に挑戦! (1)

皆さんこんにちは。 良いハンターライフをお過ごしでしょうか。
前回までは、どんなクエストを進めていけばよいのかと言った事を中心に書いていきました。

      

準備編
kimniy8.hatenablog.com

簡単に振り返ると、今回のMHWは、ストーリーを進めるだけであれば、任務クエストだけを薦めていけば良いのですが、その任務クエストを進めていく上で大切になって来るのが、食材クエスト。
モンハンでは、食事をしてから狩りに行くというのが流れとしてありますが、その食事に使われる食材の多くは、探索で手に入れたりクエストを通じて取りに行かなければなりません。
結構面倒くさいのですが、これをこなす事で、食材が揃う事で食事で得られるスキルが増えますし、狩りが有利になるんですよね。

その他に優先すべきは、古代樹の成長と肥料クエ。このクエストをこなす事で、1クエスト消化する度に指定の3個のアイテムを6~8個増やすことが可能です。
大タル爆弾Gに使用する鬼ニトロダケや秘薬に必要なマンドラゴラ等も、簡単に増やすことができるようになる為、古代樹間施設の拡張は必須ともいえますね。
前回までは、この2つのクエストをクリアーしつつ任務クエストを進めて行くと、非常に効率が良いというのを紹介しました。

古代樹で生産するアイテムとしては、ハチミツは当然として、マンドラゴラと光虫は増やしておいたほうが良いです。
マンドラゴラを使用する秘薬は、短時間で摂取することが可能な上、全体力が上限まで回復します。
初期体力が100の場合は150まで回復しますし、初期が150なら200まで回復。倒れて体力が初期化された際に使用すれば、いつでも上限まで上げることが出来るので、大量に用意しておきたいですね。

光虫は、スリンガー閃光弾の材料になる為、狩りには必須の素材となります。古代樹の枠に余裕があるなら、取り敢えず光虫を増やしておきましょう。
閃光弾は、飛んでいる敵に向かって撃つ事で、地面に叩き落とした上にダウンを奪える優れもの。
チャージアックスは、如何にして超高出力属性解放斬りを当てていくのかという武器ですが、閃光弾で叩き落とした敵には、確実に急所に超高出力属性解放斬りをヒットさせることが出来る為、必須といって良いです。

スリンガー閃光弾は3つしか持ち込むことが出来ませんが、光虫は10個まで持ち込むことが可能で、この素材だけで調合が可能。特定アイテムの調合はショートカットキーに入れることが可能な為、戦闘中でも簡単に調合可能。
これを利用すると、合計で13の閃光弾を持ち込むことが可能。 これ程の閃光弾を持ち込めば、例え古龍のクシャオダオラでさえも使い切る前に倒せるので、飛ぶ相手に対しては調合分も合わせて持ち込んでいきましょう。
スリンガー閃光弾を13個満ちこむことによって、飛竜系のリオレイアリオレウス・レイギエナ・クシャオダオラなどは、良い的になります。特に、頻繁に飛び続けるリオレウスとレイギエナは、一旦飛び立つと閃光弾が無い状態だと攻撃その物を当てることが出来ないため、当てることが出来ない為、必須と言っても良いでしょう。

このブログでは、チャージアックスでの攻略を前提として書いていますが、正直、スリンガーは閃光弾以外はほぼ使いません。
作るのが面倒な音爆弾も基本的には使う機会が無いので、ショートカットキーには閃光弾と、その調合をセットしておく事をお勧めします。
ここまで、狩りとは直接関係のないことばかりを書いてきましたが、ゲームを効率よく進めるためには結構重要な事なので、覚えておいて損はないでしょう。

という事で、早速、攻略を行っていくわけですが、文字で読んでも分かりにくいという方の為に、動画を作ってみましたので、こちらも合わせて見ていただくと幸いです。


今回から初めてMH:Wに触れる人もいらっしゃるかもしれませんので、近接で狩りを行う上での一番基本的なことを書くと、基本的にはモンスターの真正面には絶対に立たないようにしましょう。
では、真後ろに立てば良いのかというと、実は真後ろも危険ゾーンだったりします。
というのも、このゲームに登場するモンスターの多くは尻尾が生えているのですが、その尻尾で攻撃してくる敵というのがかなり多いんですよね。
尻尾攻撃は出るのも速い上に射程も長いので、尻尾を切り落とすなどの明確な目的でもない限り、基本的には避けたほうが良いでしょう。

では、何処に立てば良いのかというと、基本的には敵の横が良いでしょう。それも、後ろ足に近い辺りは、基本的には安置といっても良いぐらいの位置なので、基本的にはこの場所をキープするように心がけましょう。
下位のモンスターは、そんなに頻繁に動かない為、立ち位置の練習にもってこいですので、ここで位置取りを練習しておきましょう。

基本的には、納刀時はダッシュ、武器出し時は回避行動などで近づき、間合いに入りそうになったところで突進斬りを出して間合いに入ります。
突進斬りは、脳当時は方向レバーを入れながら△ボタン。武器出し時は△◯ボタン同時押しで出すことが出来ます。
そこから△を連打してもコンボが繋がるのですが、このコンボでは剣撃エネルギーが全然貯まらないので、突進斬りを出した直後に◯ボタンを押しっぱなしにして、溜め二段斬りに移行しましょう。

溜め二段斬りは、エネルギーが一番溜まりやすい攻撃で、2発当てるだけで赤まで貯めることが可能です。剣での攻撃の際は、この二段斬りを狙う事が基本となってきます。
剣撃エネルギーを最速で貯めるコンボは、二段斬り→盾突き→二段斬りで、コマンドとしては◯ボタン一定時間押しっぱなし→丸ボタン離す→△◯同時押し→◯ボタン押しっぱなし…という感じ。
この二段斬りの溜め時間は、スキル『集中』で最大20%まで時間短縮することが可能です。

剣撃エネルギーが溜まって赤くなると、それ以上は剣攻撃が出来なくなりますので、エネルギーを盾に移しましょう。操作は、ガード中(R2)に◯ボタン。
チャージモーション中に◯と△同時押しで盾突きが出て、盾突き中に◯と△同時押しで高出力属性解放斬りがさせるので、その出始めのモーションをR2を押してキャンセルすると、盾を属性強化状態にすることが出来ます。
属性強化ジョウタにすると、ガード性能と斧でのダメージが上昇するので、積極的に行いましょう。 属性強化状態は、ビンの消費本数×30秒です。

盾にエネルギーを移した後は、再び剣で切ることが出来るので、剣攻撃で再び攻撃をしていき、盾にエネルギーを移すという作業を行います。
このチャージの際、盾が属性強化の場合は、チャージ中に△ボタンを長押で、剣の方を属性強化にする事が出来ます。剣を属性強化すると、剣に心眼効果(弾かれ無効)が付く上にダメージが上がるので、チャンスを伺いながら強化しましょう。

ここまでの立ち回りを観て、ちょっと不便な片手剣という印象をお持ちの方も多いかもしれませんが、属性強化を終え、ビンを貯めるという下準備が終わってからが、チャージアックスの本領発揮です。
というのも、この状態でのみ放つことが出来る攻撃手段である、超高出力属性解放斬りというのが、本作でぶっ壊れ性能と呼ばれている攻撃手段だからです。

特に火力を意識しない装備で使ったとしても、古龍相手に900近くのダメージが出ますし、火力増々で、超高出力のダメージを底上げできる砲術スキルを付けた時の火力は、正に、ぶっ壊れ性能。
更に凄いのが、この攻撃。運用によっては2連発で出せることが出来るという事。その方法は簡単で、ビンをタメた状態で剣にもエネルギーを貯めておくという方法。
超高出力を撃ってビンが空になったら、即座にチャージする事で連続して打てます。

とは言っても、出るまでのモーションが結構長い為、当てるのが結構大変だったりはしますが。
まぁ、突き詰めれば、チャージアックスという武器は、如何にして超高出力属性解放斬りを当てていくのかという武器なので、その辺りの練習は必要なんですけれどもね。

操作に慣れてくれば、モンスターの動きの方に注目しやすくなってきますし、パターンも分かってきますので、超高出力を出すタイミングも分かってきます。
それまでは、頑張って、練習してみてください。
それでは、良いハンターライフを!

【本の紹介】銃・病原菌・鉄 下巻

今回の投稿は、結構前に書いた『銃・病原菌・鉄』の下巻について書いていきます。
上巻の投稿をまだ読まれていない方は、こちらからお読みください。
kimniy8.hatenablog.com

      

一応、上巻についての投稿を簡単に振り返ってみましょう。
現状の地球を見渡すと、様々な地域に様々な人種の方が住んでいて、それぞれの文化を形成しています。そして、それらの文化には、『差』というものが存在します。
文化の差というのは、何を基準にして『進んでいる』とか『遅れている』というのを定義するのかという話もありますが、それは取り敢えず置いておいて、地域によって、『進んでいる』とか『遅れている』なんて事もあったりします。

では、遅れているとされている地域の人達は、何故、遅れているのでしょうか。
様々な発明を行い、先進的な技術を持ち、文化が進んでいるとされている地域の人達は何故、進んでいるのでしょうか。
白人至上主義が考えるように、白人が遺伝的に優れていて、有色人種が遺伝子的に劣っているから、差が生まれているのでしょうか。

この本を書いた筆者は、自分の研究をしている最中に、パプアニューギニアに住むヤリという人物と会い、彼から『何故、私たちは多くのものを持っていないんだろう?』という問いを投げかけれられます。
その単純でありながら難解な問に応える為、歴史を紐解いていくというのが、この『銃・病原菌・鉄』という本です。

この解説を読んで、単純に歴史書と思われる方も少なくないとは思われますが、この本は、どちらかと言うと科学の本に近いです。
歴史を振り返るとは言っても、数千年前に誕生した有名な四大文明が誕生する前からの話で、その四大文明が何故、誕生したのかというのを、地形や生物学の知識を元に読み解いていきます。

例えば、四大文明は大きな河のそばで生まれたとされていますが、何故、大きな川があれば文明は生まれるのでしょうか。
そして、何故、4つの地域だけだったのでしょうか。
答えを言ってしまうと、その4つの地域の人々が優秀だったとかそういうことではなく、単純に、地形的に恵まれていたからです。

人類で一番最初に農耕を始めたのは、メソポタミアに有る肥沃三日月地帯と呼ばれる場所でしたが、この土地は、植物が育ちやすい気候である上に、人間が食べられる種類の植物が他の地域に比べて断トツで多く生息していました。
また地形も、なだらかに標高が高くなっていくという地形。 標高というのは、100メートル上昇する度に1度気温が変わると言われていますが、なだらかに標高が高くなっていくという事は、同じタネを撒いたとしても、収穫時期がずらせるという事。
簡単に説明すると、15度で発芽する植物の種を撒いた場合、発芽するタイミングが標高が高くなるに連れて遅くなるということ。当然、収穫時期もズレる為、1つの植物の種を撒いたとしても、収穫期が長くなります。

つまり、古代メソポタミアの人達が努力して植物学を発展させて工夫したからではなく、土地として恵まれていたというだけだったという事です。
その一方で、不利な土地の方は人間が食す事が出来る種類自体が非常に少なく、その植物も、量産が難しかったりする。この有利不利は、科学や流通が全く発達していなかった古代においては決定的な差となる為、農耕が定着するかどうか、またその時期に大きな影響を与える。

これは、家畜においても同じです。馬のように背に乗って移動できる家畜や、牛の様に農耕に利用できる家畜。豚のように食べられる家畜というのは、人間の近くにいたから家畜化されたのではなく、家畜するのに都合の良い正確をしているから家畜化されています。
例えば、馬と同じような姿形をしているシマウマは、大人になるに連れて凶暴化するという性格である為、馬のように移動手段として利用することは難しかったりするようです。

家畜化されている動物は、性格がおとなしかったり、食べる作物が人間とバッティングしないなど、人間にとって都合の良い性質を備えているものが人によって選ばれて家畜化されているわけですが…
その家畜も、先程の農作物と同じように生息域が限定されている為、全世界で同じ動物がいるというわけではない。 となると、当然ですが、家畜化し易い動物が元からたくさん分布している地域の方が有利ということになります。
人間が食べることが出来る作物が沢山有る地域で、尚且つ、人間にとって家畜化しやすい動物が沢山いる地域は、それだけ人間が生息しやすい地域といえる為、文明化しやすいというわけです。

今回紹介する下巻は、この続きからとなります。
人間にとって栄養価が高く収穫しやすい食物がたくさん採れ、家畜化しやすい動物がたくさん生息する地域というのは、生活基盤が安定してきます。
また、農業や酪農の技術が徐々に進歩していけば、一人あたりの生産力も向上していきます。そうなると、大量の人間を一つの集落で養うことが可能となります。

こうなると、文明が誕生する土台が生まれます。

では何故、人口が増えると文明が誕生するのでしょうか。それは、発明の性質に有ります。
発明と聞くと、多くの人間が、頭のいい人たちが頭を捻った上で、世紀の大発明をしてきたと思っておられると思います。
しかし実際には、そんな事はなかったんです。

今現在の研究や発明をみてもわかりますが、大半の発明は偶然の産物でしかありません。
ピンポイントで何かの道具や薬を発明しようとした結果、その研究過程で予想外のものが出来てしまい、そちらの方でお金を稼げたなんてよくある話でしょう。
その他にも、何らかの用途を目的とした道具を商品として市場を通して売り出したら、客が全く違った使用方法を思いついて、それをキッカケとして商品が大ヒットするなんて話もあります。
食品を保存するための道具として売り出したジップロックが、スマホタブレット端末を風呂場に持っていく為に利用されて売れたなんて話もありますよね。

発明というものは、ある日、偶然 生まれるものなのですが、その生まれた発明の利用方法を、発明者の多くは見いだせません。
印刷という技術が生まれたのは1400年前のようですが、それよりも数百年前に、同じような技術を使ったものが生み出され、発掘されていますが、その技術は世界に広まっていません。
車輪という概念が世界に広がる前に、とある部族の玩具に、車輪の技術が使われていたのにもかかわらず、その部族の中では、それを運搬道具としては利用しませんでした。

発明というのは、その道具の利用方法まで発明者が明確に分かっているものではありません。大抵の発明品の利用価値は、発明者が分かってなかったりします。
では、誰が発明品の利用価値を見出すのかというと、全く別の観点からその道具を観ている他人だったりします。

つまり文明が発達する重要な要素として存在している発明は、その価値を見出す他人がいないと無意味なものが多いという事。
という事は、文明が発達するためには、発明品が多くの目に晒されなくてはならない事になります。 人の目は多ければ多い程よく、10人の集落よりも100人・1000人・1億人がその発明品を見たほうがその用途を見出しやすくなります。

これで、文明が何故生まれたのかというのがつながりましたね。 つまり、文明が生まれた発達するために最も必要なのは人口ということになります。
人口が多ければ多いほど、アイデアや発明は多くの人の目を通して価値を見出されます。 そして、一つの発明品が生まれれば、それをキッカケとして、また新たな商品が生み出される。
この連鎖によって、文明は生まれて発達していくということ。

農業や酪農が安定し、安定した食料生産が可能となれば、より多くの人口を養うことができるようになる。そして、人口が増えれば増えるほど、些細な発見でも大きな意味を見出され、文明レベルがドンドン発展していくという事。
そして、食料生産が安定し、人口が増え、文明レベルが上昇すると、より多くの人口を養う為に、そして食料を確保する為に、土地が必要となります。
こうして起こるのが戦争なのですが、その戦争の勝敗を決するのが、鉄や病原菌だったりします。

ここで病原菌というのが出てきたわけですが、この病原菌は、殆どの場合は、文明が進んでいる方に味方をします。
そのメカニズムを簡単に言うと、インフルエンザの流行と同じです。 インフルエンザは、鳥の間で流行した後に豚を媒介として人間に感染します。
つまり、家畜を飼う文化が有る地域では病原菌に頻繁に晒される為、病原菌に対する免疫を勝ち取りますが、文明が低い狩猟民族は、家畜を飼う習慣が無い為に、その様な免疫が一切ない。
その結果として、最悪の場合、武力による衝突がなくとも、接触するだけで絶滅する恐れすら有るという事です。

多くの場合は、武力による衝突が有るわけですが、その際に鉄の武器を有しているかどうかで有利不利が決まり、その接触によって病原菌が狩猟民族に襲いかかる。
実際に部族同士が衝突してしまうと、その差は絶対的なものに感じてしまい、文明の差に目が行きがちですが、もともとの原因を遡ると、土地の高低差であったり食べることが出来る植物が多い、家畜化しやすい動物が多いというだけの利点でしかなかった。
偶然にも、その恵まれた土地に生まれた部族は文明が発達し、不幸にも、恵まれない土地に生まれてしまった人達は、狩猟採取生活をせざるをえなかった。

・・・と、結構ネタバレを含んで、簡単な『あらすじ』を書いてみたわけですが、こうしてみると、特定の地域で文明が進む大きな要因は、人種による優劣というよりも、生まれ落ちた環境が大きなウェイトを占めている。
そして、その地域に生まれるというのは実力ではなく運。 という事は、人種の優劣というのは、そこまで関係がないということなんですよね。。

今回は、駆け足で内容を書きつつ、簡単な感想を書いてみましたが、この『あらすじ』を読んで、イマイチ納得されてない方や、書かれている内容が理解できないという方も少なくないと思います。
まぁ、私の書き方が下手だという事もありますが、そもそもが下巻だけで400P 超えという大作なので、それを一つの記事でまとめること自体に無理があったりもします。
これを読んでもし、本の内容に興味を持たれた方は、購入して読まれる事をお勧めします。 実際のデータなどを踏まえて、一つ一つの事柄について丁寧に説明されているので、より、理解しやすいことでしょう。
おすすめです。

【Podcast #だぶるばいせっぷす 原稿 】第25回【ヒッピー】ティモシー・リアリー(1) ~ビート・ジェネレーション

この投稿は、私が配信している Podcast番組『だぶるばいせっぷす』で使用した原稿です。
放送内容は、私が理解した事を元に行っています。ご了承ください。
https://goo.gl/Bj2Kfh

youtubeでも音声を公開しています。興味の有る方は、チャンネル登録お願い致します。
https://www.youtube.com/channel/UCJQBE0rMdCbC0eT8BVe4GKA

第20回21回では、ヒッピームーブメントが起こる時代背景について、そして、22回、23回では、そのムーブメントに大きな影響を与えた、LSDと、その開発に関わっていた政府や軍について話していきました。
過去の4回は、ヒッピー革命を理解する為に、その前提となる内容を中心に話してきましたが、今回からは、それらの話を踏まえた上で、より詳しく勉強していこうと思います。

本題に入る前に、何故、ヒッピームーブメントについて取り上げる事にしたのかについて、話していきます。
前回までの放送で、ヒッピームーブメントを取り上げた理由として、東洋哲学との関連についても話してきましたが、理由はそれだけではないんです。
その他の理由としては、思想の変化というのが分かりやすいからなんですね。

思想の変化とはどういうことかというと、例えば仏教の場合は、開祖のブッダは、そもそも宗教その物について否定的でしたし、主張していることも、哲学者の懐疑主義的なものでしたよね。
宇宙と個人の根本原理が同一という前提から、更に発展させて、私自身が無である無我という境地に達する。
自分以外のあらゆるものと個人の主観を同一視する事で、他人を自分と同じように考えることが出来る、また同時に、個人を客観視することが出来るようにもなる。
そして、それらのもの全てが無いという事を体験によって理解することで、現実を客観視する事が出来るようになります。

では何故、この様な考え方が重要視されたのかというと、それまでに社会の前提となっていた考え方では、身分制度というのが大前提としてあって、それを肯定するために輪廻転生やカルマと言った考え方があったからです。
これは、どういう考え方なのかというと、下の身分として生まれてきた人間というのは、前世で悪いことをしたから下の身分に生まれた。そして、身分の高い者たちは、前世で善い行いをしたから身分が高い状態で生まれたという考え方です。

この考え方に対して異論を唱えたのが、ブッダですね。
ブッダは、今までの前提となっている考え方を完全否定するわけではなく、根本的な主張である梵我一如、つまり、宇宙と個人の根本原理は同じものだというのは踏襲しつつ、その解釈を変える…というか正確に解釈し直すことで、
輪廻転生やカルマといった、身分制度を肯定する考え方に異論を唱えたんです。それが、輪廻転生なんて存在しないし、生まれながらの身分制度なんて無いという事ですね。
そして、目の前にある世界というのは、当然のように有るわけではなく、自分が認識しているから存在しているように見えるだけと考え、この世界そのものも、混沌とした状態である事を主張しました。

しかしこの考え方も、時代を経る毎に変化していくことになります。
輪廻転生やあの世、極楽や地獄という存在は、いつの間にか存在していることになりますし、その宗教が下で、派閥が生まれたり、派閥が生まれることで争いが起こったりもしています。
中国や日本なんかでは、お坊さんが武装していた時期があったりもしますよね。

これは、仏教に限ったことではなく、どんなものが対象であったとしても、起こっていますよね。
キリスト教なんかでも、訴えているのは隣人愛ですよね。『与えよ、さらば与えられん』というのも、自分の欲を満たすのではなく、施しを与えることによって、人間が一番欲しいと思っている承認欲求が得られます。
また、この行動によって他人が自分に接する態度も変わる為、幸福感も得られます。
そして、そういう行動を皆が取れば、皆が幸せになれるという価値観の提示ですよね。
でも、時が流れれば流れるほど、解釈はドンドンと変わっていき、最終的には、世界中で戦争を起こすようになっていってますよね。

この様な解釈の変化が、何故、起こってしまったのかというのは、今となっては、詳細に知ることは出来ません。
しかし、ヒッピームーブメントというのは、今から50年ほど前の出来事で、比較的情報量も多いんですよね。その上、期間が10年程度という事で、追っていきやすいんです。
という事で、前置きが長くなってきましたが、本題に入っていこうと思います。

まず、このヒッピームーブメントと呼ばれる白人の若者たちが中心となって始まった動きですが、いきなり登場したわけでは無いんです。
社会というのは、基本的には絶えず問題を抱えているもので、その問題を解決する為に、社会に関わる『人』そのものの考え方が変わっていくことで、社会全体に変化をもたらしていくもので。
その変化が継続的に起こり続けることで、社会そのも変わっていきます。

ヒッピー革命も、その流れの延長線上で起こっていて、その前段階となる社会の環境が存在していました。
それが、ビート・ジェネレーションと呼ばれる人達が関わっていた、ビート運動と言うものです。
ビート運動というのは、主に思想的な運動だったようで、簡単に調べてみたところ、詩人たちの活躍が目立ちます。
この運動の中でメインとなっていた音楽はジャズで、集会を開いては、自作の詩を朗読するポエトリー・リーディングなどを行っていたようです。

年代としては、1955年~1964年で、中心となっていた作家は、アレン・ギンズバーグウィリアム・バロウズなどですね。
余談になりますが、サブカルの世界では、ブレードランナーという作品が結構有名で、観ていないとバカにされるレベルなんだそうですが、この作品の原作は、フィリップ・K・ディックが書いた『アンドロイドは電気羊の夢を見るか』なんですが、何故、『ブレードランナー』というタイトルになったのかというと、先ほど名前を出したウィリアム・バロウズが書いた小説のタイトルから取ったそうです。

本題に戻ると、ビート・ジェネレーション、ビートニクと呼ばれた人達は、何に不満を持っていたのかというと、アメリカという社会の方向性なんでしょうね。
人間の社会というものは、基本的には大きくなればなる程、シゴトの分化と言うものが起こってきます。
例えば、少数民族の場合は、生活を成立させるために必要な仕事の大半を、自分達で行わなければならないですよね。

でも、人が集まって人数がドンドン増えていくと、生活に必要な全ての仕事を一人で行う必要はなくなって、専門職が集まって、一つの社会を形成し始めます。
例えば、農業を行う人、酪農を行う人、家具を作る人、政治を行う人、治安を守る人、人を裁く人といった具合に、生活に必要な仕事が分かれていって、それぞれの専門職となっていきます。
そして、この流れは、産業革命以降の製品製造の自動化や、それに伴う資本主義、そして通信機器の発達によって、更に加速することになります。

この社会の方向性と行き着く先というは、非人間的なものになってしまいますよね。
時代はもう少し古くなってしまうんですが、チャップリンのモダン・タイムスという映画の内容が、この思想を理解する近道だと思います。
機械や情報技術が発達することで、人間が生活をする為に機械を使うのではなく、人間が経済というシステムを回す為に、機械に使われる事になります。

機械に使われる程に進んだ社会では、仕事の分化が更に進む事となり、そこまで技術が進んだ社会では、人間は自分が任された狭い範囲の事柄しか理解することも出来ないし、知る必要もなくなります。
そして人はドンドンと無知になっていき、自分で情報を調べることもなくなっていきます。
こうなると、社会で起こっていることを知る方法は、テレビや新聞度、一方的に発信される情報を鵜呑みにしていくわけで、これらの情報でシステムをより強化するような事が論じられると、人はそれを疑うことなく信じることになります。

仕事を分化して細切れにすることで、全体を見れないようにして、一方的な情報を与える事によって、このシステムをより強固にしていく。
人は、生まれた段階でこのシステムに組み込まれてしまい、このシステムを回す為に、選択肢を限定されていくわけですが、情報操作によって、まるで自由が与えられているかのように錯覚し、与えられた選択肢を自分の腕で掴み取ったかのように錯覚してしまいます。

分かりやすいように、日本の現状で説明すると、子供が生まれた段階で、子供の将来のことを考えて、親は教育する事になります。
当然のように義務教育を受けて、当然のように高校に進学し、大学に行って就職する。
良い会社に就職できれば勝ち組で、ブラック企業に勤めれば負け組となるわけですが、じゃぁ、良い大学を出て良い就職先に務めることは、自分自身で勝ち取ったものなのかというと、そうではありません。
学歴というシステムによって選別されて選択肢を限定されます。その中で、性格や見た目などの情報によって、更に選別されて、社会の一員としてシステムに組み込まれていきます。

では、社会に入って仕事をすると、社会のことが分かるのかというと、そうでもありません。
社会はピラミッド構造になっていて、上の人間は下の人間に指示だけを出す為、現場のことが分かりませんし、下の人間は指示を受けた仕事を機械的にこなす為、自分のしている仕事の全体像が分かりません。
自分が何をしているのかわからない状態ですが、取り敢えず毎日出勤をして、意味があるのか無いのかわからない仕事をして、それを終えて帰宅する。
帰宅すると、夕方や深夜に放送されるニュースを観て、世の中が分かったような気になって、次の日に備えて眠りにつく。

この世の中には、一見すると様々な選択肢が与えられていて、自分の生活はその選択肢の中から自分で選び取ったものだと思わされているわけですが、実際には行動は縛られていて、限られた範囲の中で自由を与えられているにすぎないんです。

学校に在学中は受験勉強に追われて、学校を卒業する頃には就活に追われる。そして、就職が終われば仕事に追われ、その中で婚活をしなければならない。
婚活が終わると、子供を産まなければならない圧力に晒されますし、産めば産んだで、その子をレールの上に載せなければなりません。
全てが終わった頃には体力も限界に近づいているでしょうし、今度は死ぬための準備として、終わる活動、終活をしなければなりません。

これでは、自分達が生活する為にシステムを利用しているのか、システムを維持する為に繁殖させられているのか分かりませんよね。

こういった状態を管理社会とも言うのですが、この管理社会の現状に疑問を持ち、文学面から問題提起をして、反抗した人達というのが、ビート・ジェネレーションだったのでしょう。
ビートという言葉の意味は、『打ち負かされた』という意味で、ビート・ジェネレーションは当初は、『打ち負かされた人達』や『人生に疲れた奴ら』というネガティブな意味でドロップ・アウトした人達に向けて使われていたようですが、後に、『アップビートでいこう』とか、『幸せをあなたに』といったプラスの意味も付加されて、正と負の2つの意味を含むようになったようですね。

ヒッピーというのは、先ず、このビート世代を前提として、そこに新たな価値観が加わって大きく成長したものだと考えた良いと思います。
その新たな価値観というのは、LSDによる意識拡張ですね。
そして、このLSDという幻覚剤で、最も大きな影響を受け、そして最も大きな影響を周りに与えた人物というのが、ティモシー・リアリーという人物だと思います。

という事で、今回からのヒッピー・ムーブメントの考察は、このティモシー・リアリーという人物を中心に、考えていこうと思います。
一応最初に言っておきますけれども、今回からの放送では、人物名や団体名、年号などが結構多めに出てくると思いますが、別にそれらを覚える必要はありません。
受験勉強などではないんでね。 大体、どんなことが起こっていたのかというのを理解してもらえれば、それで大丈夫です。

という事で本題です。
このティモシー・リアリーという人物ですが、元々は臨床心理学者で、心理学関係の教科書なども執筆している、結構優秀な学者さんだったようです。
心理学を応用して心理テストなども制作し、その心理テストはできが良かったのか、CIAが社員を選別する為に使ったとも言われています。
この様に、心理学者としての道を順調に進んでいたリアリーは、その優秀さからかハーバードから声がかかりそこで教職を得ることになリます。

ハーバードでも、自分なりに心理学の道を進んでいたようなんですが、これまでが上り調子で順調に進んでいたのに対し、ハーバードに就職後は、思ったよりも功績も出せずに、足踏み状態、踊り場に差し掛かっていたようなんです。
1959年のそんなある日のことですが、同じ心理学者の友人から、マジックマッシュルームを進められることになります。
当初は乗り気ではなかった様なんですが、物事が順調に進んでいない時だったからか翌年の60年には、リアリーは誘いに乗って、幻覚成分を含むマジックマッシュルームを試してしまいまうんですね。

この最初のトリップで、リアリーの人生が大きく狂うことになります。
というのも、キノコによってもたらされた幻覚によって、今までの価値観が書き換えられてしまったからなんです。
幻覚成分を含むキノコというのは、キリスト教の世界では特に厳重に禁止されていたようなんですが、その理由というのが、この、価値観が書き換えられるほどの経験です。
うまい具合にトリップすれば、誰でも神の声を聞くことが出来るし、啓示を受けることも出来ます。天使が目の前に降りてくるという軌跡も、実際に見て体験することが可能となるわけです。
幻覚剤はそれ程までに強烈な代物で、リアリーはこの時、今までの人生が揺らぐほどの大きな影響を受けたようです。

リアリーは、これまでの心理学の研究で、人間の行動を変化させる鍵は自分自身を性格に知る事だと主張していたようなんですが、それが薬物によって瞬時に起こることが分かり、また意識拡張によって、自分自身の殻を瞬時に破ることが出来る。
そして、それを幻覚という形で実際に体験する事で、いつでもその体験を思い出すことで再現できる事に興味を持ち、このトリップ以降、リアリーは研究対象をキノコの幻覚成分であるシロシビンに移します。

この研究を進めていく中で、リアリーはオルダス・ハクスリーという人物の書いた、『知覚の扉』という本を知ることになります。
この、『知覚の扉』という本は、私は読んだわけではないんですけれども、作者自身が幻覚剤であるメスカリンを投与した際のサイケデリック体験と、その体験の考察を書いているようですね。
ですから、体験中に何を考えていたのか、また、体験後に、現実世界をどのように感じることになったのかと言った体験する前後の感覚の差や、その考察などでしょうね。

私自身は、幻覚剤に限らず禁止薬物は使用したことがないので、当然のことですが、幻覚剤も使用したことはありません。
ですので、これらの幻覚剤の話は出版されている体験記やネットからの受け売りが多いのですが、この幻覚剤体験を一番理解しやすいものとしては、LSDを投与直後に、自画像を描いてもらうという実験が面白いです。
実験内容はそのままなんですが、絵がかける人に短時間で簡単な自画像を描いてもらい、LSDを投与してからも、一定時間ごとに書き続けてもらうという実験です。
LSDのトリップは6時間ほど続くと言われているので、その中で人間の感覚がどのように変わっていくのかというのが、目で見て理解しやすいと思います。
『LSD 絵』なんかで検索すると、すぐに出てくると思いますので、興味の有る方は見てみてください。

この『知覚の扉』を書いた、オルダス・ハクスリーという人物ですが、多数の科学者を排出したハクスリー家に生まれて、父親はダーウィンの進化論を指示する有名な学者のようですね。
オルダス・ハクスリー自身は、科学ではなく小説家として有名で、『素晴らしき新世界』という作品では、ディストピアとしての管理社会を風刺しているようです。
SF作品なんかでは、完全管理社会の中で抑圧される人々が、自由を求めて政府に対して向かっていくなんて作品が多いですが、それらは、先ほど紹介したビート・ジェネレーションの影響があるのかもしれないですね。

リアリーは、本を通してハクスリーに興味をいだき、本人にも会いに行くのですが、これ以降の話は、また次回にということで。

働き方改革? 裁量労働制で人々の暮らしは楽になるのだろうか。

ここ最近、ニュースでは、働き方改革の一環で行われようとしている、裁量労働制性問題が話題になっています。
という事で今回は、この問題がどういうものかというのを、簡単に説明しつつ、この問題について考えていきます。

日本の現状の働き方は、基本的に定時の8時間労働が基本で、会社によっては残業が行われていることを前提として人を雇用している状態に有ります。
これからの少子高齢化社会、この様に、長時間高速が前提の職場が多い状態では、何かと国民に負担がかかって来ることになります。

例えば、子供が欲しいと思っている人は、子供の準備の為に仕事を長期間休まなければならなかったり、最悪、辞めなければなりません。
生まれたら生まれたで、小学校に行くぐらいまでは子供に手がかかり、フルタイムで働くなんて事は難しい。

では、子供がいない家庭では問題がないのかというと、そうでも無い。
人間は誰しも親から生まれてくるもので、子供がいなくても親はいるし、長生きすれば介護問題も出てくる。
仮に、体は元気だけど認知症なんて事になれば、長時間、家を空けておくと徘徊なども起こってしまう…
そこから更に問題や事件につながるケースを考えると、介護の為に仕事を辞めなければならないなんてケースも出てくるかもしれない。

日本の少子高齢化社会は今後も変わる気配がない為、この問題は今後、更に悪化して社会問題化してくるケースが十分に考えられます。
この様な事を想定して考えられたのが、いま議論されている『裁量労働制』という事なんでしょう。

裁量労働制は、労働の時間を自分の裁量で決めるという考え方。
例えば、納期が1週間後の仕事が有ったとして、その納期に合わせることが出来るのであれば、1日あたり何時間働くのかは自分で決めろということ。
この裁量労働制を導入する事によって、効率の良い社員はサッサと仕事を片付ける事で、労働時間を短縮することが可能となる。
結果として、労働生産性も向上し、労働者も雇っている会社もwin winになるという話なのですが…

これを聞いて多くの人が、こう思うと思います。
『ホントか?』と

この、一見すると良い話にしか見えない裁量労働制
推進しようとしているのは与党で、野党は反対しているわけですが、その反対意見を聞くと、同意する人も多いと思います。

しかし反対意見も出ていて、その意見というのは、『裁量労働制を導入した場合、従業員の給料は定額になり、残業がむしろ増える』というもの。

書き忘れていましたが、裁量労働制の特徴としては、割り当てられた仕事に対して支払われる額が固定されている為、その仕事に1日4時間かけようが16時間かけようが、支払われる金額は同じです。
これを知った状態だと、野党が反対している理由がよくわかりますよね。
つまり会社側は、1日16時間ぐらい働かないと達成できないような仕事を労働者に押し付ければ、どれだけ残業をしようとも、労働者は追加料金無しで定額で仕事をやってくれるということになるわけです。

仮に労働者が過労死したとしても、会社側は『長時間労働は強制してないし、第一、労働時間を決めているのは労働者自身なので、我々には関係ない』と言い訳が出来ます。
会社に無理難題を押し付けられて亡くなった社員は、自己責任の4文字で片付けられ、ヘタをすると『無能だから短時間で終わらすことが出来ないんだ』なんて言われてしまうかもしれません。

そんな事にはならないよと仰る方は、今の運送業界の現状を見てみることをお勧めします。
運送会社は自前の社員とは別に、事業請負という形で、個人経営者に自分たちの会社のユニホームを着せて配達をさせていたりします。
この関係は個人経営者と運送大手のB to Bの関係なので、運送大手から支払われるお金は給料ではなく、配達1個あたりいくらという感じでの契約が多いようです。
今回取り上げた、裁量労働制と同じ様なシステムですよね。

仮にこの請負事業者の人が、荷物の配達を1個100円で請け負ったとした場合、1日に3万円の売上を得るためには300件の配達を行わなければなりません。
この300件の配達を、3時間で終えても16時間かけても、支払われる料金は3万円で固定です。
では運送業の請負業者というのは、この制度の恩恵を受けて、自由な時間を労働に当てる事で豊かな人生を歩んでいるのでしょうか?

現状、そんな事はありませんよね。
運送業界といえば労働環境が悪いことで有名で、就職したい人も激減し、人手不足で大変な事になってます。

この動きが他の業種にまで広がると、どの様に社会になっていくのかというのは、想像に難くありません。
例えば、世の中の仕事の大半が、数学のドリルを1週間で100ページ終わったら帰ってよいという感じの、個人で完結する仕事で、且つ、ちゃんと出来ている、出来ていないというのが分かりやすい仕事なのであれば、『時間を無駄にかける奴が無能』という理屈も、分からなくもありません。
しかし、世の中の仕事の大半は、この様な種類の仕事ではありませんよね。
一人で完結するものではなく、複数人が絡んでの仕事が大半ですし、算数ドリルの様に正解かそうでないかがハッキリしている仕事ばかりでなく、正解がわからない様な仕事の方が多い。

例えば、ある製品のデザインを考えるとして、そのデザインの正解が有るのでしょうか?
デザイナーとしての正解は有るでしょうが、それがクライアントや上司に認められるのかは、また、別の話となってきます。
また、依頼してくる側に明確なビジョンがなく、正解がわからない状態で発注しているということも有るでしょう。その様な状態で、『正解が出たら、帰っても良いよ』と言われても、困ってしまいますよね。

他にも、それなりの大きなプロジェクトの場合は、複数人が絡む事というのもありますが、自分ひとりが優秀だったとしても、その中で1人の人間が無能の場合、プロジェクト全体が、無能な人間に合わせて遅くなっていきます。
日本の場合『じゃぁ、手伝ってあげたら良い』という話になるのですが、それだと自分に割り当てられた以外の会社の仕事をする事になる上、プロジェクトの進行状況に労働時間を合わせる形になるので、目指すべき裁量労働制じゃ無くなりますよね。
また、会社側がプロジェクトの完遂期限をギリギリに設定する事で、残業せざるを得ない状況に簡単に陥りますが、残業したとしても残業代が発生しないという状態も十分に考えられます。

野党側が反対するのもわかりますよね。
この反対意見を突っぱねる為に、政権側が行ったことというのが、偽造データを使った検証です。

政府は、裁量労働制を採用している会社とそうでない会社に、残業時間がどれぐらいなのかと言った複数のアンケートを取り、その結果を比べたデータを提示し、裁量労働制がどれだけ優れているかというのを主張したんですが、その根拠となるデータを捏造していたんです。
どの様な捏造の仕方だったのかというと、裁量労働制で仕事をしている人に対しては、一日の平均的な労働時間を聴き、普通に働いている人は、1ヶ月間で最長の残業時間を聴き、それに8時間を足した時間で計算していたんです。
つまりは、裁量労働制の時間が短くなる様に細工したって事です。

これだけでもデータを信用できなくなるわけですが、そのデータをより詳細に観ていくと、1日で45時間の残業をしていたり、そうかと思うと、その週の合計残業時間が20時間になってたりと、算数レベルの間違いなども有る様子。
1日が24時間しか無いのに、45時間も残業をする矛盾! そして、残業時間を単純に足していくだけなのに、何故かその週の合計残業時間が45時間よりも減るという矛盾!
そんなデータをチラつかせて、『データ的にもこういう結果が出てますので、裁量労働制を導入しますね~』なんて言われても、『ちょっと待て!』となりますよね。

今回取り上げた裁量労働制ですが、本当に導入を進めるのであれば、そもそも、仕事に対する価値観を根本的に変える必要が有ります。
具体的には、仕事の更なる分化と、仕事に対して適正に値段を付けていくということ。そして、会社に就職して滅私奉公する『就社』ではなく、『ジョブ型』と呼ばれる社会に構造その物が変化しない限りは無理でしょう。
その前提となる下準備を行ってない時点で、見せかけの裁量労働制を導入したところで、企業に都合よく使われて終わりだと思いますけどね。
kimniy8.hatenablog.com

【Podcast #だぶるばいせっぷす 原稿 】第24回  ヒッピー回 中間まとめ

この投稿は、私が配信している Podcast番組『だぶるばいせっぷす』で使用した原稿です。
放送内容は、私が理解した事を元に行っています。ご了承ください。
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youtubeでも音声を公開しています。興味の有る方は、チャンネル登録お願い致します。
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第20回から前回の23回まで、4回に分けてヒッピームーブメントの大体の流れを紹介してきたわけですが、結構長くなってきましたので、この辺りで、今までの流れを簡単に振り返る、中間まとめ回をしようと思います。

第20回と21回では、何故、ヒッピームーブメントと呼ばれるカウンターカルチャーが、白人の若者たちを中心に起こったのかを、その当時の環境に焦点を当てて考えてみました。
差別をされていたり、社会に不満がある黒人たちではなく、何故、白人の若者たちが、今までの前提となっている文化に疑問を抱いてを覆そうとしたのかということですね。

このことを考えていく上で知って置かなければならない事が、覆されようとしている対象である、前提となっている考え方ですね。
欧米は、物事を考える上で前提になっているのが、キリスト教という宗教です。
アメリカでも、大統領に選ばれた人間は聖書に手をおいて宣誓をしますし、生活の至る所にキリスト教の考え方や文化が定着して溶け込んでいます。

この、当たり前のように存在していて、既に空気のようになっているキリスト教を前提とする社会に対して、様々な疑問が生まれてくるようになります。
誤解の無いように言っておくと、別にキリスト教の教えに問題があるとか、そういったことを言っているわけではないんです。
キリスト教の根本的な考え方というのは、人が社会的な生活を行う上で大切な事を主張しているだけです。

キリスト教の前提となったのはユダヤ教ですが、その聖典旧約聖書に出てくるモーゼの十戒も、最初の3つは、神が唯一神である事や偶像崇拝の禁止、神の名をみだりに唱えては行けないといった、
神の前提を書いたものですが、殺人や盗みやレイプをしては駄目といった、社会生活を行う上で、傷つく人を減らす為に作られたルールですよね。
唯一神である事や神の名をみだりに唱えないとか、偶像崇拝の禁止も、基本的には神の悪用を避ける為ですよね。

偶像崇拝を禁止して神という存在を概念上のものにしておけば、神をかたどった像を作って売りつけるなんて商売も出来ないですし、みだりに神の名を語っては駄目というのも、同じ様な理由ですよね。
そして、唯一神という神の存在が1つであれば、派閥争いなんてものも起こらなくなりますよね。
私はそこまで歴史が詳しいわけではないんですが、この様なものが、わざわざ十戒に書かれたというのは、多神教で、尚且つ神の偶像を作りまくったエジプトの神話に対するカウンターだったのかもしれないですね。

それを前提として生まれたキリスト教は、ユダヤ人だけが救われるとした主張に異論を唱えて、信じるものはどんな民族であれ救われるとしたものですよね。
教えも、自分がされて嫌な事はしないようにしようといった感じの、社会生活を円滑にすすめる上で大切な事を言っているだけです。
ユダヤ教キリスト教は同じ神を信仰していますし、イスラム教も同じ神を信仰しています。
元々は、皆がストレス無く幸せに暮らしていく為に生み出された思想ですが、時間が立つに連れて、これらは争いの道具として利用されていくことになります。

これは宗教だけでなく、思想やシステムにもいえることですが、時間を重ねていく毎に、その時々の社会情勢であったり、人々の考えであったり権力者の都合によって、大本の主張の解釈が変えられていくからです。
経済も同じで、資本主義も元々は人の欲望をシステムに組み込んだ画期的な考え方だったんでしょう。
資本主義の構造は突き詰めれば、多くを持つ資本家が独り占めできてしまうシステムですが、資本家は多くの富を手に入れたとしても、生きている間に全てを使うことは出来ません。

また、資本家に使われる側の労働者も、あまりに劣悪な環境だと働くという行為その物を辞めてしまうので、市場経済の元で再分配が起こると思われていたんでしょうけれども、
実際に起こっている事、は資本家は使い切れない量の富を手に入れても、更に多くの富を手に入れようとしますし、働いて社会システムに貢献しないと生きていけない状況を強制する事で、労働者は劣悪な環境でも仕事を辞める事が出来ない状況い追い込まれてしまってます。

そして資本主義経済は、絶えず前進して巨大化していかないと崩壊してしまうという性質から、資本主義を採用していない地域や民族にも、資本主義を矯正していくことになります。
こうして世界はグローバル化していくわけですけれども、世界中に市場が広がると、遠くの国にも商品を届けないといけない、また、生産拠点を確保しないといけない状態が生まれてしまうので、土地や労働者や港を手に入れる為、植民地争奪戦が起こります。

元々は世の中を暮らしやすくする為に生まれた宗教や経済システムによって、多くの人が殺されたり、貧困に追いやられてしまったりする。
こんな状態の一方で、科学や技術はドンドン進歩していく事で、人々の仕事は肉体労働から知的労働に徐々にシフトしていきます。
労働市場での知的労働のシェアが拡大していくと、知的作業が行える人材が求められるので、国は教育に力を入れていくことになるんですけれども、人々は教育を受けることで知識を手に入れると、今まで前提としてきた宗教の教義と現実世界が違うという事も分かってしまいます。
その象徴的なものが、進化論ですね。 人間は、神が何らかの目的を持って自分の姿形に似せて、土から作った特別な存在ではなく、その他の動物と同じだったという説が、説得力を持つ形で発表されます。

こうして、社会システムに対する不満だったり、知識を手に入れる事によって、社会の前提に疑問を持つという状況が続く中で、欧米は経済圏拡大の為にアジア圏に侵略戦争を仕掛けることになるんですが、それによって、、東洋思想が西側に入ってきます。

東洋思想というのは、神という存在を世界の中心に置いて説明するキリスト教に対し、自分自身を理解する事によって世界を理解しようという主張です。
そして、その自分自身が『無』である事を理解する事で、自分が認識する世界そのものも『無』である事を体験によって知るという東洋思想の考え方は、一部に大きな影響を与えて行くことになります。

この影響を受けた人達は、今までのキリスト教の考え方に、東洋思想や、キリスト教徒が蹂躙してきたその他の宗教や科学的な要素を加えて、神智学という新たな考え方を生み出します。
様々な要素を加えて作られた神智学は、現代オカルトの起源になったりもします。

この神智学を説明する為に具体的な例を何個か出してみると、進化論によって、人間という存在が猿の延長線上に有るのであれば、猿以外が進化する事で、新たな知的生命体が生まれている可能性も否定は出来ません。
地球はその昔、恐竜が支配していた時代がありますが、その恐竜のサイズが小さくなってトカゲのようになり、知的に進化して文明を築き上げる可能性もありますよね。
こうした思想から、オカルトでいうレプタリアンなんてものが生まれたんでしょうし、地球が神が作った唯一の生命が住む星では無く、他にも生命が住む星があるとするなら、人間よりも高い文明を持つ異星人もいるかもしれないし、もしかしたら、地球に訪れているかもしれない。
もしそんな事が可能なら、異星人の宇宙船が有るということになると、UFOという発想になります。

また、キリスト教で信じられてきた神という存在、この存在は、神という絶対的な存在では無く、もしかすると、別の高次元の生命体と捉えられる場合もあるのですが、ともかく、その様な存在がいたとして、その存在と交信するにはどうすれば良いのかと言った際に、
東洋思想の瞑想というのが利用されたりもします。
仏教などでもそうですが、座禅を組んで心を落ち着かせるといった行動を取りますが、その瞑想をより深く行うことで、変性意識状態に陥ることが可能となります。
この変性意識状態というのは、普通の意識状態ではない状態という理解で良いと思います。

この状態に陥る事で、普段では得られないような体験ができてしまうようです。その体験が、神や高次元の存在との対話などです。
非科学的だと考える方も多いでしょうけれども、この体験自体は非科学的でも無いんです。 というのも、変性意識状態その物は、化学物質や実験などで簡単に再現が可能だからです。
例えば、幻覚剤の投与などで神からの啓示を受ける体験をした人は数多く存在しますし、脳の一部に電流を流す事で、幽体離脱のように自身の体から自分が抜け出て自由に動ける体験をすることも可能のようです。

この変性意識状態と、それによる神秘体験についての話ですが、別に、変なカルト集団が主張しているだけというわけではないんですよ。
これは、アメリカ政府も開発に大きく関与している、LSDの人体実験によっても、実際にこのようなことが起こるということが分かっています。
誤解しないでほしいんですけれども、別に、神とか高次元の存在が実際にいて、それと交信できると言っているわけではなくて、その様な神秘体験を薬物によって得ることが出来るということです。

という事で、第22回と23回では、幻覚剤のLSDを中心に話をしていきました。
このLSDですが、別に神秘体験の研究の延長線上で出てきた薬物ではありません。 アメリカとロシア、当時はソビエト連邦だったわけですけれども、その両者が核爆弾を所有することで、アメリカとソ連は実際に戦争するわけではないが敵対状態を維持する冷戦に突入します。
この冷戦時代に、アメリカは少しでも相手よりも優位に立つ為に、利用できるものはなんでも利用しようとし、その白羽の矢が立ったのが、麦角菌から発見されたLSDです。

LSDは、人間を簡単に変性意識状態に陥らせることが出来ることから、洗脳に利用できないかという事で研究が始まります。
この、洗脳出来るかもしれない薬物というのは、情報を取り扱うCIAや軍と相性が良く、主にこの2つの機関によって研究が開始されます。
この研究ですが、当初は、科学者が行う様な割りとしっかりとしたものだったようなんですけれども、その研究方法は次第に崩れていき、実験とも呼べないようなものに変化していきます。

例えば、告知なしで不意打ちでのLSD投与等ですね。これを実際にやられた側は覚悟を完了する事が出来なくなる為に、夢と現実の境目が分からなくなってしまうようですね。
それだけで済めば良いのですが、不意打ちのトリップによって精神に深刻な傷を追ってしまった場合、それがキッカケで精神病を患ってしまい、最悪の場合は自殺するケースなどもあったようです。
その他には、政府が売春宿を経営して、その従業員や客にLSDなどの幻覚剤や麻薬などを配布して、人がどのように変化していくのかを観察したりと言った事まで行っていたようです。

これらの数多くの実験はMKウルトラ作戦と呼ばれ、映画などの題材になったりもしています。
日本の場合は、政府に絶対の信頼をおいている人というのも結構な割合でいらっしゃるとは思いますが、アメリカはMKウルトラ作戦を始めとした政府の様々な行動と、隠蔽しようとするその態度に、疑問を持っているからか、映画などのコンテンツでも、政府が秘密裏に行っていた計画や人体実験によって、大惨事が起こるなんてストーリーも多かったりしますよね。

その一方で軍の方ですが、軍は軍でLSDの軍事利用を考え始めます。
例えば、敵の軍事や生産拠点があったとして、その場所を制圧する為に大砲などをバンバンと撃って破壊してしまうと、制圧は可能かもしれませんが、その施設の再利用が出来ないので効率は落ちますよね。
ですが、その拠点に幻覚剤を投与して、周辺住民ごとトリップさせて骨抜きにしてしまえば、無傷で拠点を手に入れることが可能となります。
その他にも、水に溶けやすい特徴を活かして水源にLSDを投入すれば、水を飲んだ人すべてをトリップさせることが可能で、戦いを優位に進めることが可能です。

この様な感じで、アメリカは国ぐるみで麻薬の開発や研究、人体実験を極秘裏に行っていたんです。まぁ、極秘裏にとは言っても、政府が独自に研究するには限界がある為、様々な研究機関や大学にもLSDを配って研究を依頼していたようで、そこから一般にも流れる事になるので、完全に隠蔽されていたというよりも、知ってる人は知っている計画だったようですけれども。

今流行のアメコミ等でも、政府関連の組織で働いていた科学者や政府自身が人体実験を施した結果、ヒーローや仇役のヴィランが生まれるなんて事も多いですよね。
また、政府が極秘裏に進めていた計画が暴走したり失敗する事で事件が起こって、それを解決する為に物語が起こるなんて事も多いですけれども、その大本は、元々国家というのはそういう事をするという前提が有るからなのかもしれないですね。

この様に、LSDは当初は主に戦争で利用できる有効な手段を開発する為に研究開発が行われていったわけですけれども、それ以外の分野での研究も進んでいくことになります。
他の分野とはどういったものかというと、精神病治療薬としての研究ですね。

人間の性格や考え方というのは、今まで生きてきた経験や記憶によって大きく左右されてしまします。その人の歩んできた人生が、その人自身の性格を作っていると言っても良いのかもしれません。
そして幻覚剤というものは、その経験や記憶を新たに与えるものです。 という事は、普通の状態では感じられない感覚や観たこともない風景を感じた人は、その性格や考え方に大きな影響を与える可能性も大いに有るわけです。
つまり、ショッキングだったりネガティブな経験に対して、素晴らしいと感じられる神秘体験をぶつけることで、トラウマの解消が出来るかもしれないということですね。

一見、理にかなっているように思える治療法なんですが、では何故、欧米は幻覚剤を精神病治療薬として研究してこなかったのでしょうか。 幻覚成分はLSDに限らず、自然に生えているキノコなどにも含まれているので、もっと早く着手できたはずです。
それは何故かと言うと、キリスト教圏では、幻覚成分を含む全てのものは、タブー視されていたからなんです。

これは、歴史を振り返ってみると理解しやすいかもしれません。 過去を振り返ると、神の声を聞いたり、観たことも無いヴィジョンを体験した人は、今までとは違った考えをするようになって、その後、行動にも移すようになっています。
キリスト教徒の主張としては、これらの行動は、神の御業として奇跡として取り扱ってきたわけで、自分達も、いずれはその様な奇跡を目の当たりにしたいと思って信仰心を高めてきました。
その為、それと同じような体験が、幻覚剤を投与したりキノコを食べるだけで可能になってしまうと困るんですね。 それを認めてしまうと、過去の偉人とされてきた人たちも、幻覚剤でトリップしたからということになってしまいますからね。

ですが、科学の進歩がキリスト教の影響を弱め、また、ソビエトという核を保有する強大な敵が現れると、そんな事も言っていられなくなります。
という事で、これ以降、幻覚剤の研究が進んでいくことになります。

幻覚剤の研究が進んでいくと、LSDには神との邂逅や啓示を受けると言った宗教神秘体験以外に、エゴの死とも呼ばれる現象が起こることが分かります。
これはイメージで伝えると、水を張った洗面器の上から、スポイドなどで水を1滴垂らすような感じですね。 垂らした水の1滴を自分の自我として、洗面器の水を世界そのものと見立てた場合、垂らした1滴の水が洗面器の中に入ってしまうと、水は溶け合って分離不可能になります。
LSDによるトリップでは、この水のようなものがエゴと世界との間で起こり、自分という存在がバラバラに分解されて、完全に宇宙の中に溶け合う感覚が得られる事が有るようです。

この宇宙との一体感は、一部の学者や実験に携わったものから、意識の拡張として重要視されることになります。
また、自我と宇宙が完全に溶け合う現象ですが、東洋思想の梵我一如や、仏教でいうところの悟りの境地と同一視されて、東洋思想や、その要素を取り入れてた神智学などが見直されるようになります。
そしてこの様な考え方は、当時、世の中のシステムに打ちのめされて、不満をつのらせていたビート・ジェネレーションと呼ばれる人たちに支持され、新たな文化が生まれることになります。

「精神を開示する」という意味を持つ『サイケデリック』という言葉を冠した文化が生まれ、古代の妄想とされていたシャーマニズムが見直され、今までの前提とは全く異なる文化が、次々とまれて行くことになります。
そして、新たに生まれたそれぞれの価値観は、ベトナム戦争に対する反戦運動によって、一つの大きなムーブメントを起こすことになっていく事になります。

ここまでが、過去4回で語ってきた内容のまとめです。
ヒッピームーブメントの概要としては、大体こんな感じなんですけれども、この概要だけでは、ヒッピームーブメントの面白さというものがいまいち伝わっていないと思うので、
次回からは、このムーブメントの中心として動いていたティモシー・リアリーという人物に焦点を当てて、もう少し詳しく観ていこうと思います。

現状の仮想通貨・暗号通貨について思う事を まとめてみた

少し前に仮想通貨・暗号通貨と呼ばれているモノについての構造を簡単に紹介する記事を書きました。
kimniy8.hatenablog.com
今回は、この仮想通貨について個人的に思う事について書いていこうと思います。

誤解の無いように言っておくと、私が仮想通貨に対して抱いている感情は、どちらかと言うと肯定的です。
ただ、現状の仮想通貨という存在に対しては賛同できない部分も結構多いので、否定的な内容に読み取れる記事になることを、予め注意しておきますね。

前回の投稿でも書きましたが、仮想通貨の構造というものは、今までのものと全く違う構造となっています。
既存の通貨が中央集権的なものだったのに対し、仮想通貨・暗号通貨と呼ばれるものは、中央というものが存在しません。
分散型とでもいうのでしょうか。 より概念化が進んだ通貨ともいえます。

歴史を振り返ると、中央集権的なものは崩壊していることが多く、その後に生まれるのは分散型となる場合が多いので、長い目で見れば、仮想通貨が次の通過のポジションに収まっても不思議ではないと思います。
何故、中央集権的な存在は崩壊してしまうのかというと、中央集権的な存在は自らの性質上、組織を作らなければなりません。
システムが大きくなればなる程、組織は肥大化していくわけですが、組織が大きくなって長い間システムを支配するという構造が続くと、その組織は内部から腐敗していきます。
これは、金融システムだけでなく、どんなものでも言えることです。

別の例えをすると、国などがわかり易い例でしょう。
人格者で優れた統治者の元では、国は発展して国民は幸福を得ることが出来ます。
統治者が優れているのであれば、政治は民主主義よりも独裁政権の方が効率が良く、統治者の理想を叶えることが、国民の幸福につながっていくという状況になります。

しかし、人間には寿命がある為、どんな人格者であっても、未来永劫、統治をすることは不可能です。
となると、跡継ぎに任せていく必要があるのですが、どこかの時点でバカが統治者になると、そこから先は地獄となります。

結果として、世界の多くの国では、一人の統治者に全権限を委ねるのではなく、権力を分散させるという方向に進んでいっています。
こういう流れを観ていくと、通貨のコントロール権を中央銀行だけが独占するというのは、いずれは時代遅れになるようにも思えてきます。

では、いま現在、市場で売買されている仮想通貨のどれかが今後覇権を握っていくのかというと、個人的にはそうは思えないんですよね。
というのも、今のシステムでは問題点が多すぎると思うからです。

少し前(2018年1月末)にも、コインチェックという取引所から、ハッキングによって一部の通貨が盗まれるという事件がありました。
まぁ、現金であっても銀行強盗があるわけですし、今回のハッキングによって盗まれた通貨は現金化されてはいないようなので、考え方によっては現金よりかは安全ともいえますが、取引所を信用して預けていた人からしてみると、とんだとばっちりですよね。
ただ、銀行の場合は銀行強盗にあったからと言って、出金停止にはならないし、自分の貯金が減ることも無い。そういった意味では、取引所その物の信用力が低いし、個人で保管しようにも、セキュリティー上の不安が残る。
現金のように、手軽に個人で安心して保管する手段や預かってくれる所が現状では無いので、一般で使用するためには、そこら辺の整備が必要になってくると思います。

他の問題点としては、今のシステムでは効率がワルすぎるという事です。
ビットコインは、取引台帳を暗号化したものを、ユーザーに解析させて検証することで、取引の整合性を担保しているようですが、PCを稼働させてサービスにつなげているユーザーに効率よく仕事を割り振るというものではなく、台帳の解析を競争方式でやってるっぽいんですよね。
そして、一番最初に暗号を解いた人間に対して報酬を渡すという方式で、これがマイニングと呼ばれているのですが、この方式だと、PCをつなげてマイニングには参加さしているにも関わらず、1位を取れなかったユーザーは、単純に電気代分だけ損失が出るという事になります。

私は専門家ではないので、ビットコイン側が、それぞれのユーザーに違う仕事を振り分けているのか、重複した同じ仕事を割り振っているのかは、正確には知りませんが…
台帳の追記や検証の暗号化したものを10分に1回出題し、先着1名に賞金を出すという方式なので、普通に考えれば、参加者全員に同じ暗号を投げかけて、その返答を受け付けているように考えられますよね。
この方式の場合、ユーザー全員が同じ計算をやらされる為、かなり効率が悪いように思えます。

今はコンピューターのレベルも上がってるから…なんて反論も聞こえてきそうですが、今現在で、世界全体で使われているエネルギーの0.6%は通貨のマイニングのために使われているようです。これは、アルゼンチンの総使用電力量に相当するようです。
競争方式で計算をやらせる場合、競争に勝つ為には、より、処理能力の高いパーツが大量に必要になり、それを稼働しっぱなしにするわけですから、電気の使用量は鰻登りに増えていきます。
世代を重ねる毎にパーツの省エネが進むとは言っても、現状でゲーム用に発売されたビデオボードがマイナー(マイニングする人)に買い占められ、それがフル稼働している状態なので、省エネなんて間に合ってません。

現状でも、日本の様に電気料金が高い国ではマイニングは無理と言われていて、マイニングの舞台は中国へと移っています。
その中国では、奥地に水力発電所を作り、そこで発生した電力をマイニングで消費する事で利益を上げていたりします。
中国は、仮に、その水力発電所で生まれた電力を国民の為に使っていれば、もっと幸福度が上がることでしょう。

そしてこの、マイニングが一部の地域に偏っているという現状は、仮想通貨その物の立ち位置も危うくしています。
そもそも、仮想通貨は中央集権的なものから分散化させる為に生まれた技術ですが、エネルギーの調達コストの低い国にマイナー集中するという事は、結局のところ、分散化ができていない事になります。
また、水力発電所を作るような資本家が乗り込んできたということは、結果、その通貨の先行きは資本家の手に委ねられることとなります。

一部の資産家の行動に通貨の運命がかかっているとうことは、簡単に言うと、資本家達が『マイニングが割に合わない』と思って撤退した瞬間が、その通貨の寿命となるということ。
その具体的なタイミングとしては、マイニングの為の電気料金>マイニングの報酬となった時です。

一部の取引所のサイトでは、『仮想通貨は埋蔵量が決まっていて、採掘する為のコストは上昇していくので、長期的に観て仮想通貨は上がる!』なんてメチャクチャな事を書いていますが、その主張は少し考えれば詐欺だということが分かります。
例えば、金のような現物資産の場合は、金鉱山から採掘業者が掘り出したものを市場に流すことで流通します。
金価格が下がった場合は、採掘業者は採掘した金を市場に流さなかったり、コストに見合わなければ、採掘その物を止めてしまうなどの行動を起こすため、需給関係が改善して価格は上昇したりもします。

取引業者は、仮想通貨もこれと同じと主張しているわけですが、その主張は少し考えれば間違いだと分かります。
というのも、実物資産である金は、宝飾品や工業用部品の材料として実際に形を変えて市場で消費されるわけで、採掘業者が採掘を止めたとしても、金取引その物が無くなるわけではありません。
その為、金相場の場合は、売りたくなければ売らなければいいし、コストに見合わなければ採掘しなければ良いという選択が容易にとれます。

しかし、仮想通貨は違います。
仮想通貨の場合は、そのシステムを維持しているのはマイニング業者で、彼らがPCをシステムに繋げるのを止めた場合、システムその物が崩壊します。
出入金や取引、それに関わる記帳や照合が行われなくなる為、そうなった時点で、仮想通貨の通貨としての価値は無くなります。
つまり、現物資産の金のように、採掘者が居なくても単独で市場が成り立つものでは無いため、マイナーが居なくなった時点でシステムが終了してしまうということです。
この理屈が分かると、マイニングコストが上昇するから仮想通貨の価格も上がるのではなく、仮想通貨のシステムを維持する為には、価格が上昇し続けなければならないという事が理解できると思います。

仮想通貨の取引を、出来るだけ長く安定的に行うためには、できるだけ多くの人をシステムに引き入れることが必要で、その為には、システムに繋げる敷居が低くないといけません。
しかし現状のシステムでは、参加する為のハードルが高い。 10万以上するビデオカードをかなりの数購入し、電気料金の安い地域でしかコストに見合わない現状では、参加者は限定され、通貨の未来は、その限定された一握りの人間の手に委ねられる。
今現在はマイナーの8割が中国に集まっているようですが、中国のマイニング規制がより強固なものになった際には、マイナーが一斉に手を引くことで、システムが簡単に潰れてしまう可能性が有ります。

こういうことを考えていくと、今現在、発行されている通貨は、皆、同じ様な欠点を持っている為、この先は生き残れないように思えます。
だからといって、この流れが完全に止まるのかといえばそうではなく、システムの改善を重ねる事で、徐々に使えるようになっていくのではないのかなと。
まぁ、ビットコインの開発者関係者自体が、今現在のビットコインのシステムをそのまま利用して、紙幣に成り代わろうなんて考えてないようですし、今現在は実験段階って言ってますしね。

先のことはわかりませんが、今現在、乱高下している通貨には、あまり期待せず、今後の技術の進歩に注目したほうが良いような気がしますね。

日銀総裁続投!自分の撒いたタネを処理するためにも妥当?

アベノミクスと歩調を合わす形で異次元緩和を行った、黒田日銀総裁の続投が決定したようです。
まぁ、当然といえば当然でしょう。
首相は、今の状態が『良い状態』で、アベノミクスは成功だという主張なんですから、ここで人を変えるなんて事をすると整合性が取れません。
だって、仮に人を変えるとなると『何で変えるの? 金融政策の失敗を認めるの?』なんて詰め寄られますしね。

また、他の理由としては、黒田日銀総裁の次に日銀総裁をやりたい人がいないということも有るでしょう。
日銀総裁なので、取り敢えず箔をつける為に肩書が欲しいなんて人は居るでしょうが、普通の神経を持ち合わせている人は、現状で日銀総裁をやりたい人間なんて居ないでしょう。

というのも、今の政府と日銀の金融政策はメチャクチャでやりたい放題の状態。
今、後釜となって日銀総裁なんてものを引き受けたら、その後片付けをしなければならないわけで…
その後片付けをする際に絶対に悪影響が出るので、こんな状態では頼まれてもやりたくないですよね。

事情を知らない方の為に、安倍総裁の元で日銀が何をやってきたかというと、紙幣の大量印刷です。
紙幣というのは、数字を書いて日銀総裁の印鑑を押しただけの紙なので、その気になればいくらでも印刷することが可能です。
その『紙』を、日銀は現在進行形で刷りまくっているわけです。

では、その刷った紙幣はどうなるのでしょうか。
日銀が刷った紙幣は、そのままではただの紙で、日銀の倉庫の中に眠ったままの状態となるので意味がありません。
刷った紙幣は、何らかの方法で市場に送り出さなければなりません。
その送り出す方法が、国債の買い占めと株・Jリートの買いだったりします。

アベノミクスが成功し、株価も上がってるし、国の信用を表す国債の価格も高い状態で推移しているじゃないか!』と豪語する、盲目的な自民党信者の方もいらっしゃるでしょうが…
刷ったお金で国債と株とJリートを買い占めている状態で、仮に現状維持すら出来ずに下がるなんてことが起こったとしたら、それこそヤバイ状態です。

ちなみに、日銀がどれぐらいの資産を購入しているのかというと、日本国債で400兆円分。
ETFが17兆円分で、Jリートが4000億円ぐらい?(正確な総額は調べられませんでした…)
Jリートという言葉に馴染みがない方の為に簡単に説明すると、これは不動産証券です。 理解としては、日銀が不動産を購入しているという認識で良いと思います。

つまり、日銀が株と国債と不動産を全力で買い支えているのが現状なので、国債価格が上昇して金利が下がるのも普通のことだし、株価が堅調に推移するのも当たり前。
東京の不動産が上がっているのも、ある意味、当然といえるわけです。
なんたって天下の日銀が、印刷機をフル回転させて出来た紙で、これらを買い支えているわけですから。

しかし、この行動にも問題が有ります。
それは、この方法での買い支えを未来永劫行うことは出来ないという事。
自称経済学者の人達の中には、買い入れペースをもっと増やすべき!なんて主張をしている人もいますが、普通に考えて、限界が有ります。

例えば国債は、日本の借金が1000兆円だとして、400兆円を日銀が取得しているということは、既に4割を日銀が買い占めていることになりますので、発行している分を全部買い占めたとしても、後600兆が限界です。
株の方も、時価総額が600兆ぐらいなのにその内20兆程度が日銀保有。一部の銘柄では既に日銀が大株主になってきていますし、Jリートの方では日銀の保有比率が5%を超える状況になってきています。
ここから更に買い入れ額を増やして政府関係機関保有比率を増やすということは、簡単に言うと、企業も土地も政府の借金も、全部日銀のものになる事を意味してしまうことになるからです。

『中国は共産党の一党支配で、あらゆるところに共産党が…』なんて意見も聞くことがありますが、日本も人のこと言ってられませんね。

ザ・ボイスというラジオ番組にゲスト出演している高橋洋一氏などは、『日銀は政府の子会社なんだから、政府の借金である国債を子会社の日銀が購入すれば、政府の借金は買い入れ額だけチャラになっていく。』なんて不思議な主張をされているので、更なる買い入れは大歓迎なのでしょうが、普通は出来ません。
というのも、この主張の通りだとするのであれば、そもそも財政難なんてものも税金を集めるなんて事もありえない話になるからです。

だって、仮に政府の借金である国債の1000兆円を全て子会社の日銀がお金を刷って買い取り、日本の借金を実質チャラにしたとしましょう。
この理屈でいえば、子会社の日銀の資産である株式も不動産も、政府の資産ということに出来るので、実質政府は、日銀に命令して印刷機を回すだけで、日本に本社がある企業の経営権と全ての不動産を、印刷機を回すだけで手に入れることが可能となってしまいます。
『医療費負担が… 介護が… 』なんて様々な問題がありますが、それも全て、国債を刷って日銀に買い取ってもらうという錬金術によって解決できてしまうので、税金を集めるという行動その物が無意味となります。

こんな美味しい話があるのか?と言えば、当然、あるわけありません。
歴史を振り返ってみればわかりますが、刷ったお金で湯水のように予算を使ってきた国は、例外なく潰れています。
つまり、政府の借金を子会社である日銀が購入すると借金がチャラになるなんて事はありません。 仮にそれが本当であれば、北朝鮮の政府は1京円分に相当するぐらいの国債を発行し、それを全て中央銀行で買い取ってしまえば、世界一のお金持ちになれます。
世間的にアウトローと言われている北朝鮮が行わないのは、行わないのではなく行えないからです。

仮にそんな事をすると、どうなるのかというと、そんなことをした国の通貨は叩き売れて、物凄く安くなってしまいます。
日本で例えると、物凄く円安になるという事。

こう書くと、円安って進んだほうが良いんじゃないの? 日本て、輸出大国でしょ?と思う人もいるかもしれませんが、日本経済での輸出比率って15%程度なんですよね。
その一方で、日本は資源がない国と言われているので、エネルギーを始めとした資源は海外から買ってこないと駄目。
エネルギー価格や原材料の資源の価格が上昇するという事は、単純に物価が上昇する。 『物価が上昇するのなら、デフレ解消で良いんじゃない?』と無邪気に喜ぶ人もいそうですが、そう簡単な話ではありません。

何故なら、ここでいうインフレはコストアップインフレであって、需要が盛り上がってインフレになっているわけではない。
つまり、企業や従業員の手取り給料が増えるというわけではないということ。 単純に、電気代やガソリン代やその他材料費が大幅に上がる為、その上昇分を商品に転嫁させているだけにすぎないわけです
という事は当然、物価は上がるけど給料は上がらないという状態になります。

こうなると当然のことながら、不景気に陥りますよね。だって、物の値段が高くなる一方で、手取り給料が変わらない、もしくは給料の上昇が物価の上昇分以下の伸び率になるということは、実質賃金は大幅に落ち込むわけですから…
そして残念ながら、こうなった状態は、政府が国債を大量発行からの日銀が国債を買い占めるというコンボは通用しません。
何故なら、このコンボの使用は、日本円の価値が保たれているときという前提条件がついているからです。
一度でも信用を失った通貨を更に印刷をするなんてことをすれば、印刷した以上に通貨が下落してしまいます。

つまり、海外で売られている1ドル(1ドル100円換算とする)のAという資材が欲しいけれども手元に10円しか無いから、100円を刷って賄おうと思っても、100円刷った時点で円が叩き売られて円安になる為、100円だったAの商品は1000円ぐらいに値上がりしてしまうという事。
この状態から脱却しようと思うと、通貨としての信頼を回復させるしか無い。 そして、通貨の信頼を回復させるために必要なのは、中央銀行の財務の健全性を保つということになります。
中央銀行が健全化する為には、海外投資家から観て、有益な資産を保有しておく必要が有る。つまり、自国通貨建ての政府の借金比率を減らす必要があるということ。

ここで話は冒頭に戻るわけですが、現日銀総裁が行ってきたことは、大量の紙幣印刷とそれによる国債・株・不動産の買入れです。
これを未来永劫続けることは不可能で、今後、健全に政府運営をしていくためには、日銀の保有資産の健全化を行っていかなければなりません。
健全化を行うということは、つまりは現状の逆のことをしなければならないということ。
つまりは、株・不動産・債権の売却をしていかなければならないということ。

日銀が必死で買い支えても、起こせたのはコストアップインフレからの実質賃金低下ぐらいだったわけですが、その逆を行うと、嵩上げ分が剥げ落ちて、株安と債券安による金利上昇になってしまう。
つまりは、化けの皮が剥がれて皆が感じている不景気な日本になってしまう…
これがもし、自分が行った金融政策であれば、自分がやったことにたいするツケを払うという意味でも、『やらなければならない』と納得は出来るでしょうが、他人がやった紙幣大量印刷の欠拭いなんて、誰もやりたくはない。
そう考えると、この処理が出来る…というかやらなければならないのは黒田総裁だけなので、今回の続投は妥当ということになるんでしょうね。

【MHW】初心者からの ソロ攻略日記 ~チャージアックス

チャージアックスでのソロ攻略日記の2回目です。
前回の記事はこちらです。
kimniy8.hatenablog.com
前回は、ジャグラス装備を作るところまで攻略しました。
下位の中盤ぐらいまではその装備でクリアー可能だと思いますが、難易度的にキツイという方は、バウンティに登録して、それをクリアーしつつ任務を適当にこなしていくと鎧玉とお金がが手に入るので、それで防御力アップの強化をしましょう。

武器の方ですが、様々な敵を倒していくと、素材に応じて作れる武器や強化先が増えていきますが、最初のうちは何も考えずに骨装備を作っておきましょう。
骨装備は、骨塚などの採掘場である程度の素材が揃うので、素材集めも強化も結構楽な上に、序盤はそれなりに強いんですよね。

その他に、やっておくべき事といえば、食材集めと古代樹の育成です。

食材集めを行うことによって、様々な食材が食堂に追加され、それを元に作られる料理の種類も増えていきます。
料理の種類が増えることで、食事によるステータスアップの上昇率が上がる為、可能であれば優先してクエストを受けましょう
エストの中には、採取や小型モンスターの剥ぎ取りアイテムの納品などもあり、結構面倒くさかったりしますが、各クエストは1回クリアーすれば食材がアンロックされるので、我慢してやりましょう。

そしてもう一つ重要なのが、古代樹の育成です。
ストーリーがある程度まで進むと、植生研究所で古代樹の育成が始まります。
これ関連のクエストを行うことで、古代樹自体が育成するのに加え、専用の肥料アイテムが利用できるようになります。

古代樹と肥料、この2つで何が出来るのかというと、アイテムの増殖です。
モンハンといえば、マップで採取した各アイテムを調合し、狩りに必要なアイテムを作ることで、ゲームを優位に進めることが出来るシステムが有ります。
例えば、くもの糸とツタの葉を調合してネットを作り、ネットとトラップツールを利用して落とし穴を作る。
それとは別に、マヒダケと眠り草を調合して捕獲用麻酔玉を作り、瀕死状態の大型モンスターを落とし穴に落として捕獲用麻酔玉を使用する事で、モンスターを捕獲できるようになります。
捕獲する事で報酬枠が増えたり、新たなクエストが解禁になったりします。

ここまで複雑なものでなくても、回復薬とハチミツを組み合わせる事で、回復量が大幅に高い回復薬Gを作ったりも出来ます。
この他にも、硬化薬や鬼人薬といったドーピング薬も作れるので、物語を進めるのに調合アイテムは必須だったりします。
ただ、役に立ったり重要なアイテム程、フィールドで拾える素材アイテムが少なかったりもする…

そんな事を全て解決するのが、植生研究所によるアイテム増殖です。
例えば、ハチミツは事ある毎に素材として要求される為、常に足りない状態になりがちですが、この植生研究所を利用すると、そんな心配も解決します

植生研究所は、アイテムを登録することで、登録アイテムが1クエスト終わる度に、大体2個づつ増えていきます。
登録枠は、古代樹の大きさに比例していて、最大で3個まで登録が可能となります。 これだけ聞くと、1クエ2個で3枠登録なら、最大で6個しかもらえないんじゃ?
と思われる方も多いと思いますが、この施設、研究の手助けをする事で肥料が使えるようになり、肥料を使うことによって回収できるアイテム数が増えます。
今現在、私が確認している第第増加幅は、1クエ辺り+6個。 つまり、デフォルトの2個と合わせて8個づつ貰えるため、3枠全てをハチミツで登録すると、1クエ辺り24個のハチミツが貯まることになります。

これは、有るのと無いのとでは天と地ほどの差がありますよ!

後、何気に重要なのが、マップ内でのモンスターの痕跡集めです。
今回のモンスターハンターは、今までのマップに比べると非常に広大で、その上、入り組んでいて場所が把握しづらいです。
そんな中から、クエストで標的になっているモンスターを発見しようと思うと、それだけで一苦労です。

そんなときに重要になってくるのが、モンスターの痕跡集めです。
モンスターの痕跡を集めることにより、研究ポイントを得ることが出来ます。この研究ポイントですが、レベルが有り、レベルが最高レベルになると、導蟲が勝手に目的の場所まで誘導してくれるようになります。
この研究ポイントは、部位破壊や捕獲・討伐でも得ることは出来るのですが、足跡などは結構まとまって発見できる為、序盤の探索クエのついでにやっておくのが無駄がなくて良かったりします。

…と、チャージアックスのソロ攻略日記にも関わらず、ここまでは、どんな武器を使用するにも抑えておかないといけないポイントしか書けてませんね。
という事で、今更ですが、チャージアックスの特徴などを書いていきましょう。

チャージアックスですが、剣状態の時に攻撃を当て続けることで剣撃エネルギーを剣に溜め込み、それを盾にチャージすることで、エネルギーをビンに溜めることが出来ます。
このビンに溜まったエネルギーの使用方法ですが、主に2種類で、1つは、属性解放斬りです。

高出力属性解放斬りは、Ⅰ~Ⅲまで有り、基本的には数字が上がるに連れて、ヒット数が増えるのでダメージがデカくなります。
どの属性解放斬りを使っても消費されるビンの数は同じなので、Ⅲを狙いがちですが、実はⅡの方が当たりやすい上にコンボに組み込める為、Ⅱが有効だったりします。

もう一つのビンの使い方としては、盾の属性強化です。
ビン1本につき30秒ぐらいの強化が可能で、斧による攻撃力がアップします。
そして、この状態で高出力属性解放斬りⅢを使用することにより、超高出力属性解放斬りへと変化します。
ちなみにですが、通常状態の高出力属性解放斬りは、1回のアクションでビンは1個しか使いませんが、超高出力属性解放斬りについては、1回の発動で溜まっているビン全てを使用し切ります。
つまり、MAX(5か6本)まで溜まっている状態で使用すると、1撃でビンがゼロになります。 その為、絶対に外せない攻撃へと変化します。

当然のことですが、ビン6本を使った超高出力属性解放斬りが弱点にヒットした場合は、エグいダメージが与えられます。
部位破壊可能な場所に当たった場合は、1~2発ヒットさせるだけで破壊可能となりますし、斧についてるビンの種類が榴弾ビンなら、気絶に持ち込むことも出来ます。
正に、ロマン溢れる武器ですね。 

私は正直、超高出力属性解放斬りが有るからチャージアックスを使っているといっても過言ではありませんね。

もう少し書いておくと、剣撃エネルギーは、攻撃によって溜まるエネルギーポイントが変わります。
一番溜まりやすい攻撃は、◯ボタンを押しっぱなしにして、タイミングを見計らって話すことで発動する、タメ二段切。スキを見て積極的に狙っていきましょう。
この攻撃からは、◯△同時押しで盾突きにつながリ、そこからコンボを仕切り直す事が可能です。 △から始まるコンボや◯ボタンのタメ斬にも以降できます。

ちゃっちゃと剣撃エネルギーを貯めて、超高出力属性解放斬りを狙うというのが基本となります。
一応、動画を取ってみたので載せておきます。 
この動画は、まだ操作が慣れていない状態なのと、敵が小さいという事でグダってますが、敵が小さい分、キャラクターの動きが見えやすいと思います。
序盤だと、この程度の動きでもクリアーできたりします。


それでは皆さん、良いハンターライフを!

漫画において出版社は必要なのだろうか

私が愛聴しているネットラジオ【BS@もてもてラジ袋】の ぶたお氏が書かれているブログで、漫画家とアシスタント関係について書かれた物が有りました。
butao.hatenadiary.com

簡単な内容としては、漫画家とアシスタントの関係には、師匠と弟子や、昔ながらの丁稚奉公的な関係によって、職場環境がブラック化しているという話。
では、漫画家だけが悪いのかというとそうでもなく、そもそも漫画家も出版社によって搾取されている為、漫画家自身の労働環境が悪く、そのアシスタントも当然のように悪くなっているという業界の闇にメスをいれるような内容となっています。

これを読んだ率直な感想としては、確かに漫画家やその周辺の環境が悪いという点には同意するし、企業による搾取も許せないとは思うんですが…
一つ疑問が。それは、何故、漫画家は出版社に頼っているのかというところだったりします。

私の認識としては、そもそも出版社というのは、紙媒体だからこそ必要な仕事だと思っています。
紙媒体がメインの場合、作品を紹介する為の導入としての雑誌というのは必要ですし、印刷会社とのやり取りなども発生してくる。
また、紙媒体の場合はページ数も決まっている為、雑誌に乗せてほしという要望が沢山あった場合、どの作品を載せるのかと言った選定をしなければならない。
IT技術が無かった頃などは、読者の考えている事を汲み上げるためには、アンケート調査等も必要だっただろうし、そういった作品作り以外の部分で手間のかかる部分を代行する業者としての出版社というのは、社会的にも必要だったと思っています。

しかし、現状はどうでしょうか。
IT技術というものが発達し、ネットは常時接続のブロードバンドが当たり前になりました。
昔のように、ネットに常げている間ずっと電話料金が加算されていくなんてこともなく、固定回線の場合は定額で何ギガでもダウンロードが出来る。
回線速度も上がり、個人で制作された4k動画がyoutubeにアップロードされ、利用者はそれを普通にストリーミングで見ることが出来る環境になってきています。

こんな環境によって、当然のように、コンテンツの発信方法も変わってきています。
昔は映画館やレンタルが主流だった映像は、NetflixAmazonビデオに代わり、ゲームも最近ではダウンロード勢がシェアを伸ばしてきています。
そもそも、スマホアプリなどはパッケージ版が存在しない状態で、単純にコンテンツを配布するだけであれば、ネットさえあれば大丈夫という状態にすらなってきています。

では、今まで紙媒体だった書籍はどうでしょう。
書籍の場合も、Kindleを始めとして電子書籍というのが勢力を伸ばしてきています。
紙媒体の本の場合は、日本の法律の関係でセールなどは一切行われませんが、電子書籍の場合は扱いが本ではなくデータとなっている為、一部の本は電子書籍で購入した方が便利で安いという状況になっています。

では、趣味や芸能ネタなどを扱う週刊誌や月刊氏はどうなのかというと、こちらは更に進んだ状況になってきていて、月額で読み放題プランが普通となってきています。
ファッション誌を1冊買うと600円とかするのに、雑誌の読み放題プランだと、月額400円で100誌ぐらいの雑誌の最新号からバックナンバーまで読めるという状況になってきていて、今や雑誌を購入しているそうは、美容院などの待ち時間が有る店舗経営をしているところか、情弱と呼ばれる層。後は、雑誌についてくるオマケ目的で買う層ぐらいしか居ないんじゃないかという状態です。

雑誌が何故、こんな状況になってきているのかというと、答えは簡単で、雑誌の主な収入源が雑誌売上や著作権管理ではないからでしょう。
ファッション誌などが顕著な例ですが、ファッション誌はページの殆どが、各種ブランドの広告ページとなっています。
メインの着こなしなども、どこの圧力も受けずに独自に格好良さを追求しているというよりも、提携しているブランドの情報を積極的に載せていたりします。

私が読んでいるファミ通なども同じで、ゲームメーカーからの協力がなければ、雑誌を発行すること自体が難しいでしょう。

この様に、メインの収入源が広告である場合、売れるかどうかわからない上に、印刷や流通代金が掛かる紙媒体はリスクが大きい。
というのも、主な収入源が広告である場合、メインの商品である広告枠の値段は、販売部数によって変わってきます。部数を伸ばす為に、良い紙を使って丁寧に雑誌を作り、販売促進の為におまけを充実させたとしても原価が高くなれば、それなりの値段を付けざるをえない。
原価が高くなれば、当然のように、消費者にとっては負担が大きくなる為、下手をすると販売部数は下がってしまう…

それならば、dマガジンの様なプラットフォームに登録すれば無料で見られるというふうにしてしまったほうが、閲覧数が稼げるので広告枠の値段も上がりやすい。
その上、印刷も在庫リスクも何も負わないので、広告枠が主な商品の出版社にとっては、紙媒体は余計なコストにしかならない。
現に、週刊アスキーという雑誌は特別編集号などを除き、紙媒体から撤退している。 週刊アスキーは、PCやネット周りを中心に扱っている雑誌なので、顧客層もネットに強い人達が多いのも大きな理由の一つなんでしょう。

現状を改めてみると、メインの収入が広告枠のコンテンツの場合は、ネット配信・無料化が急速に進んでいる事が分かります。

ただ、こうなってくると、各種雑誌で記事を書いているライターは、出版社というところに依存する必要がなくなってきます。
取材力がある人やおもしろい文章が書ける人は、独立して自分自身で記事を書けば良いし、要請があれば寄稿すれば良い。今なら、ブログでも電子出版でも、自分の記事を世に出す方法は沢山あります。
宣伝方法も、GoogleTwitterに自分で金を払って広告を打つことも可能ですし、Twitterでバズりを狙ったり炎上してみるなど、コストを掛けない方法も有ります。

こんな感じの環境なので、現状では、ライターを目指している人は出版社に就職したりせず、自分でブログ運営などをするところがスタートだったりするのはよくある話。
これは映像でも同じで、有名になるためにテレビに出る…その為に、芸能事務所に所属する…その為に、芸能事務所が運営する養成所にお金払って入るなんて事をする人よりも、いきなりyoutubeデビューする人のほうが多い。
いきなりyoutuberになって儲かるのかっって話もありますが、じゃぁ、養成所に入れば売れることが約束されているのかといえばそうでもなく…そう考えると、金の掛からない分だけyoubueの方がリスクが低かったりします。

と、長々と漫画に関係がないことを書いてきましたが、私の主張としては、漫画家もいきなり電子書籍でデビューすれば良いんじゃないかと思うわけです。
漫画雑誌は他の雑誌に比べて時代に乗り遅れている感がありますが、それは何故かと言うと、他の雑誌のようにメインの収入源が広告収入では無いからなんでしょう。
漫画をヒットさせて、漫画の単行本を売ったり著作権管理をする事がメインの仕事。悪い言い方をすれば、主な収入源は漫画家からのピンハネで成り立っている。

ではなぜ漫画家は、わざわざピンハネされるにも関わらず、出版社に原稿を持ち込むのでしょうか。
それは、仮に大手の雑誌に採用されれば、無名の新人であったとしても、いきなり数百万人に読んでもらうことが出来るからでしょう。
その中の何割かが自分の作品を気に入ってくれただけで、数万部から数十万部の単行本売上が期待できます。

つまり漫画家にとって出版社というのは、無名の自分を大々的に紹介してくれる存在という事になります。
また、単行本を出版する際には結構が額のお金が必要になるわけですが、その様なお金やそれに掛かる手間などを肩代わりしてくれる存在という事になります。

ですが、先ほどから書いている通り、この様な出版社が行っている仕事というのは、あくまでも紙媒体の話です。
そもそも、電子書籍の場合は印刷や出版という手間がほとんどかからず、その手間も、素人がGoogleで検索しながら見よう見まねで行ったとしてもなんとかなるレベルの手間です。

では、出版社が持つ数百万人の読者というのはどうでしょうか。
これも時代が代わり、漫画雑誌の販売部数は右肩下がりで落ち続けています。 少年漫画誌TOPのジャンプですら、200万部を割り込む状態。
その一方で、マンガワンというアプリはどうかというと、ダウンロード数が900万を突破したようで、読者数という観点から見ると、紙媒体の雑誌よりも影響力は大きい状態になっています。

マンガアプリも電子版の出版社じゃないかと反論される方もいらっしゃるとは思いますが、アプリは紙媒体の出版社の影響力が下がっているのを説明する為に例として出しただけで、アプリ会社に原稿を持ちこめと言っているのではありません。
例えばpixivなどのSNSを使うなど、作品を世に出す方法は現状では増えてきましたし、それが気に入らないというのであれば、クリエイターがプラットフォームを作れば良い。その上で、自分でKindleなどで単行本を出せば良い。
この様な感じで出版社不要論を展開すると、『内容の修正や提案などもしている!』なんて反論も返ってくるのでしょうが、本当にその修正が必要だと漫画家が思うのであれば、その技術を持った信頼できる人をコンサルタントとして雇えば良い。
著作権管理などの作業が増えるといのであれば、その部分を外注するか専用スタッフを雇うという決断を、経営者として漫画家がやれば良い。

当然、コミックスの値段も漫画家が決めれば良い。 まだまだ駆け出しだから、安い値段でも良いから見てもらいたいと思うのであれば、1冊100円で売っても良いし、予想販売数から、アシスタントの給料と自分が手にできるお金、経費など逆算して1冊の値段を決めても良い。
漫画家というのは出版社に持ち込んでいる現状でも個人経営者なんだから、それならそれで立場をハッキリさせたほうが良いと思うんですよね。

私は業界を外から見ているだけの人間ですが、現在の状態は、出版社の立場が上すぎる気がしてなりません。
まぁ、僕のような素人が言わなくても、今漫画を書いている人の主戦場は、コミケや とらのあな での直販に移りつつ有るんでしょうけれどもね。

【MHW】チャージアックス ソロ攻略日記  ~狩猟解禁

このブログでは、過去にMHXやXXの攻略記事なんかを書いた事があるのですが、何気にモンハン関連で検索して見に来てくださってる方が多いようで…
先週、モンスターハンター:ワールドが発売された現在でも、アクセス解析によると、Google検索からの訪問者の何割かは、過去のモンハン攻略記事を見に来てくださってるようです。

という事で、この波に乗らない訳にはいかないということで、MHWの自分なりの攻略記事を書いていこうと思います。
一応最初に書いておくと、攻略は基本的にはソロ攻略で、武器は、チャージアックスでの攻略となります。
チャージアックスを選んだ理由は、個人的な好みです。 変形武器とか、大きな武器ってのがロマンがあって、好きなんですよね。
癖の強い武器で、操作に慣れが必要という点も、好きな要因の一つだったります。

正直いうと、攻略だけなら他の武器を選んだ方が楽かもしれませんし、万人向けの記事がかけるのかもしれませんが、そこは個人ブログということで、個人の好み全開で書いていこうと思います。

MHXやXXからの変更点は色々とありますが、攻略記事を書く上で一番重要な変更点はというと、従来のように村クエや集会所クエというものが無くなり、ウエストが一本化されたことでしょうか。
過去の攻略記事は、マルチプレイ前提の集会所クエをソロで攻略して、ハンターランクを開放するという趣旨で書いていたのですが、クエストの差別化がなくなりました。
マルチとソロの違いは、モンスターの体力が2.5倍になるという変更だけになったので、逆に2人でクエストを受ける方が難易度が上がるという変更。

マルチ前提のクエというのが基本無くなっているので、難易度的にも攻略記事が必要なのか?という疑問は残りますが、今回から初めてモンハンの世界に入るという人の為にも、書いていくことにします。

今回のMHWですが、先程挙げた変更点以外にも、変更されている部分が有ります。それは、キークエと呼ばれるクエストです。
今までのモンハンでは、次のハンターランクに昇進する為には、クエストボードに有る様々なクエストの中から、キークエと呼ばれる昇進の鍵となっているクエストをクリアーし、その後、緊急クエストを受けてクリアーすると、昇進するという仕様でした。
つまり、最短距離でハンターランク(HR)を上げる為には、キークエだけをクリアーして緊急クエストを突破するというのが近道でした。

しかし今回のMHWでは、任務とフリーの2つのクエストに分かれていて、ストーリーを進める為には、任務をこなしていくだけで良い。
途中で任務が出なくなった場合も、右上に次にやらなければならない行動が書かれている為、HRを上げるだけなら、その指示通りに動いていれば大丈夫という楽な仕様となっています。

という事で前置きが長くなりましたが、攻略日記のスタートです。

オープニングとキャラクリが終わって、クエストを受けられるようになったら、取り敢えず、なんでも良いので防具を作りましょう。
モンスターハンターシリーズは、防御力の値というのが非常に重要となってきます。
本当のところをいうとスキルも結構重要なんですが、最序盤ではスキルはなんでも良いので、初期装備よりも高い防具を取り敢えず作りましょう。

何故、防御力が重要なのかというと、防御力が高ければ高いほど、攻撃チャンスが多くなるからです。
例えば、敵の攻撃を3発しか耐えられない防御力だとしましょう。 その場合、最低でも2発食らった後には回復薬を飲まなければなりません。
このゲームでは、回復薬を選択するだけで瞬間的に体力が回復するわけではなく、回復薬を飲み終わるというモーションをまたなければ回復しません。

回復薬を飲んでいる最中に攻撃を喰らえば元も子もないので、回復薬を使用するためには、モンスターとの距離を適切に取らなければならない。
また、回復薬を飲み尽くしてしまったら、薬草を取るなりキャンプに戻るなりしなければならず、かなりの時間のロスとなります。
そのロスタイムに、モンスターが寝床に戻って寝ることで休息したり、他の草食獣を捕食したりすると体力が回復するので、更にロス。

その為、敵の攻撃を数発食らった程度ではびくともしないような防御力が重要となってきます。
では、最初に揃える防具は何が良いかというと、なんでも良いです。
最初に戦うことになるのはドスシャグラスだと思いますが、そいつを2~3回倒すことで前身装備が作れるので、それで良いでしょう。

初期装備の防御力が2だったと思うので、それに比べれば1パーツ毎に6の防御力上昇という事で、全身だと30の防御力アップとなり、今後のクエストの安定性が増します。
ドスシャグラスの攻略は、こんな感じです。


基本的には、敵の正面には立たずに側面からや背後からの攻撃を基本とします。
この敵はチュートリアル的な存在で、攻撃モーションも大きい為、敵の動きをよく見ながら攻撃すれば、こちらが一方的に攻撃を当てることも可能です。
チャージアックスは、斧に変形した際のモーションも納刀も遅い為、とっさに躱すというのは難しいかもしれませんが、それでも、側面からの攻撃を意識する事で、攻略は簡単にできると思います。
いままでボタン連打ゲーしかやってこなかった人は、相手のモーションに注意するところから始めてみると良いかもしれませんね。

こいつの素材から作れる装備はこんな感じ。

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ドスシャグラスを倒した後、任務クエストで様々な敵を相手にすることになるとは思いますが、基本的にはこの装備である程度までは進めるようになります。
1回の討伐では全身は作れませんが、任務で一度クリアーしたクエストはフリークエストで再度チャレンジできるようになるので、フリーで何回か回すと良いでしょう。
今後の展開に備えたいという人は、プケプケというカメレオンのような敵を倒して、毒耐性のスキルが付いた防具を作っておくと良いと思います。
防具のスキルは、武器制作画面になった際に、コントローラーの真ん中にある大きなタッチパネルを押し込む事で、確認することが可能です。

プケプケ自体は動作も遅くて強くはないのですが、今後登場する、リオレイアリオレウスといった序盤の強敵と戦う際に重要になってきます。
ちなみに防具ですが、鎧玉というアイテムを使うことでアップグレードが可能です。
鎧玉の入手は、クエストのクリアー報酬や、バウンティの登録とクリアーで得ることが出来ます。

バウンティはサブクエストのようなもので、クエストや探検中に起こす行動によって達成する事が可能です。内容も、鉱物を15回採掘しろとか植物を9回取れとか、クエストをクリアーするついでに出来るものばかりです。
バウンティは、生態調査をしている3人組のところに話しかければ受けることが出来るので、積極的に受注しましょう。
これらの行動によって得られた鎧玉をもって工房に行き、防具の強化を選んで鎧玉を消費することで、防御力を上げられます。

という事で、初回の攻略日記はここまでです。
基本的なことばかり書きましたが、今後攻略していく上で結構重要な事ばかりだったりしますので、抑えておくと結構良いと思います。

【ゲーム紹介・レビュー】モンスターハンター:ワールド (MHW)

今日は、MONSTER HUNTER WORLD(モンスターハンター ワールド :MHW)の紹介です。
発売前から注目されていて、予約無しでは買えないレベルで人気になっているタイトルなので、既に存在を知っていて、購入をした方も多いとは思いますが…
知らない方の為に、敢えて、紹介記事を書いていこうと思います。


      

一応、私のモンハンプレイ歴を書いていくと、PSPで発売したMHPと、MH4・4G・X・XXをプレイ済みです。
今回のモンスターハンター:ワールドですが、私がプレイした過去作と一番違う点は、マップの構造でしょう。
公式では、オープンワールドと言っているようですが、マップが過去の作品と比べて結構広く、上に下にと入り組んだ構造になっています。
過去のモンハンでは、効率的な採取やハントの為に、マップをを覚えてのプレイが基本となっていたようですが、今回は全てのマップを覚えるのは、結構時間がかかりそうな程の入り組みようと広さです。

ただ、オープンワールドとはいわれていますが、全てのマップが繋がっているわけではなく、エリア毎に分かれています。
では、何をもってオープンワールドといっているのかというと、今までのように小さなマップごとに分かれていてエリア移動をすると読み込みが始まってマップが表示されるという事はなくなった。
つまり、大きな一つのマップがあって、その中ではシームレスにつながっているという感じです。

また今回、ストーリーのウェイトが増しており、従来のようなキークエのようなものがありません。
任務というストーリーを薦めていく事で、勝手にストーリーが進んでハンターランクが上がっていきます。
村や集会所という概念も無くなり、この任務を、オンラインで複数人でやるかソロでやるかの違いしか無いようです。また、ソロで始めても、きつくなったら救援信号を送って他のプレイヤーに助けを求めるというプレイも可能のようです。
私は、救難信号を出したことも感知したこともないので、どんな状態になるのかをレポートすることは出来ませんが…

その他の変更点としては、細かい部分で結構な変化が有ります。
カジュアルゲーマーの私は、その変更点全てが改良されているように感じたので、シリーズ最高傑作な感じですが、変更点が気に入らない人も居るだろうなとは思える変更。

変更点を簡単に紹介すると、素材集めなどの探索は、従来なら採取ツアーというクエストを受けないと駄目だったが、今回はクエストを受けずに外に出るだけで、探索が可能となります。
探索に出た際は、従来の採取クエのように時間制限が有るわけではなく、時間は無制限となり、何回倒れたとしても大丈夫となります。
採集ポイントも数分おきに復活しているようなので、特定の素材が見つかるまでマップに居続ける事が可能です。
また今回は、ピッケルや虫取り網といったアイテムも廃止され、アイテムとして持っていかなくても、壊れることの事の無いピッケルを持ってることになってますし、虫も普通に手で取る感じになってます。
無限に使える砥石も肉焼き機も、アイテムとして持っていかずとも標準で持っていることになっているので、利便性が高まっていますね。

その他には、キャンプが強化。 従来では、支給品を受け取ったりベッドで寝るぐらいの利用価値しか無かったキャンプですが、今回は、キャンプにアイテムBOXが追加されました。
このアイテムボックスでは、装備の変更やアイテムの出し入れが可能となる為、探索で採取に出て、荷物がイッパイになったらキャンプでアイテムをしまうという事も出来てしまいます。
また、キャンプに戻る方法ですが、従来ではモドリ玉を使用するしか一瞬で戻る方法がありませんでしたが、今回は、非戦闘時であれば、マップからキャンプを選ぶだけで、ファーストトラベルで戻れてしまうという神仕様。
討伐無しで制作できる武具を作る際には、嬉しい変更点ですね。

また、今回からキャンプには受付嬢と同伴で行くことになるのですが、時間経過によって受付嬢がキャンプで食事を作ってくれるように変更されました。
今までは、強い大型モンスターに備えて食事を取ったとしても、一回ダウンするだけで食事効果は無くなってしまってましたが、今回からは、短時間で連続でダウンするなんてことにならない限り、キャンプで食事が食べられます。

その他に大きく変わった点としては、スキルが有ります。
従来のスキルは、防具毎についているスキルポイント(SP)を合計し、その合計値が10とか15になると、スキルが発動するという方式でした。
例えば、レウスSヘルムには、痛撃4pと攻撃3pがついていて、レウスSアームには痛撃1pと攻撃4pが付いている…
こんな感じでspが割り当てられていて、痛撃の装備の合計spが10pを上回ると、弱点特効がつくという感じでした。

スキルを発動させる為のハードルが高い上、様々な種類の防具を組み合わせて好みのスキルを付けていこうと思うと、ツールを使って計算しなければならなかったり、必要なspが付いた護石を掘り当てなければなりませんでした。
しかし今回は、防具1つにスキルが付いていて、それ単体で発動が可能です。つまり、武器の切れ味を上昇させる為の匠の様なスキルも、1つの防具で可能ということ。
これが楽過ぎる… 計算も何も必要が無く、欲しいスキルがついている防具を選ぶだけで簡単にスキルが付けられます。
また、この仕様に変更されるということは、護石マラソンから開放されるという事を意味します。 あの無意味なマラソンとリセマラをしなくて良いというだけで、個人的には大変嬉しい。

また、防具の強化方法も変更に。
今までは、防具の強化には指定の鎧玉やら素材があり、レベル上限も決まっていましたが、今回は、ストーリーに合わせて防具の上限が伸びていく使用に変更されています。
つまり、序盤で入手した防具でも、ストーリーが進む度に強化していけば、それなりの防御値を確保できるという事。
そして強化素材ですが、私は現在HR11まで上げたところですが、そこまででいえば、鎧玉だけでよい。

しかも、鎧玉はどんなものでも大丈夫。 鎧玉でも上鎧玉でもなんでも、特定数を放り込めばレベルを上げることが可能です。
必要な鎧玉数は、鎧玉の品質によって変わるようで、鎧玉よりも上鎧玉の方が、必要数は少ないと言った感じです。
鎧玉は、クエストのクリア報酬で得られる以外に、バウンティと呼ばれるクエストをクリアーすることでも入手か。

このクエストはクエストボードで受けるクエストとは別扱いで、最大6つまで同時に登録が可能。
内容も、虫・植物・鉱石などを特定回数採取するとか、大型モンスターを討伐したり、特定マップのクエストを数回クリアーするといった感じのもので、メインクエストのついでに出来る内容だったりします。
ストーリーが進む事で、貰える鎧玉の品質も上がる為、重鎧玉欲しさに同じクエを周回するなんて事も無くなる感じです。
つまり、気に入った見た目やスキルの付いた装備を、末永く使えるという事で、かなり楽になりました。

装備のめんでもう少し変更点を書くと、今回は、近接とガンナーの種類分けが無くなりました。
今までは、弓のような遠距離武器の場合は防御力が半分のガンナー装備を付けて行かなければならなかったわけですが、今回からは装備が統一という事で、ガンナーに転向する際に一から防具を作り直さなければならないという事が無くなりました。
その他にも、必要な素材があれば、錬金釜に他の素材を放り込む事で交換が可能に。

こうしてみると
・レアな鎧玉の取得
・スキルの為の護石マラソン
・レア素材や消耗品の為にマラソン
とっいた、プレイヤーをゲンナリさせるようなプレイ時間稼ぎというのが無くなった印象です。

後、その他に変更点が有るとすれば…
やっぱり、グラフィックですよね。 今までは、3DSといいた携帯機での発売だったので、グラフィックは残念としか言いようがなかったのですが、今回はPS4専用で発売されている為、グラフィックが過去作と比べて段違いです。
過去作の各マラソンに飽きたので、購入を見送っているという方は、是非、プレイしてみてはいかがでしょうか。

      

【Podcast #だぶるばいせっぷす 原稿 】第23回 LSD (2) 文化に影響を与える意識拡張

この投稿は、私が配信している Podcast番組『だぶるばいせっぷす』で使用した原稿です。
放送内容は、私が理解した事を元に行っています。ご了承ください。
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youtubeでも音声を公開しています。興味の有る方は、チャンネル登録お願い致します。
www.youtube.com


ここ最近の放送内容を簡単に振り返ると、近年で起こった代表的なカウンターカルチャーである、ヒッピー・ムーブメントについて焦点を当て、前回は、その運動に大きく関わったとされる幻覚剤、LSDについて話していきました。
LSDという幻覚剤は、今では多くの国が禁止薬物に指定している代物なんですけれども、そのルーツを辿ると、開発にはアメリカ政府が大きく関わっていて、多くの犠牲者が出されていたという事を、前回は話していきました。

前回の内容を簡単に振り返ってみると、ソ連がまだあった時代、核保有国通しのソ連アメリカの間に、直接的な戦争が無い冷戦の状態というのがありました。
この冷戦というのは、互いが直接ぶつかりあうような戦争になれば、核戦争は避けられず、互いに大きな損失を出してしまうということで、お互いに敵視し続ける状態は維持し続けながら、実際には戦争をしない状態の事です。
この時代は、実際にドンパチやっていたわけではないですが、一応は戦争と似たような状態だった為、お互いが、相手を出し抜く為に、様々な研究を行っていたんです。

その研究の一つが、薬物研究で、CIAと米軍がそれぞれの目的を達成する為に、様々な研究を行っていたんです。
この研究によって、LSDは大量生産が可能になり、改良なども加えられることになりました。

という事で今回からのテーマですが、このLSDが、どのようにして、カウンターカルチャーに取り込まれていったのかについて、みなさんと一緒に勉強していこうと思います。
テーマが禁止薬物という事で、これは前回にも言ったことなのですが、もう一度、誤解の無いように言っておこうと思いますが、この放送は、LSD等の禁止薬物を摂取させることを目的として行っているものではありません。
このテーマで取り扱う時代的には、この薬物は禁止される前で合法だった為、多くの方が試す事になったのですが、その影響として、精神に大きな負担がかかって病気になった方も数多く存在します。

幻覚剤は、意図的に一時的な精神病を引き起こすような薬物ともいえる代物ですが、幻覚を見ている本人にとっては現実の体験となってしまう為、その体験によって、薬物投与以降の考え方などが変化したり、引きずられたりもするようです。
そして何より、現在では多くの国で禁止薬物となっている為、使用その物が違法となっていますので、絶対に摂取をしないようにお願いします。
注意喚起が終わったところで、早速、本題に入っていこうと思います。

前回の放送では、CIAや軍による、政治や軍事的な利用方法とか、その為の研究や実験について話していきました。
今回は、LSDその物の効果などを、政府ではなく研究者側の視点に立ってみていこうと思います。

この薬物は、今では禁止薬物に指定されている代物ですが、幸福感や快楽が味わえるとか、リラックスできるという様な効果が得られるものでは無く、幻覚剤という名前の通り、幻覚が見える様になるようです。
私は、禁止薬物の類は一切やったことがないのですが、海外で体験した方が出されている体験記等を読むと、普段見ている世界がリアルに変わるようです。
どのように変わるのかというのは、人それぞれの心理状態にも影響を受けるそうで、毎回決まった効果が得られるわけでもないようなのですが、上手くいくと、神秘的な体験をすることも出来るそうです。

この様な効果により、LSDに限らず、幻覚剤や類似する効果を持つキノコの存在というものは、昔はカトリック教会によって隠されていたようなんですね。
何故、この様な宗教団体が、幻覚剤の使用を規制するようにしたのかというと、キリスト教の信仰のベースとなる聖書というのは、神から言葉を預かった預言者が、神の言葉を書き記したものとしているからなんでしょう。
神という、常識を超越したものと会話して、それを書き記すという行為は、それを傍から見ている人間にとっては、精神異常者のようにも見えますよね。
ですが預言者は、自分のリアルな経験として、演技ではなく自身を持って、その体験を書き記すわけで、周りの人間は、その自信に満ちた行動を元に、その話を神聖なものとして受け止めるわけです。

しかし、幻覚剤というものを利用してしまえば、神に選ばれて人間ではなく、誰でも、その超常的な体験を行うことが可能になってしまいます。
誰でも、この世のものとは思えないような光を、実際に目にしますし、信仰心の高い人であれば、その光の中に神や天使の姿を見出すでしょう。
また、幻覚剤によって自分の中にある恐怖が具現化すれば、観るのもおぞましい悪魔を目にすることも出来てしまいます。

幻覚剤の使用によって、誰でも神秘体験が出来てしまうという事は、それだけ、その体験の価値を下げてしまうことにもつながってしまいます。
また、CIAや軍の研究による結論としては、幻覚剤の投与による症状は、分裂病等の精神病という結論が下されたのですが、逆にそれを聖書に当てはめると、聖書という書物は、精神病患者が幻覚や幻聴を元に書いた作品だという考え方も出来てしまいます。
どちらにしても、教会側にとってはマイナスにしかならない為、その存在を隠蔽しようとしたのかもしれませんね。

この様に隠蔽されてきた幻覚剤ですが、諜報機関や軍が主導で研究するという状態になってから、大学や製薬会社の研究者も研究対象に加えるようになった事で、幻覚剤の症状に対する解釈の幅が広がっていく事になるんです。
今までは、精神病に陥らせるという見方だけだったのが、未知の体験を出来るものといった感じでも受け止められるようになります。
そして、その効果を利用して、精神病の治療薬としての研究も始まります。

これは、どういう事なのかというと、人間の考えや生活習慣というのは、生きていく上で体験する経験によって、大きな影響を受けます。
例えば、兵士が訓練過程を経て、実際の戦場を体験してしまうと、その強烈な体験によって、精神に大きな影響を受けるなんて話はよく聴きますよね。
戦争というのは、今の日本で暮らしている人にとっては馴染みの薄いものかもしれないので、もっと身近な例を挙げると、交通事故にあったことで、PTSDになってしまったなんて話もよく聴きます。
トラウマなんて言うものも、これに当たりますよね。昔いじめられた経験があったり、虐待を受けていると、心的外傷、つまり心に傷を受けてしまって、その後の考え方や行動が変わってしまうというものですね。

体の傷は放置していれば治ることも多いですが、この様な心の傷というのは、基本的には治りにくいですよね。ですが、これらの体験による傷は、同じ様な大きな体験によって、治療が可能という考え方もあるんです。
身近で、もっと小さな出来事で考えると、例えば、ニンジンが大嫌いという人がいた場合に、その人の『嫌い』という感情を、時間や言葉で変えるというのは、結構難しかったりしますよね。
でも、この考えを簡単に変える方法があるんです。それは、その人が本心から『美味しい!』と思えるようなニンジンを食べされる事なんです。

安くて粗悪な食べ物を食べて、その食べのものが大嫌いになったけれども、品質の良い同じ種類の食べ物を食べる事で、逆にその食べ物が大好きになるというのは、そんなに珍しいことではありませんよね。
この他にも、男女の恋愛関係でいうと、結婚まで進んだカップルの、それぞれの第一印象を聴いた所、最初の印象は最悪だったというものも多いようです。
印象が最悪だったものが、何らかの体験によって感情が裏返ったという話は珍しい事ではありませんよね。

これと同じように、強烈な体験には強烈な体験をぶつける事で、治療できるという考え方が存在するようなんです。
その強烈な体験を容易に作り出すことが出来るのが、幻覚剤というわけです。 1950年当時は、LSDやメスカリンといった幻覚剤を利用した、精神病やアルコール中毒の改善といった治療法などが試されていたようですね。

アプローチの仕方としては二通りあって、一つは、少量の幻覚剤を投与して、自分自身と世界との境界線をゆるくしていって、精神を裸にしていくという方法です。
エヴァンゲリオン風にいうなら、ATフィールドを剥がしていく様な作業を行って、その状態で意識改善を促すと行った方法ですね。
この方法でも、単なるカウンセリングなどに比べると、効果は高く、半数近くの方に効果がみられたようです。

もう一つの方法は、これよりも過激な方法で、更に多くの幻覚剤を投与することによって、患者の自意識・エゴとも言いますが、そういった物を壊してしまうという方法です。
主にこの2つ目の方法が、カウンターカルチャーに多大な影響を与えたと考えてもよいのかもしれませんね

LSDのような幻覚剤は、摂取することによって脳が混乱するようで、外から入ってきた情報が、混戦したりもするそうです。
例えば、音が見えたり光を聴いたりといった感じで、情報の処理を正常に行なえ無い状態に陥ることがあるそうです。
また、それだけではなく、自分自身を構成しているものがドンドンと崩壊していくようなイメージを体験する場合もあるらしく、この場合は、最終的には自分のエゴといったものと、世界または宇宙とが溶け合って一つになるような体験を得られるようです。

この、自分自身と宇宙が溶け合って一つになる体験をするというのは、どこかで聞いたことが無いでしょうか。
そうですね、このコンテンツで、過去に東洋哲学と仏教関連の事を取り上げた際にも説明した、宇宙の根本原理と個人の根本原理が同じである事を、体験を通して理解するという、梵我一如の考え方ですよね。

人間というものは、自分というものに輪郭線や境界線、言い方はなんでも良いのですが、自分と自分以外という概念を持っていて、明確に分けているわけですけれども、この境界線を曖昧にして、自分自身と外側とを同じものとして同一視するという体験を、
幻覚剤によって強制的に行うというのが、この2つ目の方法です。
この、エゴの崩壊と、エゴと世界との同一視というのを体験を通して行うことで、今までの価値観が崩壊し、新たな価値観によって世界を再認識することが可能になる様です。

ただ、幻覚剤を使用したこれらの治療方法は、科学者によって反論されることになるようなんですけれどもね。
というのも、前回にLSDはCIAや軍が、強制的に精神病に陥らせる為につくったと説明しましたが、その観点から見ると、エゴが崩壊して宇宙と一体化する事を体験する何ていうのは、精神病患者の妄言でしか無いわけです。
幻覚剤の投与で、どんなに素晴らしいイメージを直接見ても、言葉で言い表せないようなイメージを聴いたとして、トリップから覚めた後にそれを第三者に説明したとしても、観察者が、精神病患者という偏見の目を通してみて入れば、それは妄言なんです。

この様な理屈で反論されるわけなんですが、この問題が複雑なのは、この反論自体も、ちゃんとした反論にはなりえないという事なんですよ。
何故なら、ここでの問題は、幻覚剤を摂取した人がどの様に感じているのかという主観的な問題なのですが、その主観的なものを第三者が適切な方法で観察することは出来ないからなんです。
つまり、怪我の様に分かりやすいものではなく、精神病のように外から観察しにくいものは、本当に病気なのかそうではないのかというのが、見分けがつかないということなんですね。

例えば、普通の人間が、到底、体験できないような体験をしたとして、それを他人に話した場合、それを信じてくれる人間もいるかもしれませんけれども、その発言を聴いて、頭が狂ったと思う人も結構いるということですね。
Netflixのドラマに、アメコミ原作のアイアンフィストという作品がありますが、その主人公は、理解に苦しむ発言を連発する為、精神病院に入れられることになるんですが、そこでは本当のことしか話していないのに、話せば話すほど信用を失って、
病気と認定されてしまう事になります。 つまり精神病云々というのは、当事者だけでなく、その人物に関わる人間の偏見によっても変わるということなんです。

この様に批判する人達は一定数、存在したようなんですが、その人達をよそに、この実験は続いていくことになります。
そして、単なる精神病の治療薬というだけでなく、人の精神や内面を浮き彫りにする為の手段としても使われるようになっていきます。

先程も言いましたが、人というのは、自分と外の世界との間に境界線を引き、その境界線の中に、『自分らしさ』や『自己の意識』といったものを作り上げて、それを自分だと信じて生きていあす。
この、今までの常識的な世界観を壊す目的で、使用されていくんですね。
つまり、自分自身と外の世界との境界線を、幻覚剤によって取り払い、『本当の自分』というのは何を考えているのか。
また、自分という曖昧な概念を、自分だと決めつけて信じている理性というものを取り払って、無意識下ではどのような事を考えているのかと言った事を探るという研究ですね。

その他には、幻覚剤というのはイメージの世界が見えるものです。
例えば、一枚の絵画を見た際に、美しいというイメージを感じたとしても、その美しいというイメージは、プラトンがいうところの美のイデアには程遠いものであるといえます。
プラトンの理屈では、美しいという概念はイデアの世界にだけあって、現実世界に持ち込んだ時点で、それは美しいという概念の模倣品となり、本当の美というものからは劣ったものとなります。

しかし、幻覚剤の使用によって、究極的な美という概念を、幻覚という形で実際に視覚を通して、その目で観るという体験を行うことで、その人間は美のイデアを体感することが可能となります。
LSDの実験によって、一部のアーティストなどは、『一回のトリップは、美術学校4年分の価値がある』といったそうです。
また、この幻覚による体験は、普通の体験と同じように、その後の考え方や感じ方にも影響をあたえることも分かったようです。

LSDを投与した状態で、一枚の絵画を見せるという実験を行ったようなのですが、被験者は、トリップ中にその絵画をみて感動したという経験をした後、トリップがとけた状態で、もう一度、その絵画を見た際に、同じ様な感動を得られたそうです。
人は、好きな音楽や壮大な景色を観る、衝撃的な世界観を目にした際に、その後、世の中の見方が変わって、生き方が変わるといったことが結構有ります。
幻覚剤によって引き起こされた体験も、同じ様に、その後の生き方に大きな影響を与えるということで、一部の人達からは熱狂的な指示を受けたそうです。

この様な体験は、少し前に話した、自我が崩壊して全宇宙と一体化する体験。つまり、悟りを開くという体験などと合わせて、意識拡張と呼ばれたりしています。
この意識拡張は、当時、ビートニク、ビート・ジェネレーションと呼ばれた、ヒッピーの前身となる人達に受け入れられ、様々な文化が生まれていったようです。
例えば、LSDでトリップした際に体験をした出来事を、小説に書いたりだとか、感じた美のイメージを絵に描き起こすといった感じでしょうかね。

ちなみにですが、研究が盛んだった1950年当時に、「精神を開示する」という意味を持つ『サイケデリック』という言葉が生まれるんですが、この言葉を冠するアート・音楽と言った物が登場するようになり、活動も盛り上がることになります。
同じ様な流れを持つ言葉には、『アシッド』というのもありますが、このアシッドは、LSDの事を指す言葉のようです。
この流れは、一部では今でも続いていたりもしますよね。 まぁ、今やると、違法なんですけれどもね。

また、当然のことなのかもしれませんが、意識拡張は神秘体験を伴うということで、宗教的なものとも結びつきやすくなります。
幻覚剤の投与によって、神の啓示と似たような事が起こる為、誰でも、キリスト教でいうところの預言者になれますし、ジャンヌ・ダルクにも成れるわけですしね。
そして、この様なアプローチで研究を進めていく人は、どのようにすればLSDのトリップで、神秘体験を行うことが出来るのかといった方法を探り出します。
これは、セッティングやセットと呼ばれる方法なのですが、一定の儀式を行う事で、トリップをコントロールしようと言う方法で、儀式を行っている本人達的にはどうなのかは分かりませんが、傍から観ると、宗教的にも見えますよね。

この様な、儀式を通して神秘的な体験を得るという流れから、昔のシャーマニズムとも絡んできたりします。
これらの、神秘的体験から英雄的な行動を取るとか、シャーマニズムと幻覚剤という組み合わせは、最近のコンテンツでいうと、UBIソフトが作っているファークライシリーズをプレイしてみると、分かりやすいかもしれませんね。
ファークライシリーズは、私自身は4とプライマルしかプレイしたことがないのですが、その両方で、幻覚剤が儀式などとセットで演出として出てきます。

この様な感じで、幻覚剤は様々な価値観を盛った人達に受け入れられ、その後、その様々な価値観を元に、多くのカルチャーが生み出されていくことになるのですが、それについては、また次回に。